9月に入り、夏の旅行から半月が経ちました。
皆さんそれぞれが良い出会いと(せりなさんとあきらさんみたいな)、
出来事(ゆっくんの悩みを聞けたこと)などがありました。
でも、全てがよかった訳ではありません。
土曜日の今日、ゆっくんの他にせりなさん・由希さん・鉄平さん・達也さんが家に来てくれました。
お兄ちゃんも権造さんを連れてきてくれました。
その結果・・・

「何だと!
やるか、イーグル・権造!!」

「おう!
吠え面かくでねぇぞ、マンモス・鉄平!!」

権造さんと鉄平さんが言い合いになっちゃいました(汗
先程まで皆さんで酒盛り(としか言い様がありません)をしていて、
それぞれ楽しく話していたのですが、こうなっちゃいました。
権造さんは旅行の間に何かあったのか、ゆっくんと仲が良くなっています。
その分、鉄平さんと張り合うようになりました。
今回はお酒が入った事もあり、お互いに一歩も引きません。
(普段は引いているのかと聞かれれば困りますが)

「お兄ちゃん・・・」

「いやー・・・
やっぱり、麦コーラは最高だな」

お兄ちゃん・・・
その引き攣った顔で誤魔化さないでよ。
権造さんと鉄平さんを煽ったのはお兄ちゃんなんだから。

「ゆっくん」

「・・・その内、収まるだろう」

あっ・・・
ゆっくんまで諦めてる(泣

「由希さん、達也さん」

「あ、あの・・・
ごめんなさい」

「雪村君と久保さんに止められないものを、
僕達がどうやって止めろというんだい?」

・・・ごめんなさい。

「ちょっとちょっと、晶子ちゃん。
どうしてわたしには聞かないのよ?」

「そ、それは・・・」

せりなさんが仲裁したら、なおさら悪化するかも・・・
とは言えません(困

「大丈夫よ!
この春日せりな様にまっかせなさい!!」

その自信が不安なんですが・・・
その不安を知ってか知らずか、せりなさんは権造さん達の所に向かいました。

「そこの男達!
2人の言い分はよくわかった!
ここは気が済むまで決着を付けなさい!!」

ああ・・・
せりなさん、なんと言う事を・・・

「ただし、勝負は明日。
勝負方法も私達が決めるわ。
いいわね!?」

絶対楽しんでいるよ、せりなさん。

「ああ、もちろんだ!
今更逃げねぇだな!!」

「おう!
受けて立つぜ!」

は、話しが無茶苦茶な展開に・・・(汗

「それじゃあ、今日はもうおひらきにするから収まりなさい」

一応、収まった(本当に一応)から皆さんで後片付けを始めます。
でも、これでいいのかな?

「晶子ちゃん、後で勝負内容を考えるから手伝ってね」

「せりなさん、楽しんでいますね」

「もち!
最近、受験勉強も本格的になってきたからストレスがもう貯まって貯まって・・・
良い暇つぶしが出来たわ」

せりなさんにとって、権造さん達のプライド(あるのかな?)も気分転換にしかならないんですね。

 

そして、次の日・・・
心の中では権造さん達がお酒の飲みすぎで、
忘れているか二日酔いで中止になることを期待したのですが・・・

「せりな!
こっちはいつでもいいぜ!」

「何でもこいだ!」

健康そのもので、ついに始まりました。
はあ、先が不安だよ・・・

 


2002 elf 『あしたの雪之丞&勝 あしたの雪之丞2』

「幸せなる日々」
 (第11話・男の決着!鉄平VS権造)


 

―1つ目・腕力対決―

「ルールは簡単、このパンチングゲームでランクが高い方が勝ち。
わかった、二人とも?」

「へん、やっぱり男はコレだな!」

「オデも腕が鳴るだ!」

皆さん全員でゲームセンターにやって来ました。
そこにあるパンチングゲームという機械の前で、
せりなさんが権造さんと鉄平さんに説明しています。
ですが、私はゲームセンターはちょっと苦手なので、
ゆっくんと左腕で組みながら静かにしています。

「悪いな、晶子。
合田達・・・いや、春日に付き合わせて」

「いいんだよ、別に。
ゆっくんが居てくれるから安心だよ」

そう言うと、ゆっくんは照れて明後日の方を向いてしまいました。
かわいい!

「それじゃあ、先発は権造!」

「マンモス・鉄平。
オデの力を特と見るだ!」

せりなさんの言葉でゲーム機の前に立つ権造さん。
そのまま、グッと力を込めて・・・

「フン!!」

 

バスッ!!

 

 

「はい、権造はミドルね」

「ちっ、余計に力んじまっただ」

み、耳が痛いです。
キーンとなっています。

「し、晶子、大丈夫か?」

「う、うん、たぶん・・・」

どうして私以外の皆さんは平気なんですか?
由希さんまで平然としていますし・・・

「次、鉄平!」

「現ボクシング部員の力を見せてやる!」

やっと収まったと思ったら次が始まる様なので、慌てて耳を閉じます。
権造さんと違う所はちゃんと構えて集中しています。

「だりゃあ!!」

 

ズドン!!

 

「・・・この勝負、鉄平の勝ちね」

「クッ・・・」

「イーグルよぉ、オマエのパンチに腰が入ってないんだよ。
今回はオレの勝ちだ」

鉄平さんが最高ランクを出して、勝敗が決まりました。
そんな事より・・・

「きゅう・・・」

「お、おい、晶子!?」

耳を塞いだのにやられてしまいました(泣
ゲームセンターがもっと苦手になりそうです。

 

1つ目は、鉄平さんが勝ち星が1つ。
権造さんは、それはもう悔しがって私達にナンパしてきた人をボコボコにしていました。
いいのかな?

とりあえず鉄平さんが1勝です。

 

 

―2つ目・学力―

場所は私の家に戻って、2回戦が始まります。

「男たるもの、腕っ節だけじゃ今の世の中を渡っていけないわ。
次は学力対決よ!」

「・・・女でも渡っていけないぞ」

「ダハハハ!
確かにな」

「雪村君、せりなに聞こえるよ」

「雪村さん・・・」

ゆっくん、それは禁句だよ(汗

「ゲッ・・・
勉強かよ」

「どうした、マンモス・鉄平。
オメェは勉学は苦手だそうだな?」

「ヘ、ヘン!
それでもオマエには負けねぇよ!!」

そっか・・・
鉄平さんはもちろんゆっくん達は、
権造さんが頭が良いという事は知りません。
という私もその事を知ったときには驚きましたが・・・

「問題範囲は2年生の晶子ちゃん・3年生の由希に考えてもらったから、
心して掛るように!」

実は当初、問題はせりなさんが考えていたのですが途中で交代しました。
だって、怪獣モノの問題を出されても答えられませんよ・・・

「制限時間は一時間!
よーい、始め!」

 

一時間後・・・

 

テストの結果はもちろん・・・

「フッフッフッ・・・
オデの勝ちだな。
将来、日本を導いていく男だからな。
これぐらい当然だな」

「クソッ!」

予想通り権造さんの勝利。
ゆっくん達も権造さんの頭の良さに驚きを隠せないようです。

「晶子・・・
鷲淵は意外と言ったら失礼だが頭良いんだな」

「うん。
私も初めはビックリしたけどね」

「わたし、鉄平と同じでただの筋肉バカだと思ってた」

せりなさん、それは言いすぎですよ。

「ちょっと、自信を無くしちゃいますね」

「あ、ああ、さすがにね・・・」

由希さん、達也さんまで・・・

「オイ、いい加減に次に進まないか?」

権造さんの新事実に呆然とした皆さんでしたが、
お兄ちゃんの声で気を取り直して先に進みます。

ちなみに余談ですが、後でこの問題をゆっくんとせりなさんがチャレンジしました。
ゆっくんは予想通りの点数だったのですが、
せりなさんは・・・かなり落ち込んでいたという事だけ知らせておきます。

何はともあれ、これでお互いに1勝ずつです。

 

 

―最終戦・飲み比べ―

「最後は飲み比べよ!
男は飲みっぷりがよくなきゃ!」

こんな夕方前から飲んじゃあいけないと思いますけど・・・
それ以前にお酒は20歳を過ぎてからですよ?
わかってます?

「時間は無制限。
先に酔いつぶれた方が負け、OK?」

「了解!」

「わかっただ!」

ゆっくんをチラッと見ると、静かに首を振るしかしません。
それもそうですよね、部屋の端にある『ダース単位で積まれた麦コーラ(500ml)』を見れば・・・

「それじゃあ、準備はいい?」

「「・・・・・・」」

うわっ、無言で睨みあってるよ。
火花が散ってますし・・・
でも、お互いの手に持つのが缶というのがまた・・・

「よーい、スタート!」

 

グビグビグビグビ・・・

 

「「「「・・・・・・」」」」

「いやー、良い飲みっぷりね」

「やっぱり、男はこうじゃないとな」

開始の合図に、いきなり一気飲みする権造さん達。
それを呆然と見ている私達と、何も気にしていないせりなさんとお兄ちゃん。

「プハッ、次!」

「オデも!」

「は、はい」

カラになった缶を投げ捨てて、
由希さんが持ってきた新しいもののふたを開けて飲み続けます。
急性アルコール症にならないかな?

「さてっと・・・
あっちはほっといてわたし達も飲むわよ!!」

「えっ?」

ま、また飲むんですか?

「春日、明日は学校だぞ。
という前に、もう少しで鹿島に帰るぞ?」

「大丈夫よ、大丈夫!
少しだけだから」

「はあ・・・」

絶対、少しじゃすまないと思いますけど・・・
ゆっくんもその事がわかっているだけに、
溜め息しか出てこないようです。

「せりな、また飲むのかい?
僕としては遠慮したい所だけど・・・」

「何言っているのよ?
もちろん皆で飲むに決まっているじゃない。
ここは男らしくグイッといきんしゃい!」

「そうだぞ!
ここは潔く飲みあかそうじゃないか!」

お兄ちゃん・・・
どうしてこういう時には、
せりなさんと気が合うの?

「由希さん、どうします?」

「あ、あの・・・
あきらめてください」

やっぱり(泣

「由希、晶子ちゃん!
ほら、缶を持って」

無理やり持たされてしまいました・・・

「カンペー!!」

どうも逃げ場がないようです。
明日、兄妹揃ってゆっくん曰く『赤提灯の匂い』がでない事を祈るのみです。

 

2時間後・・・

 

「イ、イーグルよ・・・ヒック・・・まだまだだな・・・ヒック!」

「な、何、言うだ・・・ヒック・・・オメエこそ・・・ヒック・・・ウィ」

権造さん達は未だに決着がついていません。
ですが、周りに転がっている空き缶がどれだけ飲んでいるかがわかります。

「由希、達也!
ほら、ジャンジャン飲んで!」

「せ、せりなちゃん、
さすがにもう・・・」

「やっぱり連日で飲むのは・・・ウップ」

せりなさんの猛襲にダウン寸前の由希さん達。
という私ですが・・・

「晶子、大丈夫か?」

「だ、大丈夫じゃないかも」

ダウンしてしまい、ゆっくんに膝枕してもらっています。
普段のゆっくんならこういう事は中々してくれませんが、
お酒が入るとある程度なら抵抗無くしてくれます。

「おい、雪之丞!
見せ付けれくれるじゃないか!!
晶子、たまには酔うのも悪くないだろ?」

「・・・だからって、ダウンするほど飲まさなくてもいいんじゃない?」

「だはははは!
そう言うなよ、アッチよりマシだろ?」

お兄ちゃんが指差す所は、
相変わらず飲み続けている権造さんと鉄平さんが、
ダウン寸前ながらも睨みあっています。

「それとこれとは別問題だもん」

そう言ってお兄ちゃんを睨んでも、
ポーッとしているから堪えません。
うう・・・

「晶子、後の事はいいから寝ろ」

「でも、寝ちゃったら明日まで起きないよ?」

起きたらゆっくんがいなし、せめてお見送りぐらいはしてあげたいよ。

「・・・心配するな。
このままでは間部まで春日の餌食だ。
俺一人では酔っ払い一人に寝込んだ3人も連れて帰れない。
明日に始発に乗るだろうな」

「そう」

こんな状態で朝早くに起きれるかどうか分からないけど、
頑張ろう。

「それじゃあ、悪いけど寝るね」

「ああ」

ゆっくんが頭を撫でてくれる気持ち良さに、
眼を瞑るとすぐに寝てしまいました。

 

結局、勝負は引き分けになりました。
これからも、権造さんと鉄平さんの張り合いは続くようです。
お願いだから、せりなさんをまき込むのは止めてください(泣

 

 

―おまけ・根性試し―

「あ、あのな、晶子ちゃん・・・
確かにコイツとは決着を付けたいと思うが・・・」

「晶子さん、もしかして怒ってます・・・?」

「いいえ、別にこれっぽちも怒っていませんよ。
ただ、二日酔いがひどいと思って用意しただけです」

朝、何とか午前4時頃に皆さん起きる事が出来ました。
でも、顔色が悪いからせりなさん特性の酔い止めを用意しました。
決着がついていないから一気飲みした方が勝ちという案を出しました(ジョッキで)
決して、仕返しじゃありませんよ。

「し、晶子ちゃん。
どうして、わたしまで参加するのかな?」

「そ、そうだぞ、兄は関係ないと思うぞ」

「別に良いじゃない。
お兄ちゃんもせりなさんもこういう事、好きでしょ」

「「うっ」」

元はといえば、権造さん達を酔わしたお兄ちゃんと焚きつけたせりなさんにも、
責任を取ってもらわなきゃ。

「ゆ、雪之丞 、ヘルプミー」(泣

「・・・悪いが助けるつもりはない」

「雪之丞!
義兄のピンチなんだぞ!
何とかしろ!!」

「・・・オイ」

「ゆっくん、もちろんわかってるよね」

先にゆっくんに釘を差しておきます。

「・・・あきらめろ」

「「うう・・・」」

ちなみに由希さんと達也さんは、
ソファーに座って酔い覚ましをチビチビ飲んでいます。
あっ、私とゆっくんも頂きましたよ。
・・・正露丸顔負けの苦さでした。

「時間もないから、そろそろ始めるよ」

「「「「・・・はい」」」」

皆さん、いい子ですね。

「よーい、ドン!」

 

30秒後・・・

 

「「「「うえぇぇぇぇ」」」」(苦

これに懲りたら、少しは大人しくしてください。

 

 

第12話へ続く

 


どうも、siroです。
今回はたけぞうさんのリクエストで『権造と鉄平との熱い戦い』を書きました。
ですが、たけぞうさんが思っていた内容とは中途半端にずれていると思います(汗
一応シリアスに近く真面目な戦いを考えたのですが、何故かこうなってしましました。
やっぱり、私にとって権造と鉄平はギャグキャラと思っているからでしょうね。
たけぞうさん、リクエストしてもらったのにこんなSSで済みません(ペコペコ
精進していきますのでお許しを(泣
さて、次回は『勝・あきら』を予定しています。
思えば、あきらの出番というか盛り上がりが少ないと感じました。
たまには、『雪之丞・晶子』以外でほのぼのもいいかなと・・・
ラングさん・sarenaさん・たけぞうさん・蛇眼さん、ご感想ありがとうございました!