第4章 ご機嫌ななめということで 後編



 俺の名前は黒崎和臣。
 別名『シヴァ使い』と言われるすご腕の賞金稼ぎ。俺はひょんなことから魔女を飼っている。この魔女というのがとんでもない奴で、ホトホト困っているのが今現在の状況。
 そんなときにまたまた困った事が起こってしまった。原因は幻術師と呼ばれるなかなかの腕の賞金稼ぎにある。
 俺たちは魔獣退治の仕事を求めて、魔獣の宝庫と名高いツコリ山のふもとの町、ミナアヤに来ていた。
 しかし、魔獣退治の仕事は残っていなかった。何でもツコリ山に、他の魔獣をバッタバッタと薙ぎ倒すとんでもないスザクが住みついてしまったらしい。
 そんな訳で、いままでツコリ山に住んでいた他の魔獣はほぼ全滅。唯一残っていた仕事、つまりそのスザク退治も幻術師が契約済みときたもんだ。
 幻術師の名を聞いて、まさかルナのように魔法を使う魔女ではとないかと思い、幻術師に接触を試みたが結局魔女じゃなかったし、何だかわからんうちに相手はご機嫌ななめになってしまった。
 そんな時にスザクが出現。
 幻術師はそれを幻術まがいのものを使い眠らせて楽々と倒す。
 しかししかししかぁし!
 そのスザクは例のスザクではなくただのスザクであったのだ。
 わぁーい! バッカでぇ! 間違えてやんのー! と思ったが、なんとそのスザクにも賞金がかけられていた。
 ちっくしょうめぃ、このまま幻術師に報酬独り占めされてたまるかー! ってことで、俺は例のスザク退治の仕事を譲ってくれと交渉してみた。
 結果は条件付きOK。その条件とは奴の幻術の正体を暴くこと。
 と、これが前回までのあらすじ。そんで今は宿屋のベットの上で幻術の正体を考えている。
 幻術師はまちがいなくボウガンしか使っていない。いや、使っているかも知れないが俺の見たかぎりでは使っていない。
 とりあえずこう考えるしかないだろう。もしも他になんか使ってたらお手上げだもんね。そしてあのボウガンは大して細工はされてなかった。
 問題はあの矢だ。先に刃の付いてない矢。考えてみりゃ怪しさの密集地帯だ。
 幻術の謎を解く鍵はやはりあの矢に隠されてるよな。
 あの矢を使って眠らせる方法は……。おっとその前に生物を眠らせる方法を検討しなくちゃ。
 眠らせる方法……俺の知ってるのは2つ。
 一つは眠気を引き起こす物質を服用させる方法。いわゆる睡眠薬や催眠ガスの使用だな。
 もう1つは催眠術だ。
 まぁ後者は考えられないな。あの矢の動きが催眠状態を引き起こすなんてことはあるかもしれないけど……。あいつは催眠術師には見えないし?
 いや人を見た目で判断するのは……どうなんだろう。ルナだって魔女に見えないしなぁ。
 まぁ取り敢えず催眠術は保留ということで、前者の可能性を考えてみる。
 眠気を引き起こす物質、これにはさまざまな種類があるが、原材料自体はかなり少ない。俺の知っている限りでは2つ。もっともポピュラーな物がドゥルミンナルド。熱帯雨林に生息する植物、クウロル等に含まれている。このドゥルミンナルドは風邪薬などに入っていて知名度も高い。このドゥルミンナルドはごく軽い眠気を起こす。もちろん大量に服用すれば強い眠気を引き起こせるし、さらに大量に使用すれば死んでしまう。しかしこの致死量が半端じゃない。2000g。これだけ飲ませるのはメチャメチャ苦労するので薬局でも売られている。
 入手は簡単なのだが……、こんな物でスザクを眠らせるのはまず不可能だ。2000gはあくまで人間の致死量。
 スザクがその量を服用したところで『あ、ちょっと眠いかなぁ?』と、いうくらいだ。
 うん、これは使ってないな。
 もう1つはヴァルブザルド。これは実に強力。小量服用すればグッスリだ。スザクでもこれが体内に入ったらいちころだろう。
 ふむ、これを使用したと考えるのが懸命だな。
 さてこれの含まれている物は……、あげればキリがない。
 こういう時は条件を加えて範囲を狭めるのが一番。
 条件……あの状況でスザクにヴァルブザルド服用させるには、やはり気体の状態じゃないと不可能だな。おおっとその前にスザクの炎の熱の事も考慮しないとな。
 ……熱?
 ……そうか!
 俺はボウガンの矢が燃え尽きるのを見て、スザクの熱が障害にしかならないと考えていた。
 そう、逆もありえるのだ。スザクの熱を利用する。
 うむ! かなり絞られてきたぞ!
 つまり熱に反応してヴァルブザルドの催眠ガスが発生するもの。俺の知ってるかぎりでは……知ってるかぎりでは……知ってるかぎりでは……知らない。
 知らねぇよそんなもん!
 いや、あったかも知れない。えーとえーと……俺は必死に記憶の糸をたどる。
 ライホウが発するのはドゥルミンナルドだし……。
 俺の頭の中にそれらしい植物が走馬灯のように駆け巡る……。しかし答えは出なかった。
 特殊な調合をしているのか?
 調合となると……ジュジャイとカパロッチだと……あ、これは猛毒だよな。
 えーとんーと……。
 プチッ!
「わかんねぇぇぇぇ!」
 推理による過度な負荷がかけられた状態が続いたせいか、思考回路が熱暴走をし、無意識のうちに俺は叫んでいた。
「ううーん、どうしたのぉ?」
 隣のベットで寝ていたルナが目を擦りながら言う。
「いや、何でもねぇよ。寝てていいぞ」
「……でももう朝だよぉ?」
 なぬ?
 ……俺は慌てて時計を見た。
 7時……。うおわぁ!
 ウソでぇぇぇ! 幻術師の出した制限時間は今日の朝まで……つまり……幻術師に負けたと言うことかぁぁぁぁ!?
 そんなバカな!
 俺は世界イチの賞金稼ぎ、シヴァ使い黒崎和臣だぞぅ!?
 ミカエル学園高等部首席卒業の頭脳明晰黒崎和臣様だぞぅ!?
 それが……それが……そんなバカなぁ……。
「どうしたの和臣?」
「……………………」
「朝ご飯食べようよぅ!」
「……ああ……」
 俺はメチャクチャ力ない返事をする。
「どうしたの和臣?元気ないよぉ?」
「……なんでもない」
 正直ショックだった。 
「本当に?」
「……………………」
 心配するルナに対しても気をまわす余裕がなく、無言で応えてしまう。
「ご飯食べれば元気になるよ!ほら行こう!」
 ルナは俺を元気をげんきづけようとしているのか、手をぐいぐいと引っ張って一階のレストランに向かう。俺は仕方なく、重い足取りでルナに手を引かれるのだった。


「おかわりー!」
 元気でいいなぁルナは……。
 こんな時ばかりは、朝からモーニングランチを13回おかわりするルナの元気が羨ましく思えてくる。
「はぁ……」
 俺は大きなため息をついてから濃いめのブラックコーヒーを一口飲んだ。
「和臣ぃ! またコーヒーだけなんて体に悪いよぅ!
 このキノコのスープ、とっても美味しいよ!」
「悪いなルナ、何も食べる気がしないんだよ」
 俺は弱々しくそう言ってまた大きくため息。
「ああそうだ! キノコと言えばね! ルナがちっちゃい時に、近くの山にお母さんと一緒にキノコを狩りに行ったの!」
 今でも充分小さいだろうが。
「それでね、ルナね、採ってきたリコダケをキャスリンおねえにあげたの!
 そしたらね! キノコ食べたキャスルンおねえがいきなり笑いだしたんだよ!
 しかも3時間も続けて! おかっしいなと思ってキノコをよく見たら、リコダケじゃなくてグラダケだったの!
 アハハハハハ……」
 ルナはそう言うと一人で笑いだした。
 リコダケ、食用キノコの中でも指折りのウマさを誇るキノコ。しかし毒キノコのグラダケとよく似ているために採るときは注意が必要だ。
 ルナは3時間も笑っていたと言っているが、正しくは顔の筋肉がキノコの毒素によってゆるんで、笑っているみたいに見えるのだ。
 それにしてもルナのやつ、笑い方がわざとらしいな……。いつもだったら腹の底から大笑いするのに……どうしたんだ?
「おもしろくないかなぁ?」
 ルナが悲しい目で俺を見る。
 ああ……そうか。
 ルナは俺を元気づけようとこの話をしたのか……。
「大丈夫。心配するな、もう元気出たよ」
 俺は精一杯の笑顔でルナに言った。
「よかったぁ!」
 ルナはさっきとは違う本当の笑顔でそう言った。
 ……なんだか本当に元気が出てきたような気がしてきた。
 でもさっきルナが話した話を聞いて笑う気にはなれない。リコダケとグラダケを間違ることなんてよくあるからな。
 キノコってのは形が似ているものでも全然違う性質を持っている事が多いのだ。
 ……待てよキノコ?
 そうだ! キノコを忘れてたぜ!
 キノコの中にも催眠ガスを熱で発生させる種類があったかもしれない。
 俺はまた記憶の糸をたどった……。
「わかったぞぉぉぉぉぉぉ!」
「どうしたの和臣?」
 ルナが目を丸くして聞く。
「いやぁルナのおかげだぜ!」
「え?何が?」
 勘がいい人間なら察してくれるだろうが、ルナはそうもいかない。
「幻術師の出した問題だよ!」
「へぇ……」
 俺がはっきり口にすると、突然違う声が入ってきた。
「あ、お姉ちゃん!」
 あ、幻術師。
 タイムリーなやっちゃなぁ。
「じゃあ、解答を聞かせてもらいましょうか?」
 幻術師は腕を組んで言った。
「お姉ちゃん、立ったままだと疲れるでしょ?
 ルナの隣に座っていいよ」
「え? あ、そ、そうね。じゃ、遠慮なく……」
 幻術師は複雑な表情でルナの隣に座った。
 むぅ……いまいちその場の雰囲気が盛り上がらんなぁ。
 まぁ慣れてるからいいけど……。
「じゃあ、ずばり言ってやろう。おまえはある物を使ってスザクを眠らせた」
「そのある物って?」
 俺は少しだけもったいぶるゆに、大きく息を吸った。
「それはヒュプノスだ」
 俺の一言で幻術師が少し反応する。どうやら間違い無いようだ。
「ヒュプノス、亜熱帯の地域に生息するリバの木の根元に生えるキノコ。
 このヒュプノスには大きな特徴が2つある。1つはヴァルブザルドを多く含んでいるということ。そしてもう1つの特徴、こっちが重要だ。
 これがなければおまえの幻術は成立しないからな。その特徴、それは熱に反応して爆発を起こし、胞子を撒き散らすということ……。
 おまえの幻術のしくみはこうだ。先端にヒュプノスを仕込んだ矢をスザクに放つ。それがスザクのまとっている炎に触れるとヒュプノスが爆発を起こし胞子を撒き散らす。スザクはそれを吸い込み……おねんねしちまうって訳だ。
 そうだろ?」
「正解よ、でも驚いたわ。」
 当たり前だろ?
 俺はシヴァ使い黒崎和臣様だぜ?
「高卒なのにそんな知識持ってるなんて驚きね……」
 ムカァ……。
「俺は書類の上では高卒かも知れないが知識は大卒以上なんだぜ?」
「フフ……まぁそういうことにしておくわ。私の出した問題も解いたんだしね」
 いちいちムカツクやっちゃな……。
「じゃあ約束どおりスザク退治の仕事は譲ってもらうぜ。」
「ええ、いいわよ。あなたの賞金稼ぎとしての実力も見てみたいしね」
 よっしゃ400万リクンに片手が届いた!
「ところで……」
「ところで?」
「あなたのお連れさん眠っちゃってるけど?」
「へ?」
 俺が慌ててルナに目をやると……気持ちよさそうに寝てやがる。
「おいルナ、何寝てるんだよ!
 今日は例のスザクを退治に行くんだぞ」
 俺はルナを体を揺すって言った。
「ふぁ……ゴメン和臣ぃ……ルナね、さっきみたいな難しい話聞くと眠くなっちゃうんだ……。」
 まぁルナらしいと言えばルナらしいんだが……。
「じゃ、そろそろ店を出るぞ。」
「あ、待って!」
 俺が立ち上がろうとするのをルナが止める。
「どうしたルナ?」
「モーニングランチもう1回おかわり!」
「……………………」
 そう言って15回目のおかわりをするルナを俺はただただ見守るしかなかった。


「ねぇ和臣。ここにスザクがいるの?」
「資料だとここにいるってことになってるけど……それらしい気配が感じられないな」
 俺はルナの問いに、資料をみながら答えた。
 ここはツコリ山にある大きなほこらの入り口。幻術師から受け取った資料では例のスザクはここをねぐらとしているらしい。
 ここは木などが少ない平野に近い場所だった。身を隠すなどはできないが自由に動ける。まぁ戦うには悪くない地形かな。
「今は外に出ているのかしら?」
 幻術師がほこらの中を見回して言う。幻術師は俺の実力を見たいということでついてきている。
 ただしスザク退治の手伝いは一切しないと言う条件で。
「ところで、アナタはスザクをどうやって退治するつもりなの?
 シヴァ砲は効果がないはずでしょ?」
「まぁ見てなって」
 俺はそう言って腰にさしているスザクのクチバシ製の剣を装備した。
「それで倒すつもり?
 確かにダメージはあたえられるかも知れないけど……安全性に欠けるわよ?
 投げて攻撃するにしてもリスクが大きすぎるし……」

 ヒュオン!

 それが俺たちの上空を疾風の如く通り過ぎたのは、幻術師がそんなことを言っている時だった。
 例のスザクか?
 そのスザクは、俺たちの上空を円を描くように飛び回っている。
 メ、メチャクチャ速い?
 そのスザクは、姿、大きさ共に普通のスザクと変わりないのだが飛行速度が尋常じゃない!
 ビャッコの全速力並だ!
 言っておくが、スザクの飛行速度はそんなに速くない。カラスと同じくらいの速さだ。
「グワァァァオォォ!」
 俺が細かな推測をしている内にスザクが一声あげて進行方向を変えた。
 ……こっちに向かってくるぅぅぅ!?
 体当たりだとぉ!?
 スザクの攻撃方法はフャイアブレスと相場が決まっているだろうがぁ!
 慌てて俺はルナを抱えてに素早く避ける。幻術師も何とか避けているようだ。
 スザクはまた上昇し次の攻撃の機会をうかがっていた。
 しかし……さっきの攻撃……。
 マジで避けるのしんどい……。
 俺一人なら長い間避け続けられるだろうが、ルナを抱えてじゃいつまでもつかわからない。こりゃあビャッコもやられるわけだ。考えてみると恐ろしい攻撃だな。
 高熱の飛行物体が急降下で突っ込んでくる。隕石が落ちてくるようなもんだ。
 こういうやっかいなヤツとはどう戦うかと言うと……速攻で倒す!
「ルナ! 冷気魔法はあそこまで届くか!?」
「うん! 多分!」
 ルナは俺の言葉に頷くと左手をスザクに向けた。
「魔法!?」
 俺たちの会話に驚きを隠せない幻術師。
 ふふふ! しかと見てろよ幻術師!
「えぇーい!」
 ルナの掛け声と共にルナの左手から物凄い冷気が発射された。
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 幻術師はそれを見て、悲鳴に近い驚きの声をあげていた。。
「どうだ幻術師! おまえの幻術は種も仕掛けもあるがルナは本当の魔法が使える魔女なんだぞぉ!
 この攻撃があればスザクのまとっている炎を一時的に打ち消す事ができる。
 そこを俺がスザクの剣でズバァァっといくのさ!」
 俺は自信満々に言った。
「た、確かにすごいけど……当たらなくちゃ意味がないんじゃない?
 この魔法、確かに普通のスザクは避けられないくらいの速度はあるけど、ビャッコ並の反応とスピードを持ったやつに当たるわけないわ」
 え? 当たってない。
 スザクのやつヒョイヒョイ避けてる。どうやらスザクは幻術師の予想どおりの能力をもっているらしい。
「和臣ぃ! 当たらないよぉ!」
 ルナが半べそをかいて言う。しかし……これはまずい事になった。ルナの攻撃があたらなきゃ俺にスザクを倒す術は無いに等しい。
 あ、剣を投げったてあたんないだろうから……倒す術は無いか……。
「グワァァァァオォォォ!!」
 んなこと考えてる内にスザクの体当たり攻撃の体制をとる。
「ちぃっ!」
 俺はルナを抱えてそれをかろうじて避ける。
「どうするのよ!? やっぱり私が倒そうか?」
 幻術師がボウガンを構える。
「バカ言え! あのスザクがボウガン程度の速度の矢をくらってくれると思うか!」
「そうだけど……体当たりにきた時を狙えば……」
「大バカ野郎! 死にてぇのか!?
 いくらヴァルブザルドでもすぐ効く訳じゃない。ボウガンなんて射ったてら体当たりをまともにくらうぞ!
 こういう時にとる行動は一つだ!」
「どうするの和臣ぃ!」
 ルナがそう言うと俺はルナを抱きかかえる。
「一時撤退だぁぁぁぁぁぁ!」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
 俺たちは全速力で走りだす。追ってきてるぅ!?
「森に逃げ込みましょう!」
 そうか!森に逃げ込めばスザクも不用意に体当たり攻撃はできない。
 ドォォォン!ドォォォン!
 俺はスザクにこけおどしのシヴァ砲を放って動きを鈍らせる。物凄い銃声と共に放たれる閃光。生き物は反射的に避けてしまうからな。
 あのスザクでもシヴァ砲は避けきれてないみたいで何発か当たっているが、もちろん効果は無い。
 もうすぐ森の中だ。
 俺たちは転がり込むように森に逃げ込んだ。
「グワァァオォォ!」
 スザクはそれを見ると形成不利と見たか一吠えし、自分の住みかに戻っていった。
 ……ふぅぅぅ、助かったぁ。
 あのスザクを倒す術がない俺たちは、一度宿屋にもどることにした。


「で、どうするの? この仕事あきらめるの?」
 これは夕食を俺とルナと幻術師の3人で食べていた時の、幻術師のセリフ。
「それは絶対できない。俺は今までどんな仕事も解決してきた。
 スザクが強すぎるからあきらめたなんて言ったらシヴァ使いの名が泣くぜ」
 と、これは言うまでもなく俺。
「倒す方法があるの?」
「そうだよ和臣! ルナの魔法もお姉ちゃんの幻術も避けちゃうんだよ? シヴァ砲は効かないし……」
 幻術師の言葉にルナは6杯目のポークカレーを口の中に頬張りながら賛同する。
 それにしても口の中に物を入れたままで普通に喋れるのは大したもんだ。と、こんなことを考えてる場合じゃないな。
「大丈夫、倒す方法はある」
「本当? どうするの和臣!?」
 その言葉に、目を輝かせるルナ。幻術師も俺に注意を傾けている。
「ああ……ただしその方法を実行するには時間が必要なんだ。
 明日まで待て」
 俺は自信たっぷりの口調で言った。
「へぇ……さすがね。シヴァ使いの名前はダテじゃないって訳ね」
「初めて誉めてもらって光栄だね。それじゃ、俺は用意があるから……」
 そう言って俺は席を立つ。
「あ、待ってよ和臣!」
 ルナは6杯目のポークカレーを尋常でない速さで食べて俺の後をついて来た。


 俺は自分の部屋のベットに寝転がっていた。となりのベットにはルナが寝ている。
 ……さーてどうしたもんか……。実はスザクを倒す方法を思いついてないのだ。
 え? さっきと話が違うって? さっき俺は『倒す方法はある』と言ったのだ。
 『倒す方法を思いついた』とは言ってない。嘘は言ってない。
 必ず方法は存在するのだ。
 ……文句あるか? だから今必死に倒す方法を考えている。
「ねぇ和臣」
「おわっ!?」
 突然のルナの声に、俺は思わず声をあげる。寝てたんじゃないのか?
「スザクの剣を投げて倒すつもりなの? 前に話してくれたよね、そうやってスザクを倒したって。」
「そりゃあ無理だ。あのスザクは俺が思いっ切り投げたとしても軽く避けちまう。あのスザクに攻撃を当てるには、シヴァ砲ぐらい速度のある攻撃じゃないとダメだ」
「シヴァ砲じゃ倒せないんだったよね」
「ああ、シヴァ砲は高熱で攻撃するんだからな、ルナの火炎魔法が効かないのと同じだ。まぁ近距離で撃ったらシヴァの爆発で起こる強力な爆風でダメージを与えられるかもしれないけどな。」
「じゃあ中身を変えるのは? 冷気を出すシヴァ砲にするとか?」
 無茶なことをいうヤツだ。
 シヴァ砲はシヴァという素材を使うためだけに、わざわざスザクのクチバシまで使って造られたんだ。
 シヴァ砲があの速度なのもシヴァの爆発の勢いがとてつもないからだ。
 シヴァほどの勢いで爆発する植物は俺の知っている限りでは存在しない。つまりあの速度で攻撃できるのはシヴァだけ。
 そしてその効果は高熱での攻撃のみ。シヴァの特性を変えて爆発と共に冷気の花粉をばらまくようにするなんて不可能だからな。
 ……いやぁ……待てよ……。
「おいルナ! ちょっと手伝え!」
「え? 何するの!?」
 俺は必要な荷物を袋の中から取り出しながら、ルナに声をかける。
「ちょっと外に出ろ」
「えー! でもお外真っ暗だよ。」
「いいから!」
 ルナの不平も強引に打ち消し、ルナの手を引いて外へ。
 俺は思いついのだ。あのスザクを倒す方法を!


 うう……眠い……。今俺たち3人は例のスザクのほこらに来ている。昨日の復讐戦に来たのだ。
 時刻は午前10時。スザクはどうやらまたどこかに行っているらしい。
「ふぁ……」
「ずいぶん眠そうね」
 幻術師が大きなあくびをする俺に言う。
「連れの子は寝ちゃってるし」
 幻術師の言葉どおりルナは俺に負ぶさったままで寝ている。
「昨日の夜遅くまで頑張ったからな」
「が、頑張ったって……え゛ぇぇぇぇぇぇぇ!?
 あんた正気なの!? こんな小さな子と……」
「バ、バカ!何考えてんだよ!今日の準備を頑張ってたんだよ 」
「な、なぁんだ……ビックリした……」
 ビックリするなぁぁぁぁぁ!
 その前にそんな想像をするな、この物語の品位が下がる!
「う、うん……どうしたのぉ? スザクが来たのぉ?」
 ルナが俺の背中で目をこすりながら言う。
「うんにゃ、まだ来てないぞ」
「……じゃああの赤い鳥は?」
 ルナが西の空を指差して言う。
 へ?
 俺はルナの差した方向に目をやる。あ、本当だ。スザクがこっちに向かってる。
 俺はルナを降ろして戦闘の準備をした。
「で、どうやって倒すの?」
「まぁ見てなって!」
「前の時も同じセリフ言ってなかった?」
 う、鋭い。
「いいから見てなって!」
 俺はそう言って懐に手を入れる。
「グワァァァオォォォ」
 おおっと! 来たな! 急降下攻撃!
「ルナ!」
「はぁい!」
 ルナが俺の合図と共に冷気魔法をスザクに放った。
 スザクは急降下の方向を変えそれを避けた。
 方向を変えたのだからもちろん俺たちの方には来ない。スザクは地面スレスレで急上昇するために羽を広げた。俺はこれを待っていた。
 ドォォォォォン!
 俺はスザクに頭部に狙いをを定めてシヴァ砲のトリガーを引くと、閃光がスザクの頭部が命中した。
 ズザァァァァァ!
 スザクはシヴァ砲が命中すると共に、飛行を続ける力を無くして腹から着地し、さっきまでの急降下の勢いのせいで、しばらくは大きな音を立てながら滑るように森の方へと進む。やがて森の木に激突し、ようやく止まった。
 まとっている炎が消え、スザクが白い鳥と化したのはちょうどその瞬間だった。
「な、何をしたの?」
 これを見て驚く幻術師。無理も無い。幻術師はシヴァ砲では絶対にスザクを倒すことができないと思い込んでいたのだから。
「まぁ……幻術とでも言っておこうか?」
 俺はにやけた顔で言う。幻術師は俺のその言葉を聞くとムッとした顔をし、スザクの亡骸の方に向かって走りだした。スザクの亡骸のもとにたどりついた幻術師は何やら調べている。
 遠くで見ていてもしかたないので俺たちも後を追って歩き始めた。
「ねぇ和臣。ルナも何でシヴァ砲で倒せたかよくわからないんだけど」
「おまえには説明しただろうが」
 まぁルナは説明の途中で寝てたけどな。
 俺たちが幻術師のもとにつくと、スザクの頭部を調べていた幻術師はスクッと立ち上がり、俺たちの方に振り向いた。
「スザクの頭部に何かがめりこんでいるわね……」
「それが何かわかるか?」
 ふふふ、今度は俺が出題者だ。
 さぁ存分に悩むがいい。
「まぁだいたい予想はつくけど……」
「じゃあ何だよ?」
 何? 予想がつくだと?
「スザクのクチバシで造った弾丸……そうでしょう?」
 くそっ、いきなり正解しやがった。
「ああ、シヴァを火薬として使いスザクのクチバシの弾丸をこめた」
「考えたわね。このスザクが避けられないほどの速度をもつ武器はシヴァ砲だけ、でもその攻撃の効果は熱のみ。
 その効果は変えられないけれど……効果をつけたす事はできる」
「ああ、この攻撃はもともとシヴァ砲にある効果の熱と、スザクの弾丸による直接的な物理攻撃が加わっている。
 つまり、熱が効果の無い敵にも、シヴァの爆発で発射されたシヴァ砲と同等の速度と勢いを持つスザクのクチバシの弾丸がめりこむ。
 まぁシヴァ砲改とでも名付けようか?」
「安易な名前ね」
 ほっとけぇ。
「でも、ちょっと気になることがあるわ……」
「どんな事だ?」
「スザクのクチバシの弾丸をいつどこでどうやって造ったの?
 それに材料だってそう簡単手に入るものじゃないでしょ……?」
 よっくぞ聞いてくれましたぁ。
「昨日、町の広場で、ルナを手伝ってもらって、持っていたスザクの剣を材料に」
 俺は幻術師に聞かれたままに答えてやった。
「……………………」
 幻術師は俺を無言で睨み付けてくる。
「スザクの加工は非常に困難なはずでしょ?
 それなのにどうして昨日のうちに、町の広場で、あの子に手伝ってもらったくらいで造れるのかって聞いてるのよ!」
「スザクの加工の仕方知ってるだろ?」
 スザクの加工の仕方。これを説明しておこう。
 他の金属またはゲンブの甲羅等を加工するにはどうするかは知っているだろうと思う。
 熱で溶かして型を取り冷やして固める。これを考えるとスザクのクチバシの加工がなぜ難しいか解ってもらえるだろう。そう、スザクのクチバシは熱で溶かすことが不可能に近いからだ。
 どんな物も融点はあるのはずだがスザクのクチバシの融点は不明のまま。シヴァの熱はシャロンいち。それで溶けないのだから融点を知ることができないのは当たり前だ。さて、じゃあどうやってスザクのクチバシを加工して剣など造るかと言うと、スザクのクチバシを0度以下に冷やす。こうするとなぜか硬度が木材程度にまで下がってしまうのだ。
 それを他の金属を使って切断して形を造るというわけ。
 なぁんだ簡単じゃん。と、思っているそこの君!ここがシャロンだということを忘れてもらっては困る!
 残念ながらシャロンには物を冷却する機械などが開発されていないのだ。
 じゃあどうやって加工するかと言うと。0度以下の寒い地域に行って他の金属で切って加工する。単純と言えば単純なのだが、結構それが大変だったりする。いちいち寒い地域に行かないといけなし。他の金属で切って形を造るのは意外と難しいのだ。嘘だと思うなら木材でシヴァ砲の模型を造ってみるといい。造れるものならね。
他にも一つだけ方法があるがこれを聞くと気が遠くなってくること受け合いだ。それはスザクのクチバシよりも高い硬度を持つゲンブの甲羅で造ったヤスリで削っていくと言う方法。
 え? スザクのクチバシより硬度が高いならスパッと切れるから簡単だろうって?
 甘い甘い。この2つの硬度はほとんど変わらない。師範クラスの居合い抜きの使い手だったらそれも可能かも知れないが、細かい作業はそれらの方々でも無理だ。
 だからヤスリで少しづつ削っていくしかない。まぁこれを実行する人はそうはいないだろうな。仕上げや微調整の時はよく使う技法だけどね。
 それよりもみなさん!
 この話を聞いてあることに気付いてもらえただろうか?
 すなわち、寒い地域でしか加工できないスザクのクチバシを、町の広場でどうして加工できたかということ。
「……そうか。この子の冷気魔法を使ったのね」
 ……あっさりかよ。
「正解、冷気魔法で冷やして加工をした。結構苦労したんだぜ?
 弾丸を造るのはかなりの時間がいる。冷気魔法で冷やしたと言っても途中でもとの温度にもどりまた硬度を取り戻しちまう。それをまた冷やして加工して……これを3回くらい繰り返してやっとできたんだからな」
「それで夜遅くまで頑張ってた訳ね?」
 しかしこいつ、相当頭の回転が早いな。
「そうだよ」
「フフ……大したものね……スザクを倒す方法を考えただけで自惚れないで、確実に当てる方法も考えるんですものね。
 スザクが急降下をした時に冷気魔法で攻撃をする。スザクはそれを回避するために進路を変える。それによって今までつけなかったスキをつくことができる。
 急降下の後は、上昇のためいったん翼を開いて減速しなければならない。
 その時が絶好のチャンス。でも今までは攻撃を避けていたからそんな暇はなかった。そこで冷気魔法で牽制することにより、進路を変えさせる。進路が変われば避ける必要はない。一方スザクの方はいつもどおり上昇のために減速しなければならない。
 結果、狙いをつける時間が充分あるあなたに攻撃を受ける。
 本当……噂どおりの……いえ噂以上の実力ね」
 う、こいつに手放しで誉められると何か妙な気分だな。
「お褒めに預かり光栄の至り」
 俺はあえて嫌みったらしく深々と礼をする。照れ隠しと言うなかれ。
「それより……連れの子……熟睡してるわよ……」
 あ、本当だ。難しい話が長く続いたからなぁ。
「おい、ルナ、おい」
 俺はルナの体を優しく揺すって起こそうと試みる。
「う、うーん。もう食べられないよぅ」
 食いしんぼうお決まりの寝言を言うルナ。おおっとこんな事をしてられない。
 俺にはやることがあるのだ。
 それは報酬を貰いに行くこと。俺はしかたなくルナをおぶって依頼人の町長のもとへ向おうと歩きだす。
「ねぇ……」
「何だよ。今から報酬貰いにいくんだ。
 言っとくけど分け前なんてないぞ」
 幻術師に呼び止められた俺は振り向いてそう言う。
「あ、いや……その後、どうするつもりなの?」
「どうするって?」
 なんだ?
 今までと雰囲気が違うような。
「いやだから……町を出るとか……今日は宿に泊まるとか」
「ああ、今日はあの宿に泊まるつもりだ。じゃあな」
 俺は早く報酬を貰いたいので簡単に答えて再び走りだした。
 ……何であいつこんなこと聞いたんだ?
 まぁ初めっから変なヤツだったし。気にしない気にしない。


 いやぁ儲かった儲かった。ちょっとしんどい仕事だったが、400万リクンはやっぱりおいしいよなぁ……。
 時刻は午後11時。完全にルナが寝静まったのを確認してから、俺は宿屋の近くにある酒場に来ていた。やっぱり仕事の後はこういう場所で酒を飲むのが最高だよな。
 この酒場は幻術師と初めて会った酒場。相変わらず客はいないがそっちの方が今はよかった。静かな場所は心が落ち着く。バーテンがグラスを丁寧に拭いている姿もこの雰囲気にあっている。
 俺は氷が溶けてやや薄くなったウイスキーで喉を潤した。あ、何か今ってハードボイルド系のキャラクターっぽくないか?
 そう言えば最初はこんな場面が結構あったのに……。まぁルナがいちゃ仕方がないか。
 カラン……。
 ドアを開く音。客が来たみたいだな?
 ん? 客の足音がこっちに近付いてくるぞ?
「隣いいかしら?」
 あ、幻術師……。俺は無言で頷いた。
 あれ? またピンクのリボンつけてる。
「私にもウイスキーの水割り、濃い目につくってね」
「かしこまりました」
 バーテンはそう言って水割りをつくり始める。
 カランコロン……水割りをつくる音だけが店内に流れた。
「どうぞ」
 水割りをつくり終えたマスターは幻術師の前にそれを置いた。
 幻術師は一口それを含む。……こうしてみると本当に綺麗だなコイツ。すべての仕草一つ一つが絵になってる。
 でも、やっぱりピンクのリボンはアンバランスだ。
「何?」
 俺の視線に気が付いた幻術師が俺を横目で見て言う。
「いや……」
 俺はリボンの事を言おうと思ったがやめた。前回のように怒らせたくなかったからだ。リボンの事を言うと異常に怒ったもんな。それにルナの話じゃ泣いてたっていうし……。 またしばらく静かな時間が流れた。時計の針と2人の水割りの量以外何も変わらない店内。
「ねぇ……」
 俺のウイスキーの量が半分をきった頃、幻術師が俺の方を見て声をかける。
「あなた……私が今つけているリボンが変だとか何とか言ったわよねぇ?」
「……ああ」
 俺は否定することもできないので素直に頷く。
「私のつけてるリボンも変かも知れないけどね。あなたのつけてるバンダナの方がよっぽど変よ。見たところ女物でしょう?」
 ピクッ!
「何だとぉ!? このバンダナはなぁ! あるヤツが俺にくれた大切な物なんだぞ!?」
 俺は思わず怒鳴って言う。幻術師はそんな俺を見るとなぜかクスッと笑って席を立ち、出口に向かった。
 な、なんだぁ?
 幻術師は店の扉を開いて店を出る途中でこちらを振り向く。
「リボンの事はバンダナを大切な物って言ってくれたことで許してあげるわ。
 でも……次に会うときまでに、ちゃんと気付いてよね」
 幻術師はそう言ってウィンクを一つし、店を出た。
 ???
 ……な、何なんだよいったい。まったく意味不明。それにしてもバンダナを大切な物って言ったからリボンの事を許すって……。

 ……………………。

 ……あ゛!
 俺はある大事な出来事を思い出した。このバンダナのことである。
 話は俺のミカエル学園高等部卒業式の日までさかのぼる。ミカエル学園卒業式の日。それは幼なじみのエリスの誕生日の日でもあった。
 それまではエリスとは口ゲンカばかりしていたので、プレゼントもろくにあげていなかった。エリスも俺の誕生日プレゼントを用意してなかったからお互い様だが……。
 しかし俺は高等部卒業と共に1年間世界に出ることになっていた。しばらく会えなくなってしまうので、俺は初めてプレゼントを用意した。
 女とろくに付き合ったこともなく、どんな物を買ってやればいいかわからないその頃の俺は、ピンクのリボンと言う恥ずかしい代物を用意してしまった。
 そして卒業式の日、エリスはそのプレゼントを受け取ると俺に自分の髪を束ねていたバンダナを渡した。
『来年は和臣と逢えないから誕生日プレゼントあげとくね』
と、言って。その時のバンダナこそ俺が今しているヤツである。
 ……そしてこの事を思い出すことによってある人物とある人物が重なった。
 そう……言うまでもなくエリスと幻術師。
 『幻術師=エリス』
 そうなら今までの幻術師の言動、その他も理解できる。
 俺は慌てて席を立った。
「マスターつりはいらないよ!」
 俺はカウンターに1万リクンを置き急いで宿屋に向かった。


「旅に出ただぁ!?」
 これは俺のセリフ。宿屋の主人に幻術師の部屋を尋ねた所、ついさっきチェックアウトとしたという答えが返ってきたのだ。
 そうだ!
 俺はどうしても確認しておかなければならないことがあった。
「なぁ幻術師の本名ってなんて言うんだ?
 宿屋に登録したんだから知ってるんだろ?」
「そういうことにはお答えできません……」
 む、俺はシヴァ砲で脅してでも聞き出したかったが、なんとか理性を保つ。
「じゃあ質問変える。幻術師はエリスって名前で登録してなかったよな?」
「え?ええ……そうですよ?
 お知り合いだったんですか?」
 ヒュルルルルル。
 俺の心に冷たい風がふく。俺はこの後エリスを探したが結局見つからなかった。
 ……5年間の時を経て再会した幼なじみ。しかし俺が幻術師をエリスだと気付かなかったために、ご機嫌ななめにしてしまったということで、こういう結果になってしまった。
 ……ん? 誰だ!?
 俺が鈍すぎるって言ったヤツは! エリスのヤツがあんなに綺麗になるとは夢にも思わなかったんだよぉ!
 何ぃ? それでも普通は気付くって?
 ……俺はそんなに鈍いのか?
 それにしてもエリスのヤツ、いきなり姿消すことないよなぁ。そんなに機嫌をそこねたのかなぁ……。
 ……まぁ、そのうち会うだろうから、その時までに感動の再会にふさわしいセリフでも考えてご機嫌ななめにしないようにするか。

第4章 ご機嫌ななめということで 後編 完

次章予告

 はぁーいルナどぇぇぇぇす!おーい!全国1億2000万人のルナファンのみんなぁ集まれぇ!ルナちゃんの次章予告のコーナーだよぉ!今回もルナ出番少なかったよね!前章よりはましだけど……。よぉーしルナファンのみんな!作者に文句を言おう!もっとルナちゃんを出せ!ルナちゃんを活躍させろ!とか。そうすればきっとルナの出番増えるよ!そうだ!作者に文句を言ってくれた人にはもれなく抽選で1名様にルナの水着姿のイラストの入ってるテレホンカードをプレゼント!さぁ今すぐ文句を言いにいこう!

〜そんなテレカは存在しません。あしからず〜

 なら造ってぇ!今すぐ造ってぇ!ねぇルナの一生のお願ぁい!

〜造っても欲しがる人がいないと思うので造りません〜

 もぉグレちゃうもん!夜遅くまで起きて、寝坊して、それから外から帰ってきてもうがいしないもん。それからそれからおやつの時間の前に友達の家でおやつ食べて、家に帰ってきてからまたおやつ食べてやるぅ!え?それくらいならやってもいいから早く次章の題名を言えって?どうでもいいけどいつもこのパターンだね。まぁいっか。次回魔女の飼い方『疲れるヤツだということで』来週も起きててね!

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