キーノさんのBoys of Summer

 ■ 「BOYS OF SUMMER」

  第3章


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 10


朝、4時半はまだ闇に包まれている。
荷物を持ち部屋を後にし、Hollywood Blvd.にて迎えの車を待つ。ホテルには昨日の内に支払いを済ませ、鍵は部屋に残しロックしておくこととしていた。
4時45分を過ぎても車はまだ現れない。
「おいおい、また電話しなくちゃいけないのかい」と思い始めた頃、角を曲がって近づいて来るVanの姿が見えホッとする。ドライバーにバウチャーを渡し、あとは空港まで。UAでチェックインを済ませ、軽く朝食を取り機上の人となったのは定刻の7時。
Hollywood Blvd.
予定外なのは今ひとつよく寝られなかったことか。
New Yorkへは午後3時を回ったころに無事ランディングした。
西で見ていた天気予報では低気圧が停滞している予報であったが、幸いなことに雨は降ってはいない。
荷物が出てくるまで少し時間がかかったものの、Shuttle Busにて地下鉄の駅まで行く。NYに来るのも5年ぶりだが、トークンに取って代わってメトロ・カードなる磁気カードが生まれている。
落書きの車体と入場料のトークンもいにしえの幻となっちまったのか。
古いものは消え去るのみ?すべてがそうあるべきじゃないさ。「A列車で行こうぜ!」。
14Streetで乗換え3rd Avenueで降りる。順調だ。NYで根城とするUnion Square Innは目と鼻の先。
チェックインを済ませ部屋に入ったのは午後5時半。
小さな部屋だがシャワーも付いてるし、宿代の高いNYで$73+TAX(最終日は$98+TAX)は御の字である。
グリニッジ・ビレッジの北のはずれだがビレッジにも歩行範囲で立地もお気に入りだね。
Union Square さっそく街へ出て、すぐ近くのUnion Squareまで歩くとVirgin Megastoreがあった。
夜はごっつく午前1時まで開いているとのこと。本日リリースとしてDylanの「Masked And Anonymous」が沢山並んでいる。2枚組の限定版が$14.99とは安い、後で買わないと。
凱旋公演中のBruceも大々的にディスプレイされていて、買い逃していた「Live In New York-DVD」も同じく$14.99、これもチェックと。
とりあえずFree PaperのVillage Voiceを1部いただき店を後にする。
地下鉄を乗継ぎChambers Stまで行き、Battery Parkへと向かう。
7時よりRockffeller PlazaでKate & Anna McGarrigleのフリー・コンサートが行われるのだ。
緑の芝生が見えてくる。「何とか間に合ったかな。5分前か」と思ったら、誰もいないじゃない。間違ったかなと思ったら、何か張り紙がある。
「何々、今日のコンサートは雨模様ですので近くの高校の講堂に場所を変更します...だと」
やばいっす。足早にその場を立ち去り、来た道を小走りに戻ると、高校は結構近くにあって一安心。前の方は一杯ですので、後ろへ行くとするかね。そんなにおっきなところじゃないし。
スタッフの女性が出て来て、会場変更の為に遅れて来る人がいるから20分開演を遅らせるとのアナウンス。「なんだ、急ぐ必要なかったのね」。とは言いつつ、フレキシブルな対応にもちょっと感心しました。
McGarrigle Sistersの熱心なファンとは言い難いオイラですが彼女達のファーストは愛聴している。
ま、曲を知らなくてもFolkieな歌心は通じるだろうと安易に考えてます。
タダのライヴだし多くは望まずリラックスしてね。てなことで20分遅れでライヴは始まった。
Kate & Anna McGarrigle 1975


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 11


McGarrigle Sisters しょっぱなから知らない曲です。
KateとAnnaはギターの他にバンジョー、ピアノ、アコーディオン等を演奏して歌う。バックはベースとピアノ、フィドルに女性コーラスがサポートする。フィドルの兄さんが良いアクセントをつけているな。カナダはモントリオール出身というバックボーンからか、時にフランス語歌詞の歌も歌うが、柔らかでとても気持ちよく耳に響く。数曲進むうちにやっと知った曲"Jigsaw Puzzle Of Life"が歌われる。次に出たのが"Love Is"。この曲はEmmylou Harrisがカバーしているが、彼女達にしては珍しく青空に突き抜けたような清々しい曲でとっても素敵だ。しっかしおばちゃんになっちゃってます。
そして何曲か進むうちに"Heart Like A Wheel"が歌われました。彼女達の代表曲と言ったらやっぱりこの曲でしょう。多くの人に歌われていますが、やはりオリジナルは格別です。胸が熱くなります。

しかし時間がたつにつれ、LAからの移動の疲れからか眠気が襲ってくる。
うとうとしながら聴いていると、突然に彼女達がこう話し出した「今日は友達が来てくれています。Emmylou Harrisです」。
「え〜っ」と椅子から転げ落ちそうになりましたが、いっぺんに眠気は覚めてしまいました。
本当にEmmylouはギターを持って現れたのです。こういうのがあるから、海外遠征は病みつきになってしまうのですよ。
Emmylou Harris 9月に出る彼女の新譜にKate & Annaも参加しているらしいが、その縁なのでしょうかね。
しっかし一緒にやった2曲とも知らない曲ですが、3人のコラボは透き通った感じでとてもクールでした。
Emmylouも今や銀髪ですので3人そろって同じような髪の色でまるで3姉妹のよう。
Kate & Anna
ここで大きな拍手に包まれて一行は下がって行きましたが、アンコールに答えてEmmylouも一緒に出て来てくれました。フィドル1本をバックに女性5人で"Hard Times"が歌われる。フォスターは最古のカントリーのコンポーザーですよね。最高です。
「辛い日々よもう二度と来ないで」と歌う様は、アメリカの歴史が感じられ何か感動しちゃいました。とっても気持ちよく会場を後にしことは言うまでもありません。これでタダですからたまりませんよ。

まだ9時を過ぎたばかりなのでWashington Squareで地下鉄を降り、Villageを闊歩しながら家路に着くことにする。Cafeは賑わい、Bleecker StではLive Houseもそろそろ2nd Stageを迎えようとしている。
Voiceを見ても今日は惹かれるものはあまりないな。
Bottom Lineも今日はライヴはないし。じゃあVirginまで行くかな。

喧騒は続く。

この街はいつまでも眠らない。


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 12


昨晩はその日のうちにベッドへ入ったこともあり目覚めはよい。
嬉しいことにコンチネンタル・ブレックファーストが付いており1階のダイニングへと降りてみる。
既に2組の客が食事中であり、パンとコーヒーを持って空いた席へ。簡素な朝食だが、小腹が落ち着くのはなんともありがたい。
それではコーヒーでも飲みながら今日の予定でもたてようかね。
食事を終え階段を昇ろうとした時、足が止まった。
ロビーの横にフリーのポストカードがラックに沢山あるんだが、その中に「Masked And Anonymous」のものがあるじゃない。
裏を返せば、Opens Friday,July 25th「7月25日(金)公開」の文字。
「おっ、こういうのは館長が喜ぶのよね」
と10枚ばかり抜いてまいりました。
いよいよもって良い宿である。
Masked and Anonymous
Rockefeller Center 今日も予定が目白押しとばかりに宿を出る。路面が濡れており、夜に雨が降ったようだ。
そうこうすると霧雨じみたものが頬を濡らし始めている。
今日は降られるとまいるよな〜。
まずは地下鉄に乗り42nd st.まで行き、Port Authority Bus Terminalで明日のAtlantic City行きのBusをチェック。こまめに出てるので一安心です。
それじゃ、5番街をセントラル・パークまで歩くとしますか。
ロックフェラー・センター脇の三省堂は在住日本人の憩いの場。
久しぶりに日本語見て和みましたね。
セントラル・パークが近づくにつれて観光客の姿も多く見かける。
Sheep Medowの芝生でゴロゴロしたかったけど、雨で濡れた芝生じゃだめですね、
残念。昼寝にゃもってこいの場所なんですがね。
「それじゃあ、Bronx Zooへ行こうか」。と言ったってここは動物園じゃなくてYankee Stadiumの通称です。
70年代後半に活躍したリリーフ・エースのSparky Lyleの自伝も確かこのタイトルでした。今日は平日というのにラッキーなことにデー・ゲームなのです。ゴジラ松井の雄姿を見るべく、チケットを予約しておきましたが、Yankeesのチケットは全米1高いこともありブリーチャー(外野席)での観戦です。
悪名高きBronx Zooの外野席客ですが、1980年の夏に一度体験ずみでして大丈夫OKです。
てなことで球場に着き、Will Callでチケットをもらいいざ中へと思ったら、「ダメダメ、バッグは持ち込めないよ」とおっしゃるじゃない。「え〜、どうすんのよ」って思ったら「前のボーリング場で預かってくれるから」だって。
「こいつら組んでんじゃねえの」と思いつつも、しょうがないんでデポ払ってバッグを預けてから渋々球場内へ。もたもたしてたんで試合開始ももうすぐです。
Yankee Stadium

先発はエースのRoger Clemens。300勝投手でサイ・ヤング賞6回、おまけに1試合奪三振20個の記録を持つ通称ロケットが見れるんだ。
Roger Clemens ちなみにSan Diegoで見たRandy Johnsonは昨年まで4年連続5回のサイ・ヤング賞を受賞している。どっちもすごいです、ハイ。
松井もレフトで元気に先発出場。試合はClemensが2ホーマーを浴びて5失点3回KOとちょっと残念でしたが、力感溢れるピッチング・フォームには真の大リーガーの姿をかいま見ることができました。
今年で辞めるとは何とももったいない話です。松井も3打席目にタイムリー・ヒットを放ち、ファンの大きな声援を受けていました。おまけで外野席のハイタッチの輪に加えてもらったよ(笑)。
ゴジラ松井

松井の本領は2年目の来年。ゴジラの咆哮にもっと大きな声援が投げかけられることを信じ、7回終了後に次のイベントへ向け席を立つ。


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 13


地下鉄に乗り42nd st.に戻り、B.B KINGの店の前へ。
Bruce Springsteenのコンサートを見に来たコバヤシさんを始め日本からの知人達とここで待ち合わせている。地球も狭くなったものです。
ほどなくコバヤシさん、福島のなべちゃん、千葉のカトーさん、愛知の体育教師の市ちゃんとランデヴー。
コバヤシさんをツアコンに一路Giants Stadiumへバスで向かう。
バスが到着すると皆がすぐにグッズ売場へ。皆さん結構買いますな。
チケットを受け取り、ひとまずスタヂアムの外で再会と健闘を祝してビールで乾杯。21日に既に見ている2人から様子をうかがう。
雨が降ったこともありBruceの闘志を掻き立てたとのこと。でも、雨はやだな。今日も雨予報だが曇りで何とかとどまって欲しいもんです。
席はバラケており、中に入ってからは同じ下段レベルのカトーさんと市ちゃんと飲みながら待つ。
Giants Stadium
開演時間が近づいて来たので皆と別れ席につくも、これがなかなか始まらない。先達の話だと平気で50分押しのスタートだったと聞いていたが、この日も1時間押しの8時半スタート。
まあ前座がないからいいけどね。精一杯楽しませてや。何せここは地元ニュージャージーなんだから。

Bruce on stage E Street Bandのメンバーに続いてBruceが出てくる。Bruceの口元にハーモニカが運ばれるのが見える。吹かれる曲はすぐにわかった。"The Promised Land"。
「お〜、この曲好きだゼ!」
「ナイフで俺のこの胸の痛みを切り取ってくれ」とハードボイルドに歌ったかと思うと、「俺は約束の地があることを信じている」と青臭く歌う。
オイラが20才の時にリリースした曲で、初渡米時のホテルのラヂヲでよく聴いたことを思い出す。青春真っ只中の曲。グッとくるぜ。
新譜「The Rising」の曲が続いた後での"Streets of Fire"もBruceのギターが唸る、ちょっと意外な選曲で嬉しくなる。「闇に吼える街」は素敵なアルバムです。
"Prove It All Night"や"Badlands"も歌ってくれたんだ。もちろん新譜からの曲も多いが、一緒に歌うことができるこれら昔の曲は格別さ。
終盤でも"Meeting Across the River"から"Jungleland"というすばらしい流れを。本編ラストは"No Surrender"。来日公演ではバンド演奏でなくアコースティックでやったものだが、やはりこの曲にはバンドサウンドがぴったりくる。「俺は決して降伏はしない」と何度も叫びながらBruceはステージを降りていった。ただ誰もがアンコールがあることを知っている。
Bruce Springsteen, Patti Scialfa, and Steven Van Zandt それもどれくらいやってくれるのかと期待をしながら。
まずは"4th of July Asbury Park (Sandy)"。美しい曲だ。目をつぶれば独立記念日のアズベリー・パークが見えるようだね。
次いでやっぱり出たか乗り乗りのR&R"Ramrod"。
Bruce and Little Steven
そして場内の灯りが点いて"Born to Run"の大合唱。オイラも精一杯歌ったよ「俺たちゃ生まれながらの素っ飛び野郎だ」ってね。

ここでアンコールの1部(?)が終了。2度目のアンコールは9.11を思い起こさせる"My City of Ruins""Land of Hope and Dreams"と静かに続いたあとで、たまったものを吐き出すがごとく"Rosalita"が演奏される。この曲が盛り上がらないわけがない。そして長い。Big Manとのからみがたまらないです。かってNo Nukesの"Quater To Three"で見たように、もう歌えないと倒れたのを聴衆の大歓声で立ち上がって再び歌う様にショーマシップも感じました。でもその場で見てるとこれが結構はまるものです。
そして再び場内を明るくし"Dancing in the Dark"を最後に歌う。
しかし曲の途中でお客がゾロゾロと帰っていく。それもアリーナの連中さえも。
「オイオイ、何で帰るんだよ。地元の英雄だろ」と思いちょっと寂しくなりましたね。
きっかり3時間のライヴ。燃えました。
でもって買わないつもりだったTシャツを買ってしまいましたよ。Bruceへのご祝儀です。
Bruce's T
分かれていた友人たちと再び落ち合い、バスに向かって歩き出す。
先達からは21日の方がよかったとか曲数が少ないなんて声もあったけれど、オイラにとっては最高でした。日本ではもう終わった人と見るむきも少なくないかも知れませんが、彼らのライヴは今でも最高ですよ。外向きのパワーは凄いです。でもちょっとスローな曲が増えたかな(笑)。請う来日公演!

マンハッタンへ戻りそれぞれがそれぞれの思いをもって分かれていく。

同じ時間を共有したものでなれれば分かり得ない思いを秘めながら。


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 14


「今夜、Atlantic Cityで会おうぜ(from "Atlantic City")」とBruceに言われた訳ではないのだが、アメリカ最後の夜はEaglesを聴きにAtlantic Cityへ行くことにしていた。
午後3時のバスに乗るつもりであり、時間があるので午前中は以前から行ってみたかったBrooklynへ行ってみることにする。でもその前に今日は帰りが遅くなるから荷造りをしないとね。
荷造りを終え、とりあえずVillageのTowerへ行く。買うもの買っとかないともうチャンスないからな。
「Hole In The World-DVD / Eagles」
「What If It All Means Something-CD / Chantal Kreviazuk」
「Sessions At West 54th-DVD / Neil Finn」
「Nitty Gritty Surround-DVD / John McEuen And Jimmy Ibbotson」
「Live-DVD / Alison Klaus」
「I Am Trying To Break Your Heart-DVD / Wilco」
「Woman Of Heart And Mind-DVD / Joni Mitchell」
と大量購入しちゃいました。
Tower Record@NY
Brooklyn Bridge 背中の荷物がちょっと重たくなったようだが、これ位は何ともなしです。
ここで地下鉄に乗りBrooklyn Bridge Stationまで。地上に上がれば目の前に橋が広がる。「さあ、一丁渡るかい」と歩き出す。日差しが強いので帽子はかぶらないとな。地元の人の他にオイラのような観光客も歩いているし、ジョギングしたり自転車に乗ったりしている人もいる。
橋の途中で、ManhattanとBrooklynの両方のパノラマを見てみる。East Riverの真上にいることが何か不思議な感じがする。車で渡ればすぐなのだろうが、歩いて渡ればその距離を感じることができる。旅も目線の位置でずいぶん感じ方が違うものだからね。
橋を渡りBrooklyn Heightsへと入っていく。ピート・ハミルのエッセイなどで馴染みをもっていたが、Manhattanの喧騒と離れた人の住む静けさがここにはある。しばらく歩いてみるが、特に目新しいものはない。でも、これもNew Yorkなのさ。
地下鉄に乗りVillageまで戻り昼食を取る。再び歩き出し宿を目指す。
途中、Joe's Pubの前では演劇のマチネがあるようで長蛇の列ができている。ここではだれもが思い思いの時間を楽しんでいるんだ。
宿に戻り不要な荷物を残し、Port Authority Bus Terminalへ向かう。Academy Busの往復チケットを$27で購入、出発を待つ。
午後3時に予定通りバスは出発。午後5時半にはAtlantic Cityに到着する予定であったんだけど....。
途中、猛烈な渋滞に遭う。ライヴは8時からだが、次第にあせってくる。
Trump Plaza
「これじゃ今日はカジノで遊べないか」と思いちょっと残念です。
とは言いつつBusは午後6時半を少し回った位にTrump Plazaヘ到着しホッとしました。
バスを降りる際、カジノから$15キャッシュ・バックのクーポンが渡される。つまりバス代は$12になるっていう事。これはカジノ直行バスの特典であり、「もっとうちのカジノにお金落としてね」というコマセっちゅうことです
。時間に余裕が無いのでキャッシャーで現金$15をいただいて、ピザ屋で飯を食うことにしました。困った客です。

ボードウォークの前にはAtlantic Oceanが広がり、日が傾きかけた海岸に泳ぐ人の姿も見える。リゾート気分満載のAtlantic Cityであるが、海際を少し離れるととたんに寂しくなる砂上の楼閣である。
Boardwalk Hall そのボードウォークのセンターに位置するBoardwalk HallでEaglesの"Farewell T Tour"が行われる。
人からは集金ツアーと陰口叩かれているようだが、Eaglesの名前だけでオイラのように飛びついてしまう人も少なくないはず。額面$200のチケットは辛いので、ぎりぎりアリーナの額面$120のチケットを購入しておいた。
手数料込みで$141.25は今回見たライヴでの最高値である。
「う〜ん、これじゃ集金ツアーと言われてもしょうがないか?でも新曲出したし、Don Felderや過去の競作者から印税未払で訴えられてて金かかるんだろうな。Farewell Tていうことはいくつまでやんのかな?」
いろいろな思いが交錯しつつ、会場の灯りが消えたのは午後8時15分。さあ、始まるぜ!


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 PART 15


ステージの上部にスクリーンがあり、そこに彼らのビデオが5分程流される。
スクリーンが上部にあるのも珍しいが、サイドにあるより目線を動かす角度が少なく、思いのほか見やすいものである。
そうこうするうちにメンバーが出てくる、
Don Henley、Glenn Frey、Timothy Schmit、Joe Walshの4人以外にサポートのギター、ドラムス、キーボード2台にホーンセクションが加わる。
Don@Drums 1曲目は"Long Run"だ。
「あれあれ、Donはセンターでハンドマイクかい」ということで、ホーンもにぎやかに完璧なR&B Reviewのスタイルです。まあ、これもありですね。
次の"New Kid In Town"ではDonはドラムスを叩いていたが、次の"Wasted Time"では再びセンターでスタンドマイクで歌うといったふうでちょっと心配です。
ソロ作はギターを弾いて歌うが、Eaglesのオリジナルは基本的にタイコを叩くという基本が崩れているようで。
Don@Vocal
その後もEagles Classicsが演奏される中、中盤で出ました新曲の"Whole In The World"。
ソウル・グループと見間違えるような曲ですが、もともと彼らは黒もん好きでして、こういった曲だとハーモニーも生かせるし落としどころなんだろうなと納得はしてしまいます。
Tim, Joe and Glenn
途中、ギターがSteuart Smithであるとの紹介あり。Don Felderのパートはきちんと埋めており、その不在は何ら気にはならない。やっぱリード・ボーカル取らない人は影が薄いのでしょうか?
Smith氏はRosanne Cashのビデオなどで見ていたので顔は分かったんですが、名前は失念していました。1部でのソロの曲は意外なことにDonの"Boys Of Summer"だけでしたね。
第1回MTV大賞のこの曲、ステージ栄えするかっこよさがあります。
そして1部は重たいベースラインがたまらない"呪夜=One Of These Nights"を極めてひとまず55分程で終了。

目があった隣のおっちゃんと「よかったネ」と言い合ってビールを飲みに席を立った。
こんな高い料金とっていながら満員の聴衆が埋めている。さすがビッグ・ネームである。20分の休憩があり、2部は"James Dean"で軽快に始まった。
"Lyin' Eyes"に続きTimothyが大きな拍手をもらって"I Can't Tell You Why"を歌う。この曲はアメリカの親父連中も大好きなようです。
そしてここからギアが高速になっていく。意外なことに2部はJoe Walshが大活躍なのです。
まずは"Walk Away"そして何曲か置いて"Turn To Stone"が演奏される。高校生の頃、毎日のようにJoeのLIVE盤(ミラー・ボールのやつネ)を聴いていた時期がある。
Eagles加入後もしばらくはレパートリーとしてやっていたようだが、Hotel California以後はだんだんやらなくなっていた。嬉しい嬉しい!1部では"In The City"もやったし、その後も"Life's Been Good"と"Funk 49"とJoe大暴れである。
Tim, Joe and Glenn again こういうEaglesもいいな、なんて思っちゃいました。
その反面、Glennはソロ曲が"You Belong To The City"1曲だけと地味目でした。
まあ、GlennはDonと共にEaglesのほとんどの曲を歌うからそれでいいけれどね。
Donのソロ曲も何曲か演奏しつつにぎやかに、かつ長々と続いた2部も"Heartache Tonight""Life In The Fastlane"と続いて幕を下ろす。

2部を上回る1時間20分。楽しかったです。
でも、あの曲もあの曲もやってないという事で彼らはアンコールに答え出てきた。おなじみのイントロは"Hotel California"だ。Steuart Smithはご丁寧にちゃんとダブルネック・ギターを抱えている。やっぱそうだよな。1曲演奏したら、彼らは下がっていく。
「そんないちいち下がらなくても...」と思うやすぐに出てくる。
「う〜ん、この辺パッケージっぽいな」。ちょっと興ざめ。
そしてまたまたJoeの大噴火の"Rocky Mountain Way"とDonの"All She Wants To Do Is Dance"をハードにきめて...また下がる...そしてまた出てくる。
"Take It Easy"。
ウェストコースト賛歌の1曲、ずっと歌ってました。
やはり永遠の1曲でしょ。
長〜く続いたステージもついにオオラス、Donが"Desperado"を切々と歌い上げて去っていく。
やっぱ彼らプロですよ。お客の喜ぶところ掴んでますもの。
「アンコールが35分か。てことは、2時間50分ね。お〜、がんばるな奴ら。まだまだ稼げるな」
ということで終了は11時半を回ってしまった。
Eagles

NYへのBusは日にちが代わった午前0時半。
まだまだにぎやかなボードウォークで火照ったからだを冷ましつつ、時を過ごす。
Busがやって来て、シートに体をうずめる。Busは暗闇を引き裂き走り出す。
この闇の先はNY、そして東京へと繋がっている。

だが人生という長い旅はその先も続いていく。その先に約束の地があることを信じている限りは。


   ■ 「 BOYS OF SUMMER 」 EXTRA



まだ20才になったばっかでした。19才でパスポートを取りに行って「親の許可もらわんとあげません」と突っ返されたり、7月4日の独立記念日の日にビザ取りに行っちゃって大使館が閉まってたりと、まだまだ世間知らずのお子チャマでしたネ。
情報も少なくて、Bonnie RaittとRandy Newmanくらいしか見れなかったかな。でもRandyのバックにBill PayneやBobby LaKind、Milt Hollandなんてのがいてアメリカってすっげ〜なと思ったもんでした。
ホントはカウボーイに憧れての初渡米なのです。



前のページへ INDEXに戻る