Not Friends

第3話 偽善の花

「来て大正解だったみたい♪」
 モーリガンが目的地に着き、近距離モニターが花畑を間近にとらえた時、ミルカは顔をほころばせて呟いた。
 純白の花畑の中に一人の人間を見つけたからだ。
 性別は女。歳はだいたい20代中盤くらいであろうか、スラッとした体型で、髪は後ろで束ねており、服はTシャツとジーパンを着ている。顔は少しやつれていて、頬が少しこけているものの、かなり整っている。シャベルと水差しを持っており、なおかつこの花畑の中にいたのだから、この花畑の手入れをしていたのであろう。純白の花畑にたたずむ彼女は、その美しい花たちにひけをとらない。
 そんな彼女は驚きの表情を浮かべている。原因はもちろんミルカのモーリガン。SPがいきなり花畑の前に止まったら、誰だって驚くだろう。しかもミルカのSPは重装型である。威圧感は一般的な汎用型の比ではない。
「驚かしちゃってゴメンなさーい。怪しいもんじゃないから安心してねぇ」
 ミルカはスピーカを使い、間延びした声でその女性に声をかける。声をかけられた女性は、重装型から女の間延びした声というギャップの大きさのせいで呆気に取られていた。その様子が映ったモニターを見たミルカは、コクピットカバーとシャッターを開いた。
「はぁい。こんにちは♪」
 身を乗り出し笑顔で言うミルカ。
「こ、こんにちは……」
 その異様な雰囲気に押され、女性はミルカの挨拶に思わず応えてしまう。ミルカはそれを聞くとモーリガンから降り、女性の側に歩み寄った。
「……………………」
 女性は、ミルカの一本調子の外れた行動に困惑して、忘れてしまっていたた警戒心というものを思い出したらしい。訝しげな表情を浮かべている。
「キレイねぇ……白いイネーションの花だけの花畑なんて初めてみたわ」
 ミルカはある程度まで近づくと歩みを止め、一面に広がるイネーションを見回しがら笑顔で言う。女性は警戒しながらミルカの方を見るだけで何も言わない。
「イネーションをこんな荒野に咲かせるなんて並大抵の苦労じゃなかったでしょうね」
 ミルカは屈んで一輪のイネーションを優しく撫でる。
「イネーションは栄養分の多い土が必要で、雑草もこまめに取ってやらないとダメだし……。
 除草剤も使えないしね。それをこれだけキレイに咲かせるなんて……」
「……それが……」
 ミルカがそこまで喋るとその女性が口を開く。ミルカは彼女の言葉の続きを聞くために少し口を閉じた。
「……それが私の使命ですから。」
 そう言った女性の表情は思い詰めていた。


 花畑を整備する道具。他は普通の生活に最低限必要な物しか置いていない。木造の小さな小屋だということも手伝って、そこは殺風景という言葉がピッタリだった。
 しかし今のミルカには、その雰囲気は不思議と落ち着けるものだった。
 ここは例の女性の家の客間。あの後ミルカは女性に招かれ、木のテーブルとイスのある部屋でくつろいでいた。この小屋はイネーションの花畑のほぼ中心にあったので、イネーションの甘い香りがミルカの鼻孔を絶えずくすぐっている。
「たいしたものはありませんけど……」
 女性がミルカのいる部屋の入ってくる。その手にはハーブティーとクッキーの乗ったトレイがあった。
「そんな気を使わなくてもいいのよ、こっちが押し掛けたんだからさ」
 ミルカはパタパタと手をふって言う。それを見た女性はクスリと笑い、ハーブティーを勧めた。
「あら、いい香りね。ジャスミンかしら?」
 ミルカはハーブティーを一口含んで言う。
「はい、それにしても花に詳しいんですねあなたって」
「ミルカよ」
 あなたと言われたミルカは即座に名を名乗る。
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はリーシャって言います。ミルカさん」
「呼び捨ていいわよ。お互い歳はあんまり変わんないだろうしね。
 あ、歳は聞かないコトにしましょう。お互い若いってことで」
「フフッ……そうですね。」
 ミルカの軽い口調にニッコリと笑うリーシャ。
「花……好きなの?」
 さっき花の話を中断したので、今度はミルカからその話を切り出す。
「ええ、子供の頃から育てたりしてたんです」
「このジャスミンもリーシャが?」
 少しだけ鼻にカップを近づけ、ジャスミンの香り楽しみながら聞く。
「ええ、裏の畑でいくつかハーブを育ててるんです。
 ……ところでイネーションを知っているなんて珍しいですね」
「ガタリに生息する結構マイナーな花だもんね。さっきも言ったけど育てるのも面倒くさいし、それに弱い……。少し手入れを怠けると枯れちゃう。でもとってもキレイなのよね。苦労に似合うくらいの美しさを持ってる。……私は好きよ」
 ミルカはクッキーを一口かじりながら言った。ミント系のハーブ入っているようで、甘さの中に爽快感を感じた。
「……そうですか」
 リーシャはしばらく間を置いてから少し浮かない顔をして相づちを打つ。ミルカはそのリーシャの態度に少し疑問を覚えたが、深く追求しないことにした。
 そんなに長くここにいるつもりがなかったからだ。もし深く関わってしまえば、長居してしまうことになるかもしれない。
「ミルカさんはどうしてこんなところに?」
 ミルカがしばらく口を開かなかったので、リーシャの方が口を開いた。
 それを聞いたミルカはいたずらっぽい笑みを浮かべてこう言う。
「家出してきちゃったのよ」
「え?」
 リーシャは、ミルカの言葉に呆気取られる。
「冗談じゃないのよ。身を置いていた場所から出てきたんですもの」
「……そ、そうですか」
 ミルカの言葉に嘘は無いが、リーシャは半信半疑のようだ。
「信じてないの?」
「いえ、そういうわけでは……」
 リーシャはそう答えたが、実際はあまり信じていなかった。ミルカのような女性が、重装型のSPに乗って家出するなんてことはまずない。
「ねぇ……、大切な人の気持ちを確かめたい……そう思ったことはない?」
 ミルカが間を置いてから話題を変える。
 いきなり問われる内容としては、少し重い内容だったが、リーシャはじっくりと考えて、返す言葉を探している。
「そんな気持ち……私にとっては随分昔に経験したものみたいに感じますね」
 黄金色のハーブティーの入ったカップを揺らし、それによって起こる複雑な光の反射を見つめながら、憂いを帯びた表情で答える。
「随分年寄り臭いわね」
「今は花が枯れないように見守るので精一杯ですから、そういうのからは縁遠くなってるんですよ」
 ミルカはなぜそこまで花にこだわるのかを聞きたい衝動にかられたが抑えこむ。先程と同様の理由からだ。
「大切な人の気持ちを確かめたい……まさかそのために家出を?」
 ハッとしたように言うリーシャ。今になって気付いたのは、リーシャが少し鈍感だったためであろう。
「子供っぽいでしょ?」
「いいんじゃないですか。まだ若いんですし」
 リーシャの軽い冗談に2人の雰囲気が和む。
「フフッ、そうね。
 でも……きっとね。無駄な努力だと思う」
 ミルカは物憂げな表情で頬杖をつき、窓の外を見つめる。風でゆったりと揺れるイネーション達が見えた。
「本当は追ってきてほしい、でも……そんな人じゃないのよ、その人って。
 ……それがわかっててもね。体が動いちゃうのよ」
 ミルカは、会ったばかりの人間に、こんなことを話している自分に驚いていた。
 そしてすぐ自分に問い掛けた。何でこんなこと話してるんだろう?と。
 答えはいくつか出た。
 誰でもいいから悩みを話せば気が少し楽になる、そのことを知っていたから。
 このリーシャという人間に自分の悩みを聞かせたかった。
 話題が見つからないからつい話してしまった。
 どれでもあるようでどれでもないような気もする。しかしそんなことはどうでもよかった。実際話すことで少し気が楽になったし、今の自分の話相手としては、リーシャは丁度いい存在のようにも思える。他に話す話題も見つからないのも本当だ。どうせ彼女は他人なのだから。
 そんなに真剣に考えることでもないだろう。多分返ってくる返事は、『きっと追ってきてくれますよ』という励ましの言葉や、『その気持ち、わかる気がします』という話相手の考えを肯定する言葉だろう。
「その気持ち……わかる気がします」
 頭のなかのシュミレーション通りの言葉に思わず吹き出しそうになる。しかしそうするわけにもいかず、「ありがと」と軽く言っただけで済ました。
 思ったとおりの言葉が返ってくるとおもしろくないと思うことが多い。しかし今のミルカは、なぜかそんな彼女に好感が持てた。
 そしてもうしばらくここにいてもいいな、という感情さえも生まれていた。
 ミルカがそんなことを思ったとき、うるさくドアを叩く音が鼓膜を激しく刺激する。
「何よ、ウルサイわね」
「あ、ちょっと待っててください」
 ミルカが不機嫌そうに言ったので、慌ててリーシャは席を立つ。
「何? 知り合いなの?」
 リーシャの態度がまるでドアを叩く人物を知っているかのように見えたので、そう声をかけるミルカ。
「ええ、まぁ……」
 リーシャは一言だけ答えると急ぎ足で玄関に向かった。ミルカは部屋に一人残される。
 急に話し相手がいなくなったため、退屈しのぎにポリポリと音を立ててクッキーをかじり始めた。
「何度言われようとこの土地を譲る気はありません!」
 ガタン!
 突然起こった大きな声に驚き、その拍子に足をテーブルの脚ぶつけてしまう。
「アタタタタタ……。
 何? リーシャの声みたいだけど……」
 そう呟くと、何が起こったのか知りたいという好奇心が生まれてくる。
「…………」
 ミルカは好奇心を抑え込み続けていたが、もう我慢できなくなり、席を立った。


「町にとってこの道路がどれだけ重要なものかわかっているのか?」
「だったらここを避けて造ればいいじゃないですか!」
 玄関に近づくことにより、リーシャとまだ見ぬ話相手の声がミルカの耳にも届いてくる。
「ここを避けて造ったら道路が長くなって町までの距離も長くなっちまう。費用もギリギリしかないんだぞ!」
「それはギリギリの費用しかなくてもこの土地は買えるってことですか?」
「……はぁん、わかったぞ、こっちが欲しがっているからってフッかけようってんだな!?」
「そんな安っぽい場所じゃないんですこの場所は!」
 ミルカは見つからない程度に近づき、様子を見ていた。
 はっきりとはわからないが、話の様子と声色の数からして、話相手は三人程度で全員男のようだ。
 リーシャは複数の大の男相手に一歩も引いていない。ミルカはリーシャのさっきまでとは打って変わった、三人相手に激しく口論する姿に少し驚いていた。
 話の内容からいって、ここの土地を売る売らないで言い争っているのだと予測できる。ここまでして売らないと言い張るのだから、リーシャにとってここは大切な場所であるのだろう。
「たかだか花畑だろうが!?
 ここに道路ができれば隣町とも商売がしやすくなる。それよって得られる利益によっては、傾き気味のこの町を建てなおすことも不可能じゃないだそ!」
「あなたたちにとってはただの花畑かも知れませんが、私にとってこの花畑は命をかててでも守りたい物です! 帰ってください!」
「…………」
 勝負あり。ミルカは心の中で呟く。こういう言い合いは一度でも勢いを失った方が負けだ。
「俺たちは絶対にあきらめんからな……」
 中年の男たちはそう言い残すと玄関から出ていく。その声色には明らかに敵意が籠もっていた。
「……ゴメンね。立ち聞きしちゃった」
 男たちが帰るとともにミルカは姿を現し、舌をペロッと出して言う。そんなミルカにリーシャは怒りの感情を覚えなかった。
 普通は隠れるだろう場面で正直に顔出す。しかも相手を怒らせないのはミルカだからこそできる芸当だ。
「見苦しいところを見せちゃいましたね……」
「ううん。怒ったあなたも素敵よ」
「フフッ、ありがとうございます」
 小さく笑うと、リーシャは来客が来る前の口調に戻っていた。
「大切な……場所なのね」
 さっきの部屋に戻る途中でミルカが言う。
「……ええ、あのイネーションたちは絶対に守らなければいけないんです」
 リーシャのその言葉と目には、強い意志が感じられた。
 大切な場所。
 ミルカはすぐにあのトレーラーを思い浮かべた。守らなければならないという場所ではない。
 現に今ミルカはそこから抜け出している。しかし、土地を売らないと言い張ったリーシャと、フェイルをチームに入れることを頑なに拒否する自分がダブッて見えていた。
 その時ミルカは、さっき感じたもう少しここにいてもいいと思う気持ちに従ってもいいと思っていた。


 まるで誰もいないかのように静まり返っているそこは、ミルカが朝飛び出していったトレーラーの司令室だった。
 しかし誰もいないわけではない。トレーラーにいる4人の人物のうち、2人がそこにはいた。
 一人はネイ、モーリガンの戦闘用のプログラムの改良をしている。
 もう一人はシリア。シリアはネイの作業を補佐していた。
 他の人間が何かのきっかけをつくらないかぎり、永遠に続くのではないだろうかと思うほどの静寂。
「帰ってこないかもしれないわね」
 しかしあっけなく静寂は破られる。しかもチームの中で一番口数の少ないであろうシリアによって。
「……さぁね……」
 ネイは黙々と作業を続けながらそう一言だけ答えた。
 これ以降、リンが夕飯の知らせをするまで2人の間に会話はない。
 彼女たちの会話はいつもそうだった。
 一言と一言。
 しかしその中にはたくさんの意味が凝縮されている。そして2人はお互いにその凝縮された言葉を理解することができるのだ。だから多くの言葉を必要としない。
 チームの中でもこの2人だけは、誰も介入できないような強い繋がりを持っているかのように見える。
 ミルカが最初にこのチームを抜け出したのは、2人のこの繋がりのせいだった。
 自分はネイと強い繋がりを持ちたいのに、この2人の中には入り込めないというのが理由だ。
 その時は半日で帰ってきた。『いつか私だけを見つめさせてあげるから』と言って。
 次の日からはネイとシリアのことについてあまり触れることはなくなった。
 他にも男の依頼を請けた時や、自分が買い物をしている間に勝手に依頼を決めたとき、ネイが自分のつくったクッキーをまずいと言ったとき、リンが酢豚にパイナップルを入れたときなど、ほんの些細なことでもミルカは、今している『家出』という行為をする。
 短いときで3時間。長いときでも16時間と短い。どんなに遅くても他の場所で1泊することはなかった。
 しかしそれは、衝動的な怒りによって起こした『家出』だったからだ。しかし今回、不安というものが入っている。2人はそれに感付いていたために今のような会話を交わしたのだった。
 あれからトレーラーは動かしていない。ミルカが家出をしたときは例外なくそうしていた。
 いつもは帰ってくるだろうと予測していたから。しかし今回は少し違った意味も含まれている。その意味は、多分ミルカが帰ってきたとしても、ネイが言葉にすることはないだろう。
 ネイはそういう人間だし、ここはそういう場所だからだ。


「ただいまぁ」
 ミルカは自分の家でもない昨日までは他人だった人間の家に、そう言って入ってくる。
 時刻は十七時二十分。空が赤く染まる頃である。ミルカの手にはスーパーの袋がぶらさがっていた。
「おかえりなさい」
 その言葉に答えるリーシャ。ミルカはその当たり前の言葉に少し照れながら、ダイニングキッチンに向かい、テーブルに買い物袋の中身を広げていく。
 袋の中身は鳥肉や野菜などの食材。それにタオルなどの生活必需品が入っていた。
「ふぅ……それにしても、最寄りの町まで随分あるのねぇ〜。
 買い出し大変でしょ?」
 ミルカは、リーシャの車を借りて最寄りの町まで買い出しに行っていたのだが、往復で一時間もかかってしまった。
「ええ……でも、買い物に行くのは月に一回くらいで、だいたい裏の畑の野菜達で充分足りますから。」
「ふぅん……。小食なのねぇ……。」
 ネイとは大違いだと、心の中で呟き、腕まくりをしながら相づちを打つ。
「何かお手伝いしましょうか?」
「ああ、いいのいいの。今日ここに泊めてもらうお礼なんだから。リーシャはイネーションの手入れでもしててよ」
 ミルカは長い髪を束ねながら言う。
「そう……ですか。じゃあお言葉に甘えさせてもらいます」
 リーシャはニッコリと笑い、道具を片手に外に出ていった。
「さてと……」
 ミルカは慣れた手つきで野菜の下ごしらえをする。包丁さばきはあざやかの一言で表現できるほど無駄がなく、みるみる野菜が料理の材料の形に変化していく。
 野菜の下ごしらえが済むとすぐに鴨肉に下味をつけはじめた。それが終わるとすぐに鴨肉を冷蔵庫にしまい、今度は舌平目をさばき始める。
 そんな調子で料理をしていくミルカ。その手際の良さは下手な料理人よりも上である。
 ミルカが調理を始めてから90分、テーブルには見た目も香りも申し分ない料理が並んでいた。
 ミルカがつくったのはコンソメスープ。アスパラガスのサラダ。舌平目のムニエル。鴨のソテー。
 ミルカの出身国、レンチの料理だった。ミルカは並んだ料理を見ながら満足気に一息つくと、外にいるリーシャに窓から声をかけた。
 リーシャは少し疲れた声で返事をすると、道具を片付け、手を洗ってからダイニングキッチンに入ってくる。
「うわぁすごいですね。これは……レンチ料理ですか?」
 リーシャが料理を見て少し興奮気味に言うと、ミルカが頷く。。
「高級なレンチレストランのコース料理と変わりませんよ」
「まっ、これくらいは女のたしなみよ」
 ミルカは少し誉めすぎだと感じていたが、売り言葉に買い言葉のノリで得意気に言った。
「じゃ、冷めないうちにどうぞ」
「はい、いただきます」
 リーシャは少し慣れない手つきで、上品にスープを食べ始めた。
「あ、コース料理みたいだからって作法なんて気にしなくいいのよ。
 フォークとナイフとスプーンも一種類しか用意してないんだし」
 少し動きの堅いリーシャをほぐすために笑顔で言うミルカ。レンチレストランのコース料理を食べるときには、マナーを守る必要があり、リーシャはそれを気にしていたのだ。
 しかしミルカの一言で肩の荷が降りたのか、幾分かリラックスして食べ始める。
 すると、さっきまでは緊張のせいであまり感じることのできなかった、味の良さが実感できた。
「お、美味しいです。すごい美味しいですよ」
 リーシャは声が裏返っているのも気にせずに感動を表に出す。
「ありがと」
 ミルカはその言葉に素直に喜び、自分も料理の出来を確かめ始めた。リーシャの反応どおり満足いく出来であることを、鴨肉と同じように噛み締める。
「お料理上手なんですねぇ」
「なんか意外みたいねぇ?」
 ミルカは悪戯っぽい笑顔を浮かべながら言う。
「い、いえ……最初にSPに乗ってた姿を見たから」
「SPのパイロットでも料理ぐらいできなくっちゃ」
「女のたしなみですね」
 その砕けた表情と、その言葉と共に二人は微笑む。そのおかげで2人だけのディナーは和やかな雰囲気になった。


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