「さて、準備はいいかね?
しもべたち?」

「イエッサーであります!!」

「いつでもいいよー」

「フフフ・・・
みーちゃん(ミルファ)から『全員で何か遊べないかな?』相談され、
かなり時間が経ってしまった。
が、ようやく計画を実行に移す日がやってきたのだ!!」

「資金繰り大変だったもんね・・・」

「俺も姉貴に小遣いストップされたし・・・」

「あちしもたかりゃんを金づるにすることや、こちら側の味方に付ける脅迫ネタを手に入れる為に行動したが、
没収されてしまったし・・・」

「あの・・・
味方はともかく、たかちゃんはそんなお金持っていないんじゃないかな?」

「甘い!!
たかりゃんには数多くの恋人達がいるではないか!?
ハーレムの王様なんだから、言葉一つで10万や100万くらい集まる!!」

「それは無理っす。
姉貴、そういうことにはかなり厳しいから、あっさりバレて計画自体もオジャンですよ?
逆にこうして実行できるだけ、マシでしょう」

「うっ」(汗

「でも、そのおかげで花梨達はすっからかんだよ?」

「だからこそ!!
計画を成功させてウッハウッハになるのだー!!」

「秘密裏に進めていたトトカルチョの参加組みから、
『これでは本当に来年まで結果が分からない。
何か別の企画を立てるべき』と提案され、ミルファちゃんからの口実も得た。
者共!!
覚悟はいいか!?」

「おう!!」

「はーい!!」

「では、雄二2等兵に命ずる!」

「はっ!」

「たかりゃん達を現場に呼び寄せてくるのだ!!
ちなみにアポとか事前に知らせるとかしてないからヨロシク☆」

「あっ!?
ひっでー!!
そんな役目やっすよー!!」

「ちなみに花梨もいやだよ」

「だまらっしゃい!!
行かなくては、今後の参加は認めんぞ!!
もちろん配当もなし!!」

「う・・・ああ・・・
ちっくしょー!!」(泣

「あーらら・・・
泣きながら行っちゃった・・・」

「いいのいいの。
そういうキャラなんだから」

「「アハハハハハ!!」」

 


2005・2008 Leaf 『ToHeart2 XRATED&ToHeart2 AnotherDays』

「パニック・ハート」
 第9話・まーりゃんパニック(前編)


 

快晴の中、休日に全員+菜々子ちゃんが集まる。
普段なら俺を気遣ってくれて、シルファちゃんを除き一人ゆっくりするか、誰かと約束するかどちらかだ。
しかし、今日はシルファちゃんたっての希望で遊園地に行く予定。
前日、歩きながら打ち合わせしていると菜々子ちゃんと出会い、誘ったのだ。
だから俺の家が待ち合わせ場所で、意気揚々と出かけるはずだった。
しかし・・・

「頼む!!
頭でも下げるし、何でもいうことを聞くから付いて来てくれ!!」

突然現れた雄二が立ちふさがった。
話に聞くと、俺達を何処かに連れて行きたいらしい。

「やれす!
シルファ達はこれから遊園地に行くのれす!!」

「あのね、雄二・・・
だから理由を言いなさい。
それで納得できるようなものなら、考えてあげるから」

「それは・・・」

断固拒否するシルファちゃんに、あまりの必死さに一考するタマ姉。
だが、雄二は理由を言わない。

「理由も言わないで主張するばかり。
こちらの都合なんてお構いなしですね、向坂先輩?」

「私も環さんの意見に賛成だよ?
困ってるんなら助けてあげたいし、訳を言って?」

小牧姉妹もそれぞれの反応を示す。
分かりやすいね。

「これは確かに怪しいっすねー」

「うむ。
これは後ろめたいことがあるな」

「うーちえもそう考えるか。
ある意味憐れだな」

そう言われてること事態が憐れなのでは?(汗

「でも、これほど真剣に頼むんですもの・・・
余程の事情があるんじゃ・・・」

「そうですよ。
理由を言わないのは確かに怪しいですけど、
いきなりどうこうなるわけじゃないはずですし」

「甘いですよ、ささら先輩、 優季さん。
最近この男の言動が怪しいですから、ホイホイついて行ったらひどい目に遭いますよ?
例えば・・・ゴニョゴニョ」

「「っ!?」」

おーい、由真?
二人に変なことを吹き込むんじゃないぞ?

「瑠璃ちゃん、どうないしよかー?」

「あんなん放っておけばええねん」

「そうですね。
瑠璃様は貴明さんにヌイグルミを取ってもらうって、はしゃいでましたから。
早く行きたいんですね」

「イルファは黙っときー!!」

「ねえ、早く行こうよー。
あたしは早くお化け屋敷に行って、貴明に抱きつくんだからー」

よし、絶対にお化け屋敷には入らないでおこう。

「菜々子ちゃんはどうしたい?」

「え、えっと・・・
お兄さんにお任せします」

それはそうだ。
彼女みたいな娘に、意味不明な人物に対応できるはずがないか。
これこれ、いくら怖いからって俺の後ろに隠れちゃいけないぞ?
悲しいことに知り合いなんだから。

「頼む!!
貴明も説得しろよ!!」

「どうして俺まで説得しなてはいけないんだ?
どっちかというと、される側だぞ?」

「俺達親友だろ!?」

「都合のいいときだけ親友発言するな、トラブルの元」

ん?
トラブル?
何かこう、忘れているような・・・忘れていけないことがあったような・・・

「今度の今度こそ本気だ!!
先に行きたければ、この俺を倒すがいい」

「なら、遠慮なく」

「へっ?」

そこからは阿吽絶叫だった(汗
もっとも遊園地に行きたいミルファちゃんとシルファちゃんのダブル攻撃から始まった。
その他数人が参加(予想はつくと思う)しても、確かに今回の雄二は一味違う。
倒されては起き上がり、その光景は珊瑚ちゃんがよくやっているゲームのゾンビを思い出す。
結局、雄二の言うとおりにすることになった。
というより、余りにも不気味な光景に菜々子ちゃんが半泣きになったからだけど・・・

 

 

「「それでは第一回、『河野貴明の現在の一番星は誰か!?』を開催いまーす!!」」

「さ、ちょっと遅くなったけど遊園地に行こうか?」

「待ぁて!!
逃がせはせぬ!!
逃がせはせぬぞ!! 」

予想通り、イヤな予感は的中。
連れられた場所は学園。
しかし、雰囲気はぜんぜん違う。
学園祭みたいに校門にアーチがあり、そこには何故か『へい、らっしゃい!!』と書かれていた(汗

「ひどいぞー、たかりゃん!
せっかくあちし達が出迎えてあげたのにー!!」

「そうよそうよ!
ポーズまで決めたのに無視は酷いぞー」

その校門の両端に、まーりゃん先輩と花梨が両手を掲げ歓迎するようなポーズをとっていた。
何故か体操服(ブルマ)で(汗

「よしよし。
ちゃんとたかりゃん達を連れてきたな。
おっ!
新入りもいるではないか!?
これは動くぞー」

「うんうん。
花梨たちにしたら、彼女がに勝つと最高だねー」

「っ!?」

獲物を見つけたような視線を菜々子ちゃんに向ける。
当然、彼女はまたもや俺の後ろに隠れる。

「雄二・・・
アンタね・・・」

心底軽蔑しきった視線を実の弟に向けるタマ姉。
他の彼女達も似たようなもの(若干、理解できないのか不思議そうな顔をしているのが数人)

「う・・・
あ・・・」

さっきまでの気迫は消えてしまい、怯える雄二。
まーりゃん先輩達のグルだと知られたから、強引に運ぶことなんて出来ない。

「でも・・・
実際、何なのこれ?」

ミルファちゃんの疑問を呼びかける。
想像はつくけど、彼女達主催だからなぁ・・・
斜め上にいっている様で怖い。

「皆がたかちゃんに告白して、今の状態になってしばらく経つじゃない?
ここで一度、皆がたかちゃんをどれほど想っているかアピールの場を用意したわけよ」

「どーだ!!
あまりの嬉しさに涙を流すか!?
苦しゅうない苦しゅうない!!
アハハハハ!!」

「ちょ・・・姉貴!?
ゴメっ・・・許し・・・ぎゃぁぁー!!」

別の意味で涙が溢れそうです・・・
雄二はタマ姉についに引導を渡された。
良い気味だ(邪笑

「ちなみに賞品もあるぞー」

「あるよー」

賞品?
今の彼女達を釣るエサはなかなかないぞ?

「たかちゃん、こっちこっち」

「へっ?
おい・・・」

突然、花梨に手を掴まれてまーりゃん先輩の所へ連れて行かれる。
まさか・・・(汗

「はいはい、たかりゃーん。
ジッとしててねー」

「うわぁぁぁー!!
ムグッ」

どこに隠し持っていたのか、ロープで俺をグルグル巻きにし口を塞がれる。
最後に胸の所に紙をペタッと張る。
予想通りそこには『賞品』と書かれていた。

「賞品はたかりゃんを一週間自由にする権利ー!!
ほら、参加するよね?
参加するべきなのだ!」

勝ち誇ったまーりゃん先輩。
しかし対する彼女達は冷静で、タマ姉を代表にして一言・・・

「お断りします」

「なんだとー!?」

「ええぇぇぇぇぇー!?」

お断りになられた。
意外すぎる展開に彼女達は驚愕する(俺も驚いた)

「何で!?
どうしてー!!?
皆はたかりゃんを欲しくないのか!?
なら、一ヶ月にあげちゃうぞ!!」

「これはもう出血大サービス!!
今しかないよー!! 」

「ふぐぐー!!」

勝手に上げないでください!!
それ以前に認めてませんからー!!

「それです」

「「は?」」

ため息を一つつき、辞退する説明をしだすタマ姉。

「その『賞品』ですが、もちろん事前にタカ坊から承諾を受けたのでしょうね?」

「「えっと・・・」」

「(プンプン)」(首を必死に横に振る貴明

「タカ坊のあの行動は否定を取らせていただきます。
で、何を根拠に貴女達はタカ坊のことを勝手に決めるのですか?」

まーりゃん先輩は確か、ささらさんとのデートを写真にとって脅迫ネタにしようかと考えていた。
よかった・・・
事前に気づいて削除しておいて・・・

「それよりも一番大事なのは、タカ坊の予定は私達が決めています。
もちろん、本人と話し合って了解してもらっています。
貴女達が勝手に決める権利はありません」

確かに、週末の予定とかは皆で話し合って決める。
今まで勝手に決められたことはない。
(ほとんど言いなりになって流されている状態に気づかないこの男)

「「・・・・・・」」

正論過ぎて、まーりゃん先輩と花梨は言葉もない。
ふぅ・・・
一時はどうなるかと思ったけど、何とかなりそうだな。
だが、まーりゃん先輩は諦めなかった。
というより、暴走した(汗

「だー!!
良い子ぶりやがって、タマりゃんのバカー!!
こうなったら・・・軍曹!!」

「はっ!」

「プラン変更!!
このままたかりゃんを人質にし、最深部へ引っ込む!!」

「了解であります!!」

「2等兵は、再度あちし達が逃げるまで足止め!!
その後、彼女達の道案内をせよ!!」

「またそんな役ー!?」(泣

『あらほらさっさー』と掛け声しながら、二人に担がれ連れられていく俺。
皆から離されていく間、微かに雄二の悲鳴が聞こえた。

「どきなさい、雄二!!」

「ぐほぅ!!」

「道を開けなさいよ!!」

「げはっ!!」

「ご主人様を攫うなんて、もっての他れすー!!」

「ごふっ!!」

「退きぃ!!」

「ぐう!!」

生き残れるか、雄二・・・?(汗

 

「・・・・・・」(呆然

攫われて、連れて行かれた場所はある教室『だった』。
しかし、そこにはモニターや様々な機械で埋め尽くしている。
何処だよ、ココ(汗

「これ、一体どうやって集めたんですか?」

「そこはほれ、さんりゃん(珊瑚)に頼んで仕込んでもらっていたのだ。
大変だったぞー
敵の協力を得ながら、隠し通すなんて。
使い方もばっちし聞いてるから問題なし」

「と言っても、スイッチの入れ方の順番だけよ。
本人がいたら、カメラを動かしたり出来るんだけどね」

珊瑚ちゃん・・・(泣
せめて一言いってくれたら、こういう事態にはならなかったのに・・・
というより、学園の許可を得たのだろうか?
(教師達もトトカルチョに参加しているので了解済み)

「お兄さん、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。
心配してくれてありがとう、菜々子ちゃん」

「え、えへへ・・・」

何で菜々子ちゃんが此処(作戦室)にいるかいうと、喋れるようになった後二人に頼んだのだ。
偶然いただけで、直接関係ない彼女を不参加にして連れてきてくれないか・・・と。
貴明は賭けのことを知らないが、菜々子はエントリーされていないため勝てばガッポガッポ。
(払い戻しはしないご様子)
悩みに悩んだが、これ以上下手に貴明を困らせるのもよくない。
菜々子自身も了解し、側にいるというわけだ。

「ひとまず、進行開始だな!!
ぐふふ・・・
さーりゃん達がどんな泣き声を出してくれるか楽しみだぜ」

「たのしみー!!」

ちなみに猿轡は外されているが、イスに縛り付けられた貴明。
その側には菜々子がお世話(?)している。
モニターを見ると、皆私服から着替えていた。

「・・・全員、着替えているんですね。
しかも体操着」

「うむ。
身体を動かす試練もあるし、おめかしした格好じゃ変じゃない?
体操着の方が動きやすいし」

「雄二はどうしたんですか?
道案内を頼んでいたようですけど、覗いたりしませんでした?」

着替えたということは、雄二に更衣室みたいな場所に案内されたはず。
最近アイツは壊れ気味だし、無謀を承知の上で突撃しそうだし。

「おやおや?
さすがのたかりゃんも、他の男に恋人『達』の肌を見られるのがいやか?」

「なっ!?
お、俺は一般常識としてですね!」

「可愛いなー、たかちゃん。
心配しなくてもだいじょーぶ!
タマりゃん(環)が縛り上げたから。
目隠し・猿轡は当然、肩から足元までグルグル巻きして壁に貼り付けていたから。
それでも不安だったのか、えらく短い時間で着替え終わってたけど。
置いて行った私服は、協力の女子達が預かっているから気にしないで。
もちろん、使った教室は匂い消しスプレーをまいてアフターケアもばっちり!!」

そ、そこまでの念の入りよう(汗
雄二・・・
オマエ、そこまでの変態と思われているぞ(泣
ふんぞり返る悪の権化の二人組みと、人質と非戦闘員(?)の二人組。
感じる雰囲気が全く違う中、『河野貴明の現在の一番星は誰か!?』改め、
『愛する彼を取り戻すのは誰か!?』 ついに始まった。

 

 

ファーストステージ・選択 〜雄二〜

「当初はポイント制だったけど趣向が変わったため、脱落者ありのデスマッチとなったわけだ」

クソッ・・・
せっかくのチャンスだったのに、姉貴め・・・
こうなったら、腹いせに最初にリタイアしてもらうか?

「何考えてるのよ、雄二?
表情が歪んでるわよ?
あっ・・・
今は顔自体が歪んでたわね」

誰のせいだよ!!
ったく・・・
このせいで、女の子にモテなくなったらどうするんだよ?

「なんでもいいからルールを説明してよー!
ウズウズしちゃって、ジッとしてられないよ」

「うむ。
久々の真剣勝負、腕がなる」

うわっ・・・
ミルファちゃんとるーこちゃん、目をキラキラさせてるよ(汗
被害がこちらに来ないうちに、とりあえず説明を済ませよう。

「まずはチャレンジするステージを選んでもらう。
身体を動かすジャンルと、別のジャンルから・・・な」

「2つしかないの?」

「ああ。
それとどちらかを選ぶかは自由だけど、イルファさん達は身体を動かす『ハードコース』。
郁乃ちゃんは駆引きがものをいう『ソフトコース』を選んでもらう。
ちなみにハードとかソフトとか言ってるけど、意味は特にないから。
ソフトが優しいって訳じゃないから、そこんところは注意しろよ」

「私達は『ハードコース』ですか?
こちらの方が私達の方が分がありそうなんですが・・・」

「ま、そこん所も駆引きの一つ。
さらに注意!!
イルファさん達以外は選ぶのは自由だけど、あまり固まるなよ。
人数の比率によって、脱落者の人数が変わるから。
例えば、イルファさん達3人以外全員が『ソフトコース』を選ぶとする。
その時はイルファさん達は無条件クリアで、『ソフトコース』の勝者は一人だけとなる!!
さあ、選んだ選んだ!!」

確定しているイルファさん達は体育館、郁乃ちゃんは一つ先の教室に行ってもらう。
これは決める前に中の様子が分からないようにするため。
他の皆はどうする?

「うちはさんちゃんと『ソフトコース』を選ぶで。
イルファと一緒になったら、どないされるかわからん。
さんちゃんもええよな?」

「ええよー」

この双子姉妹なら、当然の選択だな。
しかし、2にとってはどっちを選んでも辛いかもしれないな。

「ふん!!
勝負?
上等じゃない!!
私は『ハードコース』よ!!
負けないんだから!!」

「当然、私も『ハードコース』を。
るーの祝福を」

負けず嫌いの長瀬さんにるーこちゃんも、やはりこちらを選ぶか。
いい勝負が見れそうだ

「このみはどうする?」

「うーん・・・
『ソフトコース』がもしクイズだったら難しいし・・・
身体を動かすのも好きだから『ハードコース』にしようかな?」

「あっちゃー
確かにそういう可能性もあるっすね。
それじゃ、私もこのみと同じで」

「なら、私は『ソフトコース』だ」

チビ達は意外とバラけたな。
こいつらなら『ソフトコース』を選んだほうがよかったのに・・・

「あ、あの・・・
私は『ソフトコース』がいいなぁ・・・」

「ですよね。
私もそれで・・・」

「便乗したみたいですが、私も」

いいんちょー・草壁さん・久寿川先輩は『ソフトコース』
妥当だな。
久寿川先輩の運動神経はお世辞に言っても良くないし。

「それじゃ、私は『ハードコース』ね。
なんだかんだ言っても、タカ坊がかかっているんですもの。
手加減しないわ」

気合入りまくりの姉貴は『ハードコース』。
暴れて少しはこちらの気をかわしてくれ。

話し合いの結果・・・
『ハードコース』イルファ・ミルファ・シルファ・由真・環・るーこ・このみ・チエ
『ソフトコース』郁乃・愛佳・珊瑚・瑠璃・ささら・優季・ミチル

となった。
それぞれ移動してもらい、俺は司令室へ戻る。
確か、まーりゃん先輩達はそれぞれのステージの審判をするはず。
ククク・・・
思う存分、貴明を苛めてやろうではないか・・・
アッハッハッハ!!

 

・・・・・・

 

拝啓、お姉様・・・
身動き出来ない貴明を守ろうと、菜々子ちゃんは本気泣きの半歩手前でした。
その表情に罪悪感を感じつつ、ちょっとトキめいてしまった僕は変態ですか・・・?

 

 

ファーストステージ・『ハードコース』 〜まーりゃん〜

「よくぞ来た、つわもの達よ!!
俺は諸君を歓迎するぞ!!」

ふむ・・・
計8人か・・・
大体予想通りの面子だが、下級生達(このみ・チエ)がこちとらを選んだのは意外だ。
人数が多いほうが楽しめるし、せいぜいあちしを楽しませてくれ!!

「それで?
私達は何をすればいいんですか?」

「うぉーい!!
せっかく演出に請ったのにスルーか?」

体育館の中を暗くし、あちしはスポットライトを浴びながら雰囲気出したのに!!(いまだ体操服です)

「さっさと終わらせたいだけです」

「あっはっはっは!!
急いではことを仕損じるぞ、タマりゃん。
ならば聞け!!
今回のゲームはこれだ!!」

ビシッと準備していたものを指すと、打ち合わせ通り窓にかけてあったカーテンが外される。
明るくなる中、タマりゃん達は眩しくて目を閉じてしまう(あちしも眩しかった)
慣れてきた頃に全員、視線が集まる。
今回のバトルは・・・

「ヘルメットに付いている風船・・・」

「横にある剣の形のスポンジの棒・・・」

「うわー
テレビで見たことあるよー」

「まさか実物を目の前にするっすとはねー」

「あらあら・・・」

「「「・・・・・・?」」」

ありゃ・・・
よくわかってないのがるーりゃん(るーこ)・みーちゃん(ミルファ)・しーちゃん(シルファ)か・・・
どっちにしてもルールを説明しなくてはいけないし、趣向は分かるはず。

「ルールを説明しよう!!
察することも出来る者もいるが、改めて聞くように!!
まずはヘルメットを被り、剣(スポンジ)を持つ。
そして開始後、風船が割れたらリタイアのバトルだ!!」

「風船は剣以外で割っては駄目なんですか?」

さすが勝負事にはこだわりを持つゆーりゃん(由真) 。
さっそく変則的な手段を講じてきたか。
けど、それじゃ、あっという間に勝負が付いちゃうの。

「基本的には禁止。
剣以外に手に持って投げたりとか、ボールも禁止。
自信があっても、顔に当たると危ないし。
ただし!!
自滅を狙うのはあり!!
罠を張ったり、存分に卑怯な手を使ってまくれ!!
ちなみに剣は何本使っても可!!
では、準備してくり」

それぞれがヘルメットを装着して、剣を具合を確かめるため軽く振る。
準備も終わり、全員が中央に集まりついに始まる。

「準備はいいか、皆の衆?
フィールドはこの体育館全体!!
倉庫や2階もOK!!
審判はあちしが担当する。
では・・・」

開始直前の一瞬の静粛・・・
やる気満々な者、一度引いて隙を狙う者・・・
これこれ!!
同じ男を愛する同士でも、争いがなければぬるま湯も同然。

「誰がたかりゃんをモノにするか!?
昨日の仲間は今日は敵!!
『風船割りバトル』・・・始め!!」

 

くぅ〜ん!!(Byげんじ丸)

 

ドテテッ!!

 

「な、何れすか、あの音は!?」

「意表をついてみた!
普通の音じゃつまらないし」

「だからって、こんな気の抜ける音にしなてもいいじゃないっすか!!」

おいおい、お二人さん。
いつまでもツッこんでいてもいいのかい?
すぐ後ろに・・・

 

パン!! パン!!

 

「えっ?」

「へっ?」

叩かれた衝撃と音に、素っ頓狂な声を出すしっちゃんとちーちゃん(チエ)。
後ろを振る向くと、それぞれイルさん(イルファ)とこーちゃん(このみ)がにこやかに微笑んでいた。

「油断大敵ですよ、シルファちゃん」

「ごめんねー、よっち。
ついつい」

そこには勝者と敗者がきっぱりと分かれていた。
冗談半分(ほとんど?)の案だったが、さすがたかりゃんの側にいるしーちゃん。
ツッこみはたかりゃん直伝。
ちーちゃんは元々の属性。
いやー、不幸だねー。
颯爽とゲームに戻る勝者たち。
敗者は端に行ってもらう。

「残り、後二人ー!!
さあ、どんどん行こうー!!」

 

「勝負よ、るーこ!!
アンタは私がしとめる!!」

「かかってくるがいい、うー由真。
私の実力、見せてやろう」

およっ?
今度はるーりゃんとゆーりゃんの対決。
しかも正々堂々。
るーりゃんが剣を一本持ち、対するゆーりゃんは2本を左右の手で2刀流。

「このっ!!」

「ふっ!!」

チャンバラよろしく、強引に攻めるゆーりゃんに避けながら隙を伺うるーりゃん。
ゆーりゃんは『数打ちゃ当たる』みたいな攻撃。
勝負は意外と拮抗している。
いや、るーりゃんが『させているのか?』

「なかなかの気迫だ、うー由真。
その心意気は見事だ」

「と、当然よ!
ぜぇ・・・ぜぇ・・・
勝負よ!!」

息が切れ始めたゆーりゃんは、焦ったのか決めにかかる。
しかし、彼女の悪い癖。
それは、周りが見えていないこと。
勝負は一対一ではないのだ。
『2階』の通路から、気合の声が響く。

「とりゃー!!」

「なっ!?」

 

ドコ!!

 

「ぐはっ!」

メイドロボの特性を生かし、飛び降りてきたみーちゃんがゆーりゃんの風船を割る。
力と勢いが強かったのか、ヘルメットを被ってもかなりダメージがあったらしい。
打たれた所を押さえうずくまっている。

「ええーい!!」

「甘い」

 

パンっ!

 

「きゃう!」

るーりゃんは倉庫のドアで隙を伺っていたこのりゃんに襲われるが、あっさりと返り討ち。
瞬発力はあったけど、るーりゃんにはバレバレ。
歴戦の猛者を感じさせるよ。

「うーこの。
奇襲には掛け声など不要。
相手に襲うタイミングを教えているようなものだ」

「でも、由真さんには通用したよ?」

「彼女は私しか見えていなかったからな。
うー由真が単純だったこともあるが・・・」

「なんだとー!?」

おりょ?
さすがに聞き捨てならなかったのか、ゆーりゃんが立ち上がった。

「反論はあるか、うー由真?
結果が全てだし、過程も間違っていないだろう?」

「う・・・うぅ・・・」

言い返せないよな。
実際、綺麗に決まったし・・・
そろそろ出るかな、お決まりの言葉。

「これで勝ったと思うなよー!!」

出た!
彼女の十八番の捨て台詞!!
でも、そのままどっかに行っちゃったよ(汗
おおーい、戻っといでー。

「あら、私は何もせずにお終い?」

カーテンの裾から出てきたタマりゃんは、不思議そうな表情で合流してきた。
ここで後一人と言えば壮大なバトルがあるような気もするが、楽しみは後でとっておこう。

「では、しゅーりょー!!
では、次も頑張ってくれ!!」

「またつまらぬ物を斬ってしまった」

「斬ってない斬ってない。
というより、何処でそんな台詞覚えてきたのかな、こーりゃん?」

「前にこの世界の情報収集に、テレビを見ていてな」

こーりゃん、あちしと一緒に大怪盗を目指してみないか?

 

 

ファーストステージ・『ソフトコース』 〜花梨〜

「いらっしゃいませー」

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

入ってきた皆を笑顔で出迎える。
なのに、警戒心ありまくりな反応は何なの?

「あ、あの・・・
花梨さん?」

「なんじゃらほい?」

「ここで何をするのでしょう?」

「まあまあ!!
それは追って説明するとして、座って座って」

教室のど真ん中にあるテーブルに誘導して、全員座らせる。
ちなみに私は体操服の上にエプロンを着ている。
その組み合わせからか、皆から妙な視線を浴びるけど気にしない。

「それで、ルールを説明していただきたいのですが・・・」

「もう・・・
生徒会長も気が早いなぁ。
まずはこれでも食べて落ち着いてよ」

パチンと指を鳴らすと、ドアが開き同士達が(顔が見えないようにお面を被ってる)トレーを引きながら入ってくる。
その上に乗っているものをそれぞれの前に置く。

「うわー!
ケーキやー!」

「あ、怪しいで・・・」

「ケーキ・・・ですね」

「ケーキだな」

「お姉ちゃん、涎」

「あう!」

「あの・・・
これは・・・」

「いいからひとまず食べてみて。
変な小細工なんてしてないし、なんとおかわり自由!!
テーブルにあるメニュー表で選んでね」

胡散臭そうにしている人もいるけど、誘惑に勝てなかったのか一口。

「美味しい・・・」

「うまいなー。
瑠璃ちゃんも早う食べなー」

「わ、分かったから、落ち着いて食べてぇやー!!」

「美味しいよぉ・・・」(嬉し泣き

「お姉ちゃん・・・」(呆

「あの・・・
紅茶をいただけますか?」

「私もお願いします」

「美味」

うんうん。
皆、思い思いに食べてるね。
あらら、いいんちょーは幸せな顔をしちゃって。
そろそろ、ルール説明しちゃいますか。
驚く表情が楽しみ。

「食べながらでいいから、今からルール説明するよ。
内容は『ケーキ大食い大会』!!
ルールは今から30分以内にケーキを多く食べたほうが勝ち!!
もちろん、今まで食べた分も組み込まれるから!!」

「それでは、差が生まれてしまいますが・・・」

「確かにいいんちょーが事前にこんなに食べるとは思わなかったけど、
これは駆引き勝負だから」

「駆引き勝負?」

「これを見て」

再び同士達が皆に紙を配る。
それを見て、ピシッと固まる皆(珊瑚ちゃん以外)。

「あの・・・」(汗

「何かな何かな?
スリーサイズ以外、何でも答えちゃうぞ」

「これは・・・どういう意味ですか」

恐る恐ると言う感じで問いかける生徒会長。
うーん!
最近、部室の件で嫌味(本人主観)言われてたからね!
もっと苛めたくなっちゃうよ!!

「これって、言われても書いてあるとおりだよ?
出来るだけ分かりやすく書いたつもりだけど?」

「で、では・・・」

「うん!
それは今まで食べてきたケーキの名前と含まれているカロリーを計算したもの!
一度注文すれば、リタイヤするしない関わらず全部食べてね!!
もう質問ないね?
それじゃレディ、ゴー!! 」

混乱する彼女達を尻目に強引に開始させる。
これが『変則大食い大会』!!
ひとつケーキを食べるごとに、カロリーの摂取量を知らせて乙女心をガリガリ削る。
食べたもの勝ちではなく、どれだけ抑えて勝ち残るかの勝負。
周りの状況で駆引きするか、たかちゃんの為にカロリーを受け入れるかの天秤。
さあさあ、どうする!!

「でも・・・
ウチ・・・お腹いっぱいやー
ごちそうさまや」

ありゃりゃ、ただ一人状況を理解していなかった珊瑚ちゃんがフォークを置いた。
飲み物をコクコク飲んでいる。

「私も・・・
前もって、薬打っておいたけどこれ以上は・・・」

「ああ!
郁乃ちゃんは身体の件もあるから、初めから不戦勝よ」

「そうなの?」

「うん。
ゆっくり観戦しててね」(邪笑

「分かったわ」(邪笑

よく分かってる☆
さすがに郁乃ちゃんにバトルロイヤルや、本当の大食い競争なんてさせられないし・・・
その分、次回に頑張っていただきましょう!!
今は彼女達の葛藤を楽しませてもらいましょう。

「はう・・・
い、郁乃〜
ど、どうしよう〜」(泣

「別にいいじゃない。
そのまま開き直って、食べ続けたら?
こんな美味しいケーキ、いつ食べられるやら」

「郁乃のいじめっ子〜」(泣

泣きながらペースも落ちたけど、それでも食べ続けるいいんちょーに乾杯☆
その横ではケーキを渡す係りと、カロリー計算する係りが忙しそうだ。

「うちも、もういらん。
これ以上食べたら、晩御飯が食えん」

さすが主婦(笑
瑠璃ちゃんらしいお言葉で、フォークを置いた。
それでも珊瑚ちゃん以上は食べたかな?

「私ももういい。
普段の食事量とカロリーを考えて、これ以上は無理しないほうがいい」

ミチルちゃんは冷静に判断して、終了宣言する。
うーん、いいんちょー以外とみんなあっさり諦めるわね。
これじゃ、盛り上がらないなぁ・・・
およ?

「ささらさん、それぐらいにしておいたほうがよろしいのでは?
次、お願いします」

「大丈夫ですよ。
優季さんこそ、これ以上は止めておいたほうがいいですよ?
私もお願いします」

おおっと!
意外な人たちの意外な戦い!!
生徒会長に優季さんの対決。
普段の大人しくて控えめな態度もかなぐり捨て、バチバチと火花が散る。

「貴明さんは私が迎えに行きますので、先輩はクラゲを愛でてください。
次」

「いえいえ。
貴女こそ、メモ帳片手に良く分からない妄想でも考えていてください。
私も」

うわっ・・・
キツイ言葉まで出てくるよ(汗
望んでいたってったら、望んでいたけど・・・
正直、怖い・・・
周りの同士も雰囲気に巻き込まれ、ガクブルだし・・・
カロリーなんて関係ねぇぜとばかり、食べ続けるお二人・・・
実際、カロリー表も見ていないし。

「それでしたら今度貴明さんに頼んで、台本(メモ帳)通りにやってもらうようお願いしましょうか」

「それが妄想というのですよ」

本当は2人とも次に進める量を食べているんだけどなぁ・・・
と、止めていいのかな?(怖

次のステージへの挑戦者は、いいんちょー・生徒会長・優季さん・郁乃ちゃんとなりました。

結局、2人とも限界を超えて同じ量でストップ。
正気に戻ってお互いの発言に謝り、カロリー表を見て白くなった(苦笑
それでも、いいんちょーがトップなのが不思議・・・

 

 

ファーストステージ・終了 〜貴明〜

「「「・・・・・・」」」(汗

こちらのモニターで彼女達を見させてもらったけど・・・
いや、なんていっていいか、その・・・
コメントに困るな(汗

「な、なあ、雄二・・・
オマエはこんなものを見たかったのか?」

「確かに合ってはいるんだが、想像と違ったというか・・・」(汗

「お姉さん達、ちょっと怖いです・・・」(怯

「雄二、逃げないから縄を解いてくれ。
菜々子ちゃんを慰めたいし」

「わ、分かった」

さすがに雄二も分かってくれたのか、2つ返事で解いてくれる。
軽く手をブラブラさせて、菜々子ちゃんの頭を撫でてあげる。

「あっ・・・」

「大丈夫だから。
普段の皆はすごく優しいし、今は雰囲気に飲まれているだけだから。
ほら、2人とも謝ってるよ」

モニターにはささらさんと優季さんがお互いにペコペコ謝っていた。
その光景に菜々子ちゃんもほっと安心したようだ。

「でもさ、雄二。
いい加減中止したほうが良くないか?
これ以上何かあると・・・」

「やめるわけにはいかないんだ!!
この準備に全財産を注ぎ込んだんだ!!
このトトカルチョで最低でも元をとらないと破滅なんだ!!」

「オマエ・・・」(呆

そんな企画に参加すること事態が間違いだと、どうして気づかない?
しかも、主催がトラブルメーカーだぞ?
一体、この先どうなることやら・・・

 

 

第9話・後編へ続く

 


パニハー第9話、まーりゃん先輩と言いながらサブキャラクターALLものです(汗
当初はまーりゃんメインを考えていたのですが、協力者が必要になりこうなりました。
このシリーズ初の前後編です。
というより、一度切らざるを得ないくらいの長さになってしまいましたし(汗
まーりゃんの皆を呼ぶアダ名は適当なので軽く流してください。
次回も頑張っていきます・・・と言いたい所ですが、ついに私も夏風邪を引いてしまいました(泣
散々、皆様には注意してくださいとか安静になど言っておいてこの始末です(汗
自覚症状がなく『今日は涼しいな』と思っていたのが実は寒気で、食事が食べにくくてようやく気づきました。
改めて、皆様は体調にはお気をつけて・・・
ラングさん・こうりさん・風車さん・ことぶきさん、ご感想ありがとうございました!!