H12年度 屋久島山行記録 その2

 4月29日(土)     天候 晴れ 後 薄曇り

日 程 4:30起床 6:00淀川小屋出発 → 7:30小花之江河 → 7:45花之江河 → 8:10黒味岳分岐 → 投石岩屋 → 
9:45宮之浦までの最後の水場 → 10:30宮之浦岳山頂着 10:50宮之浦岳山頂出発 → 11:10焼野三叉路 〜昼食〜
→11:50焼野三叉路発 → 12:05平石 → 12:20平石岩屋 → 13:30第一展望台 → 14:00新高塚小屋(泊)
記 録  朝4時過ぎ、周囲のガサゴソという物音で目を覚ます。周りの人たちはすでに荷物をまとめ、朝食の準備をしている。4:30に他のメンバーを起こし朝食の準備をする。昨日のすき焼きの残りでおじやを作ったが、甘いので妙な感じだった。はっきり言って不味い。なんとかおじやを腹に流し込み出発準備。屋久島山行2日目、今日からが屋久島山行の本当の始まりだ。天気は上々!他のパーティーに少し遅れて6:00に淀川小屋を出発した。

どこまでも透明で美しい淀川

 完全に透明で澄みきった淀川にかかる橋を渡り、まずは花之江河を目指す。周囲の森は濃密さを増し、巨木が次々に現れる。木の根が縦横に走る登山道を、重い荷物にあえぎながらゆっくり登る。1時間ほど登ると左手の展望が開け、木々の間から巨大な岩の乗ったピークが目に入る。本高盤岳である。山頂の岩は「トーフ岩」と呼ばれているらしい。たしかに豆腐を包丁で切ったようにも見える。

豆腐を包丁で切って乗せたようなトーフ岩

 まもなく道は下りに転じ、木道が現れる。そして突然開けた場所にでた。小花之江河である。今までの道中とは全く違い、ミズゴケの生える開けた湿原の周囲に松のような杉が立ち並ぶ。まさに山上の庭園である。鞍部からは先ほど目にしたトーフ岩も見える。木道を渡り先に進もうとしたとき、3匹の屋久鹿が姿を現した。水をのみに来たのだろうか。

小花之江河からはトーフ岩も見える。

 小花之江河を後にし15分ほどで、今度は花之江河に着く。ここは湯泊歩道、安房歩道、栗生歩道からの道も集まる、宮之浦岳への中継地点だ。小花之江河と同じくとても美しい場所だ。目前には黒味岳がそそり立つ。湿原の水は澄んで冷たく、所々まだ氷が張っている。周囲に目をやると土砂流入を防ぐ為の木枠などが見られ、日本最南端の泥炭層湿原を守る為の努力が伺える。

まさに山上の楽園を思わせる

 花之江河を後にし30分ほどで黒味岳との分岐に差し掛かる。黒味岳は屋久島の中でも一番の展望といわれ、片道30分ほどなので登ってみたかったが、この先の体力温存と、新高塚小屋の寝場所確保のために早めに先に進もうと言うことで見送った。先へ進み、黒味岳が見渡せる投石平で休憩する。黒味岳山頂の岩の上で登山者が景色を楽しんでいるのが見える。この場所からも海が見えそうなのだが霞みと広がりだした雲のせいで見えなかった。まだ上空は晴れているが、雲の広がり方からするとこの先の天気がすこし心配だ。

黒味岳。山頂からの眺めは屋久島一らしい。

 投石平から投石岩屋を過ぎ急登を登ると、視界が開け尾根筋に出る。見渡す山々はヤクシマダケの緑のじゅうたんに覆われ、そのなかに岩が点々と突き出ている。このあたりからはよく整備された木道を歩くが、木道歩きは意外と疲れるものだ。木道脇には高所のため矮小化したアセビの木が白い花をいっぱいにつけていて目を楽しませてくれる。遭難碑を過ぎ行く手の山々の景色を楽しみながら、安房岳、翁岳の下を通過し、宮之浦までの最後の水場で休憩、水を補給する。

最後の水場の手前。木道が続く登山道を進む。

 水場から正面に見えるピークを目指す。メンバー全員すでに疲れが見え始めている。あのピークが目指す宮之浦岳なら嬉しいのだが、残念ながらそのピークは栗生岳で、宮之浦岳はその先だ。疲れた体を奮い立たせて急登に挑む。栗生岳山頂の巨石を過ぎるとようやく目指す宮之浦岳が見えた。後少しだ!

ようやく姿を現した宮之浦岳

 最後の急登をなんとか登り、不思議な岩肌の3基の巨岩をすり抜け少し登ると岩の上で休憩する人たちが目に入る。ついに九州の最高峰、1935mの宮之浦岳山頂に到着!ここでメンバーの一人はおもわず山名と標高を記した丸太に抱きつく。

山頂に立ち喜びの笑顔がこぼれる

 山頂からは周囲の山々が一望でき、特に西にそびえる岩の露出した永田岳が目を引く。

宮之浦山頂から、岩肌の露出した永田岳を望む

 しばらく休憩し山頂からの眺めを楽しんだ後、北側斜面を下り新高塚小屋を目指す。15分ほど下った焼野三叉路は永田岳への分岐である。ここの広場で昼食をとることにする。ぽかぽかと暖かく昼寝をしたいような天気だが少しガスも出始める。休憩を終え先へ進むが、疲労がたまり足が重い。平石まできたところで再度休憩。この頃になるとガスがかかり周囲の展望は効かないが、晴れていれば絶景の場所らしい。

 平石から徐々に高度を下げ、行く先に樹林帯が見えてくる。樹林帯に入るとシャクナゲの木が目立ち始め、高度が下がるごとに少しづつ杉の木が大きくなっていく。そして杉の原始林に入ったのだ。杉の巨木がそびえ立ち、ヒメシャラやモミ、ツガの大木が脇を固め、森を成している。

 疲れた体を引きずりながら原始の森のなかをゆっくりと進む。重いザックが肩に食い込み、疲れもピークに達してきたころ、第一展望台にたどり着く。ここから新高塚小屋まで残りわずかだ。重い腰を上げ最後の急斜面を下り、ようやく2日目の宿泊地、新高塚小屋に到着した。

 到着した我々を出迎えてくれたのは、3頭の屋久鹿だった。その中の1頭は人懐こく近づいても全く逃げる様子がなかった。新高塚小屋は立派なつくりで中も広い。連休初日であり泊まれるか心配だったが、到着時間が早かったのでガラガラだった。早速寝る場所を確保し、メンバーそれぞれ昼寝をしたり周辺を散策したりする。

人懐こい、角の生え変わりつつある雄の屋久鹿

 時間が下がるにつれ、小屋泊まりの登山者が増えてくる。夕食を取る頃には小屋はいっぱいで外の広場でテントを張るグループもあった。早めに小屋に到着したのは正解だった。夕食は各自レトルトのカレー。そして暖めたイワシの蒲焼の缶詰を肴に、安房で購入した焼酎と緒方くん持参のブランデーをちびりちびりと飲む。空はまた雲の隙間から星が見える。週間予報では翌日は雨とのことだが、この調子ならなんとか下山まで持ちこたえるかも知れない。この日は疲れもあり、19:40には就寝する。

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