「ライル、ちょっといいですか?」

「いいですよ、学長」

「はあ・・・
何時になったら『お母さん』と呼んでくれるの?」

「あの3人を焚きつけたりしなければそう呼んであげます」

別に『お母さん』と呼ぶのに抵抗があるわけじゃない。
でも、事があるたびにモニカ達をからかったり、嗾けたりするささやかな反抗だ。

「もう・・・
それは良いとして、1つお使いを頼みたいのよ」

「お使い?」

「ええ、街までね。
ちょっと予定外に材料が足らなくなってしまって」

「でも、そういう事なら他の人もいるのでは?
ジェイルの時もそうだったし」

街に行きたくないというわけじゃないが、普段が普段だから確認を忘れない。

「もちろん、今回もあなたの前にジェイルに頼んだわ。
するとどういう返事が返ってきたと思う?」

「さあ?」

「『ライルはオレが目を離している間にミラまで口説くからな。
悪いが他に当たれ』だって」(笑

「ああー、もう!!」

た、確かに前回のトラブルは悪かったと思うけど、そこまで言うか!?

「断った責任の一部がライルにもあるんだからよろしくね」

「・・・はい」

泣く泣く引き受けるしかなかった。

 

この時、学長のイタズラな笑顔に気付かなかった事をのち・・・と言ってもすぐ後悔する。

 

 


2002 スタジオ・エゴ!『メンアットワーク3』

『その後の物語』
第4話・女の子が3人揃えば何とやら


 

「何で、君たちがココに・・・と言うより先回りしているの?」

準備が終わってダンジョンの入り口に向うと、
何故かモニカ・フィリス・瑞穂が待ち受けていた。

「わ、私は偶然ココを通りがかって・・・」

モニカ、それはその言い訳は厳しいと思うよ。

「ちょっと、錬金術の材料を確保をしに行こうかと・・・」

フィリス、戦闘にその服(プレゼントしたやつ)はちょっと・・・

「私は幽霊退治を・・・」

今は真昼間だよ、瑞穂(汗

「・・・それで、本当の所は?」

「「「学長先生から教えてもらった(のよ、んですよ)」」」

あー、もー、あの人はーーー!!(絶叫

「心配しないでも今日はケンカはしないから」

えっ?

「今日は4人で楽しく付き合いましょうと言う事ですよ」

そうなの?

「それを条件に学長先生からライルさんの用事を聞いたのですから」

そ、それなら、まだ安心かな?

「で・も、他の女の子を口説いたりしたらどうなるか分かっているわね?」

「は、はい!」

「よろしい」

うう、やっぱり変わらないかも(泣

 

 

街に着いて(もちろんモンスターと戦闘もあったけど)、頼まれたものはさっさと手に入れた。
でも、予想通りそのまま帰るなんて勿体無い。
4人で街をいろいろ見回る。
けど・・・

「ねえ、お腹減ったー。
ご飯食べようよー」

まさに色気より食い気なセリフを出すモニカ。
そこがモニカらしいといえばらしいんだけね(苦笑

「どうする、フィリス、瑞穂?」

「このままモニカさんを放ったままじゃ、ずっとこのままでしょうね」

「そうですね。
実は言うと私も少々空いていますし、賛成です」

「・・・よかったな、モニカ。
先に飯だぞ」

「やったー!
早く行こう!!」(嬉

本当に嬉しそうにはしゃぐモニカに溜息をつきながら、
一行はレストランへ向う。

 

「あー、おいし!
すみませーん、これおかわりお願いしまーす!」

「「「・・・・・・」」」

まあ、予想通り、目の前には大量の料理を片っ端から食べまくるモニカを見守る俺たち。

「・・・瑞穂、お腹空いていたようだけど食べる気ある?」

「・・・すみません。
今は逆に胸焼けしています」(汗

「どうして、モニカさんはこれほど食べているのに太らないのでしょうか?」

さあ?
それこそ昔から思っているけど、一向にわからない謎だね。
お腹も目立つほど膨らまないし。

「すみませーん!
これも追加お願いします!」

うわ、周りの人たちもモニカの奇行(?)に目を奪われている。

「モニカ!
もういいだろ!?
出るぞ!!」

「えーっ!?
まだお腹6分目くらいだよ!!」

「お前にとってはそれだけ食べれば十分だ!
ほら、さっさと行く!」

「あーん、私のご飯」(泣

このじゃあ、店の食料が無くなるまで食べそうだから強引に切り上げる(実は財布が心配なのは内緒だ
文字通り、ズルズルと引きずって外に連れて行く。
モニカ、少しは食欲を減らそうぜ(泣

 

 

「モニカさん、こういう服はいかがですか?」

「うーん、私はこの方が良いような・・・」

次に服屋に行き、モニカとフィリスが品定めをしている。
瑞穂は自分の国以外の服は苦手で、オレの隣りで居心地が悪そうにしている。

「瑞穂も何か探しておいでよ」

「い、いいえ。
私はやっぱり・・・」

ふむ、自分からは行く気がない・・・か。
それなら、少し気が引けるけど強引に・・・

「モニカ、フィリス!!」

 

ドン!!

 

「えっ?」

瑞穂を背中を叩くように押し出して、2人の中に混ざらせる。

「後はまかせたよー」

「え、ええ?」

「わかっわ。
ほら、瑞穂はどういう服がいいかしら」

「あ、あの・・・」(汗

「心配しないで、瑞穂さん。
私達は見立ててあげますから」

ガシッと瑞穂の両手を2人掛りでロックして、奥に引っ込んでいく。

「ラ、ライルさーん、助けてくださいー」

聴こえない聴こえない。

それから一時間後に、戦闘後よりも憔悴しきった瑞穂が印象的だったなぁ。

 

 

「さて、そろそろ帰ろうか」

そろそろいい時間になってきたし、帰らなくちゃ。

「そうだね」

「それじゃ帰りましょ」

「ええ」

全員賛成し、学園に戻る(もちろんモンスターとの戦闘があるけど)

「ふふ、今日は楽しかったですね」

「私はもうコリゴリです」

「あはは!
でも、偶にはこういのも良いよね」

「そうだな」

最近、何かとトラブルが多いから(ほとんど自業自得だけど)、
心休まるよ。

「でも・・・」

「ん?」

意味深に言葉を切るモニカについ振り向いてしまう。

「今度はライルと2人だけで行こうね!」

「あっ、モニカさんったらずるい!」

「そうですよ!
ライルさんと2人で行くのはこの私です!」

 

ワイワイガヤガヤ・・・

 

「はあ、勘弁してくれよ」

もうすぐつく頃に、いつもの展開になってしまった(汗
何時になったら、俺に平穏な日々を送れるのだろうか?

そんな事を考えながら魔法学園の門を潜り、ご到着。

 

第5話へ続く



今回は普段のライル達のやり取りを書いてみました。
ほのぼのですね。