■本日の予定■

・モスクワ→アムステルダム
・アムステルダム→アイントホーフェン
・アイントホーフェンにてCL準決勝2nd-leg観戦

■モスクワの朝

5:30起床。6:00にモーニングコール。バスでの出発時間が6:30から45分に変更になったとの連絡を受け、その後、朝食が部屋まで運ばれてきた。運んできたのはちょっとシェヴァ似の軍人ぽいお兄ちゃん。その後ろにしっかり護衛の人付き。ここまで来ると本当に刑務所の囚人気分で逆に笑ってしまう。

バスは言われた時間通りに出て、空港には7時前に到着。昨日一緒だった皆さんと無事の再会を祝った。トランジットホテルとしてはノボテルの他にソユーズというホテルがあるのだが、こちらは空港から少し遠く、バスで2〜30分ほどかかるらしい。そのためか、ソユーズの場合、朝食は用意されず「朝食袋」が支給される。…と、事前に会社の先輩から話は聞いていたのだったが、このレアなアイテムを実際に見せて頂くことが出来たのでご紹介しよう。

▼ソユーズ謹製・朝食袋


…なんだかこう…もらっても困るようなモノが多いような。
お姉さんの一人は空港に着くなり水以外を廃棄していた。まぁ、気持ちは分からなくも無い。重いし。参考までに(?)チョコレートを1つ頂いて食べてみたが、味はまぁ…推して知るべし。赤白シマシマの物体は注釈付け忘れましたが、ヨーグルトとカスタードクリームの中間みたいな謎の食べ物。

そしてモスクワ空港出発ロビーでの待ちぼうけタイム再び。出発時間は10:45なので、この何もない場所で4時間近くを費やさなくてはならないのだ。出来ることならあと2時間くらいはホテルで寝ていたかった…。よく考えてみると昨日は1日が29時間もあったのに、リバプールチェルシー戦後、4時間ほどしか寝ていない。まぁここで寝るわけにもいかないので、ベンチに陣取り、昨日仲良くなった方々とホテルの話や目的地の話などをしつつ暇を潰した。しかし私たちほど待たされる人は少なく、9時半頃までには皆、次々にそれぞれの目的地へと向けて飛び立っていった。幸い、ここまでに遅れたりしている便はそれほど無かったようだ。皆が無事に着いていますように。

〜シェレメチボ空港でのポイントおさらい〜

 ・トランジットホテルは必ず予約しておくこと。(空きがないと空港で野宿になる。安いのはソユーズ。近いのはノボテル。)
 ・トランジットホテル行きのバスは20:00発の便しか無い。よってMEETINGPOINTには19:00頃に行けば良いことになる。
 ・トイレには紙がない事が多いので、ティッシュは持参すること。
 ・要暇つぶしアイテム。
 ・チケットを返却されたら、要確認。何か不審な点があったら職員にメモを書かせる。
 ・何かあっても自分が正しいと主張する。とにかく強気で通すのが重要。

さて、私たちの乗るアムス行きの便も離陸までには若干の遅れがあったものの、ほぼ定刻に出発した。なお、モスクワから先のEU圏内便は日本往復便よりも色々な面において酷い、という事前情報があり、大変心配していたのだが、そんな心配は一瞬で吹っ飛ぶほど、素敵快適な機内であった。機体はA321。日本国内でもよく使われている中距離用のエアバスだ。最近改装したのか、日本国内便などよりもよほど綺麗な内装であった。座席も広く明るい。短距離便ながら、機内サービスも大変充実しており、乗務員の対応も丁寧なものだった。本当に空港内と機内でのサービス充実度の差には驚かされる…。

▼明るい機内


▼機内食のラザニア。絶品!

アムステルダムまでは約3時間半のフライトだが、時差が2時間あるため、到着時刻は12:10となる。出発は前述の通り遅れたのだが、到着はほぼ定刻だった。2年ぶりのアムステルダム・スキポール空港はやはり広くて美しかった。…トイレには紙もある。そして…日本を発ったときから、とてもとてもとても心配だった荷物も、しっかり着いていた。よ、良かった…。

成田〜モスクワから唯一ここまで一緒だったお兄さんに別れを告げ…いよいよここから本当の旅が始まる。

…うーん、序章長すぎ!

 

■アムス〜アイントホーフェン

オランダの交通機関は相変わらずハイテクで、切符も自販機で簡単に買える。しかし、この自販機、何故かキャッシュカードと小銭しか使用できないのだ。それもキャッシュカードではMASTERしか使えない仕様。VISA不可!これは一体…!?紙幣が使用できないのは、偽造対策だとしても、MASTERオンリーというのは、かなり不便だ。オランダではMASTERの方がメジャーなのだろうか…?

参考:オランダ国鉄ページ
(列車の検索が大変分かり易く便利。乗換駅の番線や列車番号まで詳細に表示される。)
http://www.ns.nl/

アイントホーフェンはドイツやベルギーにもほど近い、オランダのはずれにある街である。アムスからの移動時間は普通電車で約1時間半ほど。途中、Duivendrechtという駅で乗り換え、その際オランダ名物のコロッケ「クロケット」を1つ購入して、車内で食べた。前回の旅行で食べ物に関しては一番凹んだオランダだが(まぁ比較対象が南欧の国々だと仕方ないのかも知れないが…)、これは美味だった。

アムステルダムを出ると、ほどなく車窓には大変のどかな風景が広がり始める。建物よりも草原、人間よりも牛や羊の方が多い風景。残念ながらチューリップの季節は終わってしまっていたが、菜の花畑や、前回は見ることの出来なかった風車は見る事が出来た。そう、オランダと言えば依然、チューリップと風車しか知らない私たちであった。そんな風景を楽しみつつも心配だったのはアイントホーフェンに向かうにつれ、空が暗くなっていったことだ。まだ本降りでは無いものの、時折、雨が窓を掠めていく。今夜の試合は雨になるかも知れない。アイントホーフェン駅に近づくと、車内に赤と白のPSVカラーを身につけた人達が増えていき、緊張が高まる。
アイントホーフェン駅に着く少し手前では、今日の決戦の地、フィリップススタディオンも見えていた。

 

■アイントホーフェンの街

いかにも「郊外の街」という雰囲気の小さな街だ。しかしながら世界的な大企業であるフィリップスのお膝元と言うこともあって、寂れた空気では無い。駅も小さいが小綺麗な作りである。

外に出てみるとやはり雨がポツリポツリと落ち始めていた。…早くホテルに到着したい。
少し迷ったが、ホテルは駅から10分弱ほど繁華街を歩いて抜けた先の、街一番の広場の真っ只中にあった。客室数60ほどの(実際そんなに無さそうだったが…)小さなホテルである。チェックインすると、ミラノからの宅配便が届いていた。今晩のチケットである。そそくさと受け取ろうとするが、フロントのお姉さんに思い切りにこやかに「試合のチケット?」と聞かれ一瞬狼狽えつつ引きつった笑顔で頷く。何でバレバレなんだろう…と思ったらF R O M M I L A N Oってご丁寧にでっかくマジックで書いてあったわけで…。少々バツの悪さを感じながら4Fの部屋へ移動。小さなホテルだがエレベーターもあるし、部屋も小綺麗。しかし…前にアムスに泊まった時にも思った事だが、オランダってのは皆身体がデカい割にベッドがミニサイズ。というわけで、今日もダブルの部屋なのにシングルサイズのベッドが1つ。まぁ、2年前フィレンツェのホテルで用務員室(勿論シングルっつーか1人用)に泊めてもらった時よりは全然広いけどね!と、もうこれくらいは既に慣れっこな2人であった。

そして窓から外を見ると…街の中心である「マルクト広場」が一望出来た。街の中心と言っても、100m四方くらいしかない広さなのだが。そこに集うは赤白・赤黒の両サポーターと、機動隊の方々。その動きを興味深く観察していると、お互いにあちこちで騒いではいるが、険悪なムードではない。ミラニスタは前節2-0の余裕があるし、PSVサポには若者が多く、イタリア人が騒いでいても遠巻きにしつつチャントで応戦するくらいで喧嘩を挑む勇気は無いようだった。また、少し騒ぎが大きくなると機動隊の皆さんが手際よく人を散らしていく。さすが普段からエールディビジのクラシケルで慣れているだけのことはある、と妙に感心してしまった。

エールディビジは3強以外は大したこと無い、というのが通説だが、逆に言えば3強の直接対決(=クラシケル)がリーグにおいて最も重要な意味を持つことになる。それだけにサポーター同士のライバル意識もハンパではなく強く、仲も悪いらしい。特にPSVはバックにフィリップスという強力な財力がある金満チームのため、他のチームのサポーターから毛嫌いされる傾向にあるとのこと。(←この辺、日本の本屋で某ガイドブックを立ち読みした情報。)

▼すっかり観光気分なミラニスタたち。

▼機動隊の皆さん。騎馬隊も出動。カッコイイが実際そばに寄ると、フンがあちこちに落ちていて大変。

さて、お腹も空いたので何か食べようと言うことになった。広場を見渡すと、一番大きなレストランは…何と5階建てのケンタッキーフライドチキン。2番目に立派な建物には…マクドナルドが。うーーーーん、どうなの…この街の食文化状況って。他にレストランと言えば…駅から歩いて来る時に「YOKOHAMA」とかいうやたらネオンが派手なレストランも見かけたけど。それに入る勇気はあまり無く…というかね、今回の旅行で飛行機を降りて最初の食事ですからコレ。のっけから冒険はしなくてよろしい。そして2年前の体験から、オランダに食事は一切合切期待していない私たちであったため、ここはケンタへ入ってみることにした。日本のと比べてみるのも面白いかも知れないし、と。セットメニューの仕組みが日本と違っており、今ひとつよく分からなかったのだが、店員のお兄さんが一生懸命親切丁寧に説明してくれたおかげで無事にチキンとクリスピーのセットを注文完了。

そういえば、アムスからの電車の中でも、検札に来た車掌さんが乗換駅での乗り換えのルート、番線、発車時刻までを丁寧に教えてくれた。空港ではパスポート審査の人に日本語でありがとう・さようならを言われ、駅ではようこそアムスへ!と、ガイドマップを手渡された。…オランダ人の旅行者に対するホスト精神って凄いと思う。トランジットに3時間説明なしで放置され、連行され、軟禁されてきた身には余計に人の優しさが染みるのかも知れない…。ちなみに、ケンタッキーのお味はと言うと…チキンは日本よりもスパイスが数種類足りない感じ。ポテトはマクドナルドと同じ、細いポテトで普通。クリスピーは日本の倍くらいあるけど味は1/2くらいの薄味でパサパサ……早い話が日本の方が全然美味しいって事です。こればっかりは仕方ないオランダ…。

▼アイントホーフェンのKFCビル(5階層構造)


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