第8章 選択の時ということで 前編 シャロン四大魔獣。この言葉は何度も耳にしたと思う。ゲンブ、スザク、ビャッコ。この3匹の魔獣とは実際に戦い、そして勝利してきた。 しかし残りの1匹とは実際に戦ったこともないし、戦おうとも思わない。 その魔獣はこの黒崎和臣様でも戦うことを避けるほどの能力をもっているのだ。 それほどの能力をもっている魔獣を、人々はセイリュウと呼んでいる。 その外見は伝承などにでてくる竜、というより、伝承に出てくる竜は、昔の人間がセイリュウを見て色々脚色をしたものだといえる。 伝承に出てくる竜はどれも強大な力をもっている。実際のセイリュウもそれと同等、いや、それ以上の力をもっているといっても過言ではない。 そのことから、セイリュウだけは特別に、神獣などと呼ばれることもあった。 セイリュウの絶対ともいえる強さの象徴、それはプラズマと呼ばれる稲妻に似たエネルギー体である。プラズマ、この世界のありとあらゆるものを弾くと表現するのが最適であろうか? 磁石の同じ極同士をぶつけた時のそれと同じようなもだ。あらゆるものを弾く、これがどんな意味かわかるだろうか? そう、何もかもだ。剣、矢、銃弾など物理的なものばかりでなく、熱や冷気までも弾く。 そしてセイリュウのやつはそのプラズマを全身にまとっているのだ。 あ、ここで一つ訂正がある。プラズマはありとあらゆるものを弾くと言ったが、一つだけ弾かないものがある。 まぁ普通に考えればわかるだろうが、それはセイリュウ自身だ。しかしそれは自分自身がつくりだしたプラズマだけであり、他のセイリュウのつくりだしたプラズマはNGである。 つまりセイリュウに勝てるのは、セイリュウぐらいなのだ。 ところで、俺でも絶対に戦おうとも思わない魔獣がいるのなら、このシャロンの生物は絶滅してしまうと思わうかもしれないがそうでもない。 セイリュウは人を襲ったりしない。雑食動物だか基本的には植物しか食べないので、人間を食料として襲うことがないのだ。つけ加えてセイリュウというのは恐ろしく頭が良い。 そして1000年以上もの寿命があり、100歳以上のセイリュウは人間の言葉も理解できるらしいのだ。そのセイリュウたちが言うには、人間が自分たちの種族に手を出さないかぎり、自分たちからは手を出さないらしい。 だから人間もセイリュウもお互いに自分の居場所を荒らしたりさえしなければ干渉しあわない。 もっともセイリュウは、宝石などの鉱脈に住んでいることが多く、欲深な人間に襲われることもあるらしいが、もちろんやられるのは人間の方である。 俺はこんな魔獣に関わろうとも思わないし、関わることもないと思っていなかった。 しかし今、俺はそのセイリュウと対峙している。しかも俺からセイリュウの居場所に乗り込んだわけではない。 セイリュウから干渉してきたのだ。 俺とルナ、そしてエリスの3人は、ルナの家を探すという漠然とした目的を掲げながら旅を続けていた。 そんなある時、エリスがいい加減ミカエル学園に顔を出した方がいいと言い出したのがキッカケで、俺たちはジャンに向かって進路を取ることにした。 地道に進み、あと一山でジャンに向かう船の出ている港につくというのに、その山道で俺たちはセイリュウに遭遇してしまった。 最初見たときはそれがセイリュウだとわからなかった。俺は実際に見たこともなかったし、こんなところでセイリュウに遭うとも思っていなかったからだ。 しかしその巨体から、人間の言葉が発せられたとき、俺はその生き物が、図鑑などでしか見たことない、この世で一番力をもった魔獣、セイリュウだと気付いたのだった。 そしてそのセイリュウの第一声。それも俺を驚愕させるものだった。 「おまえたちには、用はない。 その魔女をこちらに引き渡せ」 これがセイリュウが俺に投げかけた言葉だった。 心臓がいつ飛び出しても不思議じゃないぐらいに激しく動く。足だけでなく全身がすくんでいるように感じる。 冷汗が溢れるように吹き出している。 セイリュウと対峙している。 この事実に、俺は今にも恐怖で押し潰されそうだった。エリスも同じようで、セイリュウを凝視している。 ルナは俺の後に隠れて小刻みに震えていた。 「どうした人間よ。私が欲するのは魔女のみ。 貴様等に手をだすつもりはない」 その重くのしかかるセイリュウの声に体が吹き飛ばされるような感覚を覚える。 「か、和臣……」 ルナが震えながら声を絞りだす。……くっ。俺がしっかりしないと……。 俺は冷汗でジットリと濡れた手で、力強く拳をつくり、自分の中にある勇気をフル動員させて口を開く。 「なぜセイリュウが人間に干渉する?」 「人間には用がないと言ったはずだ。そこの魔女に用があると」 俺の問いにセイリュウは間髪いれずに答える。セイリュウが喋るたびに、今までに経験したことの無い恐怖が、『ルナを渡せばそれで済むかもしれない』という考えを生み出すが、俺と同じかそれ以上の恐怖に震えているルナの存在が、その考えを思い止まらせる。 「この魔女に何の用だ?」 「普通の人間の知るところではない。大人しく渡した方が賢いと思うが」 ……賢いか……。 確かにそうかもしれないな。自分の安全を考えるのならそうだ。 ……だが。 俺は少し考え、また口を開く。 「それはできない」 どうやら俺はそこまで賢くはないらしい。 「ルナは俺たちと一緒に旅をしているんだ。何の説明もなしに渡せない」 俺は格好のいいことを言っているのかもしれない。しかしこれは、同時に3人全員を危険にさせる言葉だ。 こんな局面にこんな事を言うのはバカなのかもしれないな。 言葉というのは、時にはどんなものよりも恐ろしいものになる。特に今のような状況では、一言一言が生死に繋がる。今の言葉は、俺の本当の気持ちであったのだが、口に出して本当に良かったのかどうかはわからない。 しかし後悔するようなことだけはしたくない。恐怖が消えることはなかったが、俺は腹をくくって話をすることを決意した。 「……我を目の前にしてよくそんなことが言えるな。 だがその気持ちはわからないでもない……。しかしその魔女を野放しにするわけにはいかんのだ」 「なぜだ?」 セイリュウが野放しにできないと判断する存在? 「なぜ? おまえは魔女の恐ろしさを知らないのか?」 「恐ろしい? 確かに炎と冷気を使うかも知れないがセイリュウであるあんたが恐れるとは思えない」 絶対的な力を持つセイリュウが恐れる日と要はないはずだ。 「……そうか、貴様はあの光を見ていないのか?」 ……光? 「……何も知らないようだな。 まぁそれでもいいだろう。 そろそろ喋るのにも飽きてきた。その魔女は我ら種族、いや、この世界すべての驚異となるものだ。 だから野放しにはできない。大人しく引き渡せばよし。断れば3人ともここで始末する」 くそっ……。胴体の割に気の短い野郎だ。 こいつは今、3人とも始末すると言った。つまりそれは、ルナを引き渡せば、ルナが殺されるということだ。 「さてどうするのだ?」 「和臣……」 「和臣ぃ……」 エリスとルナの2人が俺にすがるように声をかける。 …………………………………………。 「俺の答えは……」 俺はそういいながらコートの中に手を入れる。 「これだぁ!!」 俺はシヴァ砲の照準をセイリュウの合わせ、トリガーを引いた。 ドォォォォン! 高熱の閃光がセイリュウの頭部に向かって突き進む。 もちろんシヴァ砲でセイリュウにダメージを与えられない。それはわかっている。しかし、顔面に閃光を放てば目くらましにはなる。 そのスキに逃げようという戦法だ。俺はエリスに目で合図を送り走り出そうとした。 その刹那。 ギュォォォォ! 俺たちの進路を遮るように蒼い閃光が走り、地面に当たるとともに爆発を起こした。 ……プラズマブレスだ! プラズマを勢いよく吐くセイリュウの得意技。勢いのついたプラズマが命中した場合どうなるか。 勢いよく弾き飛ばされる。いや弾き飛ばされるという次元じゃない。吹き消される、と表現したほうがいいだろう。 もちろんこんなのを一撃でもくらえば、確実に往生する。 「こけおどしは通用しない」 足の止まった俺たちの耳にセイリュウの声がまた響き始める。 くそぅ……さすがセイリュウってことか? 生半可な攻撃じゃ微動だにもしない。 「これは警告だ。少しでも長生きがしたかったら言うとおりにする方がいい」 打つ手は無いのか……。 ……何か方法は……何かいい方法は……。 俺のシヴァ砲もシヴァ砲改もだめだ。エリスの幻術も効くはずがない。 ルナの魔法だって……。 「仕方がない。人間とはあまり関わりを持ちたくないが……。 一緒に死んでもらおう」 セイリュウが口を大きく開く。 ……くっ! ここまでなのか!? セイリュウがプラズマブレスを吐くまでの時間は数秒ほどだったが、その時の俺には異常に長く感じた。死に直面するとあらゆる神経が過敏になるかららしい。 ……ふ、こんな時までこんなことを考えてるなんて……。 ……エリスやルナは何を考えてるんだろうか? ギュォォォォォ! セイリュウの口から蒼い閃光が放たれる。 本当にここまでみたい……だな……。 「イヤァァァァァァァ!」 エリスの悲鳴か? それともルナの悲鳴か? それとも両方か? ……俺は何で叫び声をあげないんだろう? もう諦めたからか? どっちにしろもう死……。 俺が死を確信したその瞬間。蒼く輝く光が発生し、セイリュウのプラズマブレスと衝突した。 互いが互いを打ち消すように2つの閃光が消える。 な、なんだ!? ……プラズマを打ち消すなんて……まさかプラズマ!? プラズマ同士はぶつかりあうと中和されると聞いたことがある。しかし何で? まさか……。 俺は急いでルナに視線を移す。俺の予感は的中した。ルナが左手をセイリュウに向かってかざしていたのだ。 「アァァァァァァァアァァ!!」 ルナが常軌を逸した声をあげる。それとともにルナの左手から物凄い勢いのプラズマが発射された。 ギュォォォォォ!! ルナのプラズマがセイリュウの脇腹に命中する。最初はセイリュウのまとっているプラズマがセイリュウの身を護る形でルナのプラズマを打ち消していたが、ルナの放ったプラズマのほうが圧倒的に量が多い。 セイリュウのまとっていたプラズマが間に合わなくなった時、セイリュウの脇腹は消し飛んでいた。 「ぐわぁぁぁ!」 セイリュウが苦痛に歪んだ声をあげる。 「アアアアアァァァァアァァァアァアァ!!」 ルナはそんなことを気にも止めずにプラズマを乱発している。まずい、完全に正気を失ってる!? 「ルナ! 落ち着け!」 「アァァアァアアアァァァアア!」 ルナは俺の言葉に反応せず、叫び続けプラズマを発し続けている。俺の言葉が耳に入っていないのか? それにしてもなんて威力だ。ルナのプラズマは照準がメチャクチャなので、あさっての方向に発射されているが、命中した場所は惨憺たるものと化している。 このままじゃ山全体破壊しかねないぞ!? 「落ち着け! ルナ!」 俺は取り乱しているルナの肩を後ろから掴んで言う。 「アアァアァァァアァァァァアアア!!」 ルナは俺の手を振り払うように体全体を激しく動かしながら、尚もプラズマを乱発する。 くっ……この! 「目ぇ覚ませ! このバカ野郎ォ!!」 俺はルナの頭を両手で挟むようにガッチリと掴み、顔を無理矢理俺の方に向けて怒鳴る。 ルナの目は焦点が合っておらず、俺の顔が見えてるかどうかはわからなかったが、声は届いたらしく、少し反応を見せた。 声が聞こえているなら……! 「ルナ、心配ない。大丈夫だ……」 俺はルナのすべてを包み込むように抱きしめてから、ルナの耳に口を近付け、優しくそう囁く。 「アァァアアァァ……」 その言葉が耳に届いたからかどうかわからないが、ルナが力ない声をあげながら崩れるように膝をつく。 俺はルナが倒れる前に、体を支えるようにルナをさらに強く抱きしめた。 ……落ち着いたか……。 ……そうだ!! エリス……エリスは!? 俺はルナを落ち着かせるとすぐにエリスのことを思い出し、エリスのいた場所に目を向ける。 エリスは俺たちから少し離れたところに、仰向けに倒れていた。 俺はルナをそっと寝かせ、エリスの安否を気遣う。 ……気を失っているだけみたいだな。 「……ふぅ」 俺はやっと安堵の息をもらす。 どうやら何とかなったみたいだな……。 「驚いたな」 そんな俺の耳に低い声が響いた。この声はまさか……。 俺は恐る恐るセイリュウに目を向けた。セイリュウは脇腹をえぐられ、大量の血を流しながら倒れている。まとっていたプラズマも消えているので生きているとは思えない。じゃあ誰が?それとも空耳か? バサッバサッ……。 翼をはばたかせる音? ということは……上か!?俺は視線を上に移す。 「なっ!?」 俺は思わず気を失いそうになった。いや、気を失ったほうが良かったかもしれない。そいつらはここに着地する体勢をとっている。 俺は認めたくなかった。しかし現実は素直に認めならなければならないだろう。 上にいたのはセイリュウ。しかも3もいやがる。 3匹のセイリュウはゆっくりと俺たちの前に着地した。 ……一難去ってまた一難ってヤツか……。……でもセイリュウと初めて対峙した時よりも落ち着いているな。 慣れたのか? それとも緊張の糸が切れているのか? まぁそんなことはどうでもいい。今はこの状況を何とかしないとな。 「あんたらもルナを狙ってるのか?」 俺は3匹のセイリュウに声をかける。 「そのつもりだったが今はおまえに興味がある」 3匹の中で一番でかいセイリュウが発した言葉は意外なものだった。 「俺に?」 「そうだ」 なんとまぁ……。 興味があるっていうんだから殺そうとしてるわけじゃないみたいだな。 「おまえは魔女の暴走を止めたな? しかも力ではなく言葉で」 「……暴走?」 思わずおうむ返しに聞き返す。 「……さっきの魔女を見たであろう?」 魔女の暴走……さっきのやつか。 「……あ、ああ」 「我々セイリュウをも打ち倒し、所構わず破壊を繰り返す。あのとき魔女があのまま暴れ続けていた場合、我々3匹が一斉にプラズマブレスを浴びせ、魔女を滅ぼすつもりだった」 同じセイリュウが、ルナのプラズマの餌食になったセイリュウに視線を移して言った。 どうやらこいつが親玉らしいな。他の2匹は遠慮がちに後ろに下がっている。 「そこまでする必要はないだろう?ルナの体力だって限界がある。あれだけプラズマを乱発してたらすぐへたり込むんじゃないのか?」 「体力? 限界? どうやら本当に魔女の力がいかなるものか知らぬようだな。 だとするとますます不思議だ。おまえはこの魔女の何だ?」 ルナの……? ……同じような質問をエリスにされたような気がする。しかもそのときと同じように、はっきりと言語化できない。 「俺は……」 俺は必死に言葉を探す。 「……俺はこいつの保護者だ」 「保護者? 保護者か! ハッハッハッハッ!」 ウ、ウケてる? 別にギャグで言った訳じゃないんだけどなぁ。 今の俺とルナの関係を言葉に表すなら、保護者と迷子が的確だろうと思ったんだが。 「人間とは実におもしろい。なるほど、その魔女を管理する立場というわけだな。 フフフ……いいだろう。 本当はこの場で魔女を始末するつもりだったが、おまえに任せよう」 「な、しかし!」 初めて他のセイリュウが言葉を喋る。しかし親玉のセイリュウに制止された。 「そのかわり魔女が暴走するようなことがあれば、我らは全力をもって魔女を滅ぼす」 愉快そうに声色から一変、低く鈍い声になる。 「なんだかよくわからないが、今回は手を引くってことか?」 「そういうことだ。 ……それといい情報をやろう。シヴァに囲まれたがゆえ、誰も近寄らぬ島に行ってみるがいい。 そこが魔女の生まれし島だ」 魔女の生まれし島……ルナの故郷!? 「何でおまえらがそんなことを!?」 「我らは多く語ることを好まん。自分の目で確かめるのだな。 魔女がいかなるものかを」 セイリュウはそういうと、大きな翼をはばたかせた。 「ま、待て!」 俺の声は3匹のセイリュウが飛び立つ音にかき消された。 なにはともあれ……、今度こそピンチを逃れたみたいだな。 今はどうこう考える前に、2人の眠り姫をどうにかしないと。 「おい、エリス。エリス……」 俺はエリスの頬を軽く叩く。 「う、うん……かずおみ?」 エリスがうっすらと目を開ける。 「大丈夫か?」 「……!! セイリュウ!! セイリュウは!? プラズマブレスが……」 エリスがガバッと起き上がり騒ぎ始める。おそらくプラズマブレスが発射された時点で気を失ったのだろう。 俺は黙って最初のセイリュウの亡骸を指差す。 「……和臣がやったの?」 「まさか」 「じゃあ誰が……あ!?」 エリスはハッとしてルナに視線を移した。 「さすがに察しがいいな。ルナはプラズマも使えるみたいなんだ」 「山がメチャクチャなのも?」 「ああ……」 俺が頷くと、エリスは小刻みに震え始めた。 「な、何なのよ……いったい……」 「シヴァに囲まれたがゆえ、誰も近寄らぬ島」 セイリュウに言われた言葉を思い返す。 「え?」 「そこに答えがあるらしい。」 俺はまだ眠っているルナを見つめて言った。 「誰も近寄らない島……そんな所あったかしら? シヴァが異常に多い島ならたくさん知ってるけど。でもそういう島もちゃんと捜索隊が調べてるわ。その結果一般人立ち入り禁止になったこともあるけど」 エリスが考え込みながら言う。 「そうだよなぁ、今じゃほとんど正確な世界地図だってつくられている。未開拓のところなんてなさそうだけどな。 いよっと……」 俺はおぶっていたルナが少し落ちそうだったので、体勢を整えた。 ルナは魔法を使いすぎたせいか、グッスリと眠っている。 茫然としていてもしかたないので、俺達は再び歩き始めていた。 エリスに詳しいことを話し、例の島のことを聞いてみたがやはり知らないようだ。 「あら、わからないわよ。世界地図に空白部分があるのは学者にとって不名誉なことよ。もしかしたらゴマかしている可能性だってあるわ」 ありえないことじゃないな。学者ってのは変な所でいい格好をしたがる。学会とかにランニングに短パンを平気ではいてくるヤツでも、発表の内容は完璧なものに見せたがったりするからな。 「あるいは地図に乗らないような小さな島か……」 俺もエリスも、理系を専攻していたから、シャロンの地理にはあまり詳しくない。 あまり詳しくはないといっても人並しかし、み以上に知識はある。なんたってミカエル学園中等部をでているからな。普通の地理を選考している大学生並みの知識があると思う。 その手のことをミカエル学園で専門的に研究しているヤツらにはかなわないという意味だ。そんな俺らが見当もつかないとなると。 「やっぱりジャンに行きましょう。ジャンなら学者もたくさんいるし、ミカエル学園の図書館には、世界1詳しい地図もある。 それに和臣も私もしばらくは旅をしていたから知識が乏しくなっているのかもしれないし……」 ……そうだな。昔通用した知識が今通用するとは限らない。 ジャンなら何か手がかりが見つかるかもしれないしな。 「賛成だな。一刻も早くジャンに行こう」 大きなトラブルがあったものの、結局目的地の変更は無く、ジャンに向かうことになった。 ……もしかしたら、運命ってヤツだったかもしれない。 「全然覚えてないだとぉ!?」 俺は思わず驚愕の声をあげる。俺たちは山を越え、町に辿りつき、宿屋で一休みしていた。 宿についてしばらくしてから、ルナがやっと目覚めたのでプラズマのことを問いただすと、覚えてないという答えが返ってきたのだ。 「覚えてないって……セイリュウのことも?」 エリスが俺と同じような口調で聞く。 「……セイリュウ? 何それ?」 …………………………。 こりゃ本当に覚えてないな……。ルナは嘘をつくようなヤツじゃないし、とぼけるなんて芸当もできない。つまり、ルナはセイリュウと遭ってから記憶を失っているということだ。 プラズマを使うと前後の記憶を失うのか? ……まさか……、いやでもありえないことじゃないだろう。考えてみれば、俺は魔法のこともルナのことも何一つ詳しいことは知らないんだからな。 「……そうか、ところでルナの住んでいたところはシヴァに囲まれていたか?」 「そ、そうよ! どうなの?」 俺がルナに質問をすると、エリスはハッとしてルナに詰め寄る。 「シヴァ?」 「これだ」 俺はシヴァ砲から弾を取り出し、中に詰まっているゼリー状の物をルナに見せる。 「……見たことない……ルナの住んでいた所は森に囲まれてたよ。」 ……森、シヴァはコケの一種だから木になることはない。森になるのは考えられないな。 「あ、でも……森の奥には行ったことがないの、お母さんにダメって言われてたから……」 「その森を囲むようにシヴァが生えてるっていうのも考えられるわ。」 ルナの言葉を聞いたエリスが言う。 「でもそうなると小さな島ってセンはなくなるな。 森と呼ばれるくらい広い面積の木々を囲むようにシヴァが茂ってるなんて、けっこうな大きさになる。 そんなのが世界地図に載らない訳がないだろう?」 「そうね……」 エリスが再び考え込む。 「セイリュウが偽の情報を教えたのかもしれないな」 「でもそんなことをしてセイリュウに何の得があるのよ?」 もちろん俺も推測の域を出ていないことはわかっているが、可能性を否定するだけじゃだめだ。 「じゃあ正しい情報を教えたらセイリュウの得になることがあるのか?」 「でも……」 俺とエリスがまた考え始める。 「くーくー……」 ……真面目な話になるといっつもこのオチだな。俺は眠ってしまったルナをベットに運んでやる。 「今は情報が少なすぎる。いくら考えても答えは出なさそうだ」 「そうね……ジャンに着いてから考えても遅くないわね。別に 急いでいる訳じゃないんだし。 私たちももう休む? 話の中心にいる人物が寝ちゃったことだし」 「ああ……」 俺は今日のことでかなり疲れていたので、エリスの意見に同意して部屋を出る。 3人旅になってから部屋を2つとることにしているからな。 もちろん俺は1人部屋。 「あ、待って……」 部屋のドアを閉める途中でエリスが俺に声をかける。 「うん?」 「もし……ルナの家がわかったら……和臣は……。 やっぱりいいや! おやすみ和臣」 な、何か煮え切らないなぁ……。 「ああ、おやすみ。」 俺は何だか気になったが、問い正すようなことでもないと思ったので深く追求しなかった。 ルナの家がわかったら? ……わかったら俺は……どうするんだろう? ……エリスはそれが聞きたかったのだろうか? ……俺は何だかよくわからない気持ちになり、酔って気を紛らわしたくなった。 船の甲板にいた俺に冷たい風が吹き付ける。肉眼で陸を確認できるほど船はジャンに近付いていた。 ジャン。 俺の生まれ故郷。帰るのは5年ぶりか……。故郷といっても待っていてくれる家族はいない。待っているはずのエリスは隣にいる。この帰郷はあまり大きな意味はないのかも知れないな。 確かに懐かしくは思えるが、行ったことのない大陸が見えてきたときほどの感動はない。 エリスがジャンにいればそんなこともなかったかもしれないけれど。 ……はて? 俺はふと疑問を覚える。俺はエリスを見返すために旅に出た。 エリスは何でジャンを出たんだろうか? 「1年ぶりでも何だかすごく懐かしい気がするわ。 5年も帰ってなかった和臣は涙が出るほど懐かしいんじゃない?」 船内にいたエリスが俺の隣に来て言う。 「……エリスは大学を卒業してから旅を始めたんだろ?」 「そうよ、誰かさんと違って高卒じゃないのよ」 ムッ……ここはガマンガマン。いつものように口ゲンカを始めちまったら聞きたいことも聞けない。 「なぁ。エリスは何で旅を始めたんだ?」 「え?」 エリスの顔がひきつる。 あれ? そんなに難しい質問したかな? 「……わ、私も……、世界を見てみたかったのよ……」 少し考えてからエリスがボソボソと言う。 「大学を出たならいくらでも進路はあっただろう? 大学院にいって教師になるとか、何かを研究する学者になるとか」 「……私のなりたいものが無かったのよ……」 エリスのなりたいもの? そういえばこういう話をしたことがない。 エリスは何になりたいのだろう。 「冒険家にでもなりたかったのか? それなら遺跡の調査員とかもあっただろ? それなら収入が得ながら世界を回れるんだぜ?」 「それじゃ自由に動けないでしょ?」 「最初から賞金稼ぎ兼冒険家になろうと思ってたのか? そんな行き当たりばったりなことするなよ。エリスには両親がいるんだから。 もちろん両親には反対されたんだろ?」 「されたわよ! でもね! どうしてもそうしたかったのよ!!」 エリスが突然強い口調になる。 ……怒らせるようなこと言ったか? 「何でそうまでして……何か理由があるのか?」 「あんたには一生わからないわよ!!」 エリスは俺に向かって思い切り怒鳴ると船内に戻ってしまった。 な、なんだぁ? ……ま、エリスはきまぐれだから気にしてもしょうがないか……。 以前から突然怒ったり、かと思えばいきなり機嫌が良くなったりしてたことがよくよくあった。 女心は複雑なのだろう。 「うわぁぁぁぁい! すごいすごいすっごぉぉぉぉい!」 脳に響く甲高い声が、いきなり鼓膜を刺激する。もちろん声の主はルナである。 「うるさいぞルナ! 船内の窓から魚を見てたんじゃなかったのか?」 「うん!でもやっぱり外の方が気持ちいいし、和臣のこきょうも見えてきたってエリスが教えてくれたから!」 ふふ……。 元気だよなぁこいつは……。 「で、和臣ぃ。」 「何だよ?」 「こきょうって何?」 …………。 ルナのいつものボケを聞いて、俺はなぜかホッとしたような気持ちになった。 「おっっきいぃぃぃぃ!」 ルナが目を丸くして叫ぶ。ミカエル学園を見た感想だ。 大きいのは当たり前。幼稚舎、小等部、中等部、高等部、大学、大学院、図書館が全部繋がっているんだからな。 生徒の数も普通の学校よりも2倍近く多い。面積は普通の高校の10倍近くはあるんじゃないのか? 俺は最初からこの学園を見ていたから、他の学園を見たときはルナとまったく逆の感想を持ったけどな。 「さて……」 「さて……」 俺とエリスは目を合わせてそう言ってから、ルナの方に視線を向ける。 これが何を意味するか。 それはズバリ『コイツどうしよう』という意味である。 これからするのは資料あさりや情報収集。はっきりいってルナは邪魔者である。 騒がれたりしたら面倒だし、手伝わせようとしても文字が読めないんじゃどうしようもない。 「私の家に預けとく? ただいまも言っておきたいし」 「げ? エリスの家!?」 「げ?」 「い、いや。何でもない」 エリスの家かぁ……。ルナを預けとくには一番都合のいい場所なんだけど……。 「じゃ、行きましょ?」 「お、俺は先に図書館で資料を見てるよ」 俺にはクルリと踵を返して学校に向かおうとする。 「何言ってるのよ。母さんも和臣のこと心配してたわよ。挨拶くらいしてもバチは当たらないわ!」 「は、はい……」 俺はちょっと憂欝だったが、仕方なくエリスの家に向かうことにした。 「まぁ! 和臣ちゃん!」 で、でたぁぁ!俺の全身に鳥肌がたつ。今の台詞はエリスの母上様のもの。 エリスの家に行きたくなかった理由がこのお母さまにある。 いくらなんでも和臣ちゃんはないよなぁ……。 エリスの母親、名前はルリア。歳は秘密らしいが40代前半ってところだろう。顔は結構美形。 熟女好きはお薦めかなぁ。 「まぁまぁ心配したのよぉ! どっかでのたれ死んでんじゃないかとか、悪い女に騙されてるんじゃないかと思ったのよぉ、何せ和臣ちゃんは彼女がずっといなかったからねぇ」 「ア、アハハハハハハ。」 笑顔でこういうことをズケズケと言っちゃうのもこの人の特徴。本人に悪気が無いのが恐ろしい。 「でもまぁエリスと一緒に帰ってくるなんて……、まったく心配したのよぉ。 エリスは男というものを知らないから、悪い男に騙されてるんじゃないかと思って、まぁでも胸の無さがバレたら逃げてくかもしれないわね! お母さんに似なくて良かったわねぇ」 「……お母さん?」 あ、エリスのやつかなり怒ってる。 「あらあらゴメンなさい、でも心配いらないわよ、あなたのは形が……」 「ああもう!! ルナこっち来て!」 エリスが話を進めるためにルナを前に引っ張りだしてくる。さすがにルナもこのお母さまの迫力に押されて黙っていたようだ。 「あらこの子は……まぁ! いつの間につくったの!?」 ちゅどぉん! 俺とエリスの頭が爆発する。 「こんな子を一年やそこらでつくれる訳ないでしょ!」 「ホホホホホホ冗談よ」 ホントかよ……。 「とにかくこの子を夜まで預かって」 「えー何でぇ!?」 ルナが文句を言う。 「大人しくお留守番してたらお土産買ってきてやるぞ?」 「ほんとぉ!?」 まったくもってかわいいもんだ。 「お母さん、いい?」 「まかせておきなさい! お母さんが責任をもって預かっておくわ! だから安心しなさい!」 ルリアおばさんはドンと胸を叩いてから視線をルナに移す。 「さぁさぁこっちいらっしゃい。わたしはルリアお姉さんよぉ」 その歳で恥ずかしげもなく自分をお姉さんと言えるのはこの人くらいだろうな。 「私ルナ! よろしくね、ルリアお姉さん!」 おお! ルナもわかってるじゃないかぁ! ちゃんとお姉さんと呼ぶなんて。 ……でもルナのことだから、『ルリアお姉さん』が名前だと思いこんでたっていう、オチだったりするんだろうなぁ。 「じゃ、お願いしますね」 「大丈夫よぉ! それよりバッチリ決めなさいよ和臣ちゃん!」 背中を軽くたたいてから耳打ちするルリアさん。 「へ?」 「あら? 2人でどこかにシケこむんじゃないの?」 「図書館で調べ物をするだけよ!!」 エリスが真っ赤になって怒鳴る。ああ……頭痛がしてきた。 「ふぅん……じゃあ、いってらっしゃぁい!」 「……いってきまぁす」 俺とエリスは力ない声で答える。 ……ふぅ、やっと開放されたか。俺は家を出てから大きなため息をつく。 「変わってないのな……」 「ま、まぁね……」 何だかドッと疲れてしまった。あ、エリスもぐったりしてる。 それから俺たちは一言も言葉を交わさずに図書館へと進んで行った。 シヴァが多く生息していて立入禁止になっている島89。その中で島を囲むような感じにシヴァが生息しているのは24。 しかも場所が見事なまでにバラバラ。……全部まわってたら何年かかるかわからんぞ。 「はい、コーヒー。どう見つかった?」 資料を調べた結果をまとめる作業をしていた俺に、エリスがコーヒーを運んでくる。 気がきくなぁ……。 「情報が少なすぎる。まぁ24までしぼりこんだけど……」 俺はボヤクようにそう言ってコーヒーを一口。薄めのブラック。インスタントだけど俺の好みをよくわかっているな。 「24かぁ……」 エリスはコーヒーと一緒に持ってきた紅茶を一口含んだ。 「ああ!? もしかして和臣先輩ですか!」 そんな俺たちの会話に、突然俺以外の男の声が入る。 視線を声の方に移すと、20くらいの男が視界に入った。 ……はて? 誰だっけ? 「や、やぁ……」 とりあえず相づちをうっておく。 「あ、エリスさんもご一緒なんですね」 「ええ……久しぶりね、博幸君」 博幸? ……エリスの様子からみるとどうやら俺とも面識があるみたいだけど。 お、思いだせん。 「帰ってきてるってウワサは本当だったんですね!」 「あ、ああ、まぁね」 俺は助けを求めるようにエリスに視線を向ける。 「高等部にいた頃の後輩よ。私たちと同じ部活だったじゃない」 エリスが俺の耳に顔を近づけて小声で言う。 ……同じ部活というと調理部のヤツか? ……誰だ今笑ったヤツはぁ!? 俺だって好きで入ったわけじゃないぞ! 調理実習の時、俺の腕を見込んだ顧問の教師がはめるような感じで……。 ……ええい! 調理部のどこが悪い! そりゃあ男は俺を含めて2人だったさ! …………あ! 俺以上に料理がうまかった博幸かぁ! 料理の腕は博幸がトップで、俺が2位、3位がエリスだった。他の女たちの過半数はダシの取り方も知らない……おおっと、話がだいぶズレてしまった。 「あれ? おまえは確か地理を専攻してたよなぁ」 「ええ、大学院に行って地理の教師の免許をとろうと思ってます」 これぞ天の助け! 「ちょっと頼みごとがあるんだけどな」 俺は例の島のことを博幸に話す。もちろん魔女やセイリュウに関する話は伏せて。 「……それでしたら心辺りがあります」 「本当!?」 俺とエリスの声がハモる。いやぁ俺たちはいい後輩をもったなぁ! すっかり忘れててゴメンよ! 「ええ、この前ジャンの一番南にある立入禁止の島、キウジが実際にどんな風になっているか調べるために、見学の許可を取ろうと思ったんですよ」 「キウジっていえば、ダイラム戦争の時、シヴァを大量に使った爆弾を落とされた所か。 確か……ダイラム領土だったのにも関わらず、軍が攻めて来たからって、味方の巻き添えを関係なく爆弾を落としたっていう有名な島だよな。」 ダイラム。これはかつてシャロンを支配していた強大な力もっていた帝国だ。世界共通語は何を隠そうダイラム語なのだ。 ちなみにこの島はシヴァの爆弾が落とされるまではシヴァは生息していなかった。シヴァが爆発と共に胞子をまき散らし、増殖したために危険地帯になってしまったのだ。シヴァが爆発するのは本来子孫を残すためだからな。 シヴァの熱で土壌が砂漠化してそれどころじゃないと思う人もいるかもしれないがそうでもない。すごい熱にも関わらず、土壌には大したダメージを与えない。そこら辺の細かいメカニズムはわかっていないが、天然の焼き畑農業みたいなものだと考えてくれればいいだろう。 邪魔な植物を焼き、自分の領土を広げるわけだな。 「そう、キウジです。 何度か申請したんですが、一度も許可が降りたことがなかったんです。その時は僕がまだ大学生だから許可が降りなかったんだと思いました。 だけど、僕がせめて他の人の見学の記録だけでも見ておこうと資料を調べてみたところ……」 「記録がなかったのか?」 「はい、他の立ち入り禁止の島の記録はあるんですよ?」 「そりゃあ怪しいなんてもんじゃないな。」 「はい、だから地理の教師に聞いてみたんです。でも『あそこは他の島より自然発火がしやすい気候だからだ』と言うだけで……。 確かにキウジは熱帯の地域に入るんですけど乾燥はしてないからそんな心配はないと思うんですよね。 キウジよりも自然発火が起こりやすいだろう島の記録はありましたし」 ……教師が何かを隠してるってわけか? 教師が隠すということはミカエル学園という組織自体も怪しくなってくるぞ? 「調べてみる価値はありそうね」 エリスが弾んだ声で言う。 「調べるといったってどうやってですか? 許可が降りるとは思えませんよ?」 博幸が最もな意見を言う。まぁ方法はなくはないが、確信がないとその方法は使う気になれないからなぁ。 「実は僕……、その島に不法侵入したって人を知ってるんですが……」 「本当か!?」 俺とエリスは目を輝かせる。 「あ、言っておきますけど、僕の友達でも何でもないんですよ」 へ? なんじゃそりゃ? 「まぁいいや、早速だけどその人の所に案内してくれよ」 「……ええ、他ならぬ和臣先輩の頼みですからね」 ……じゃあ、俺以外の人間に頼まれても案内したくないってことか? ……なんかイヤな予感がしてきた……。 だけど行くっきゃないよなぁ。 「ここなんですが……。」 博幸が示した部屋は研究室だった。 ……シヴァ研究室? 俺が在学中はこんな部屋は無かったはずだが。……エリスも初めて見たみたいだな。 ま、外側をあれこれ詮索しても仕方ないだろう。さっそく入ってみるか。俺はドアの前に立つ。 おぉ!? このドア、スザクのクチバシ製だぞ!? ……まさか! 俺は壁も触ってみる。……やっぱり。シヴァ研究室ってのは伊達じゃないな。この部屋全体がシヴァの熱に絶えられるようになっているみたいだ。これなら研究室内でシヴァが爆発しても被害を最小限に止められる。 おおっと、こんなことに感心してる場合じゃないな。 コンコン。 「失礼します」 俺はノックを軽くしてからドアノブをひねった。 ガチャ。 そしてドアをゆっくりと開ける。 「んのあぁぁぁぁ!?」 ドアを開いた途端、俺は思わず大声で叫んでいた。部屋にいた人物があまりにもな人物だったからだ。 「貴様はシヴァ使い! そっちから乗り込んでくるとは!」 そいつが大量の唾を飛ばしながら喋る。 ボッチャン刈りにグルグルメガネ。そして異様に筋肉がついた肉体。忘れたくても忘れられない人物。 「まぁ貴様の気持ちはわからんでもない。 このDrクワバーを相手にしたら不意打ちぐらいはやりたくなるのだろうな。 ハハハハハハハ!」 自称天才科学者Drクワバー、何でミカエル学園に……。 ……って、オイ! こんな所でつづくのか!? 責任者出てこーい! 第8章 選択の時ということで(前編) 完
次章、魔女の飼い方『選択の時ということで 後編』。魔女方ファイトォォ……レディィゴォォォォ! |