「さて・・・
ミルファちゃん、シルファちゃん・・・
前日言ったとおりに、ミルファちゃんは写生とシルファちゃんはゲンジ丸のお世話をお願いしますね」

「えぇぇー!?
あれ、本気だったのー!?」

「そ、そうれすよ!
そんな昔のことをネチネチと覚えてるなんて、イルイルは意地が悪いれす!!」

「シルファちゃん・・・
昔って、ほんの数日前じゃないですか。
それに、何か悪意を感じるのですが・・・
2日間に追加です」(怒

「ぴっ!!」

「で、でもでも、そんな量なんて一日で終わるわけないじゃない!!」

「シルファも2日もあの畜生をめんろうを見るなんて・・・」

「ああ、シルファちゃんはちょっと予定が変わりましたよ」

「・・・なんれすか?」

「な、何ででひっきーだけ!!」

「ミルファちゃんは黙ってください。
シルファちゃんは珊瑚様のマンションに移ってもらいます」

「っ!!」

「珊瑚様のお願いですし、シルファちゃんも本当は大好きなんですから。
今回はそのキッカケになればと思いますよ。
まだ、微妙に避けているのは自覚しているでしょ?」

「・・・・・・」

「ですから、もう少し近づいてみなさい。
珊瑚様はいつでも両手を広げて受け入れてくれます」

「はいれす・・・」

「ちなみに朝と夜のゲンジ丸の散歩はお願いしますね。
珊瑚様も楽しみにしていましたから・・・」

「そ、それはあるんれすか!?」(泣

「当然です」(キッパリ

「・・・アレ?
でも、シルファがいなくなるんじゃ貴明はどうするの?」

「そ、そうれすよ!!
ご主人様はらめっこご主人様らから、のたれ死にますれすよ!!」

「2日くらいでは死にません。
それにちゃんと考えてあります」

「どうするの?」

「このこの(このみ)のウチに頼むれすか?」

「貴明さんは私がお世話します☆」(喜

「ず、ずるーい!!
色々言ってもそれが目当てなんじゃない!!
きたないわよ、お姉ちゃん!!」

「ご、ご主人様はシルファだけのご主人様れす!!
イルイルになんて任せられません!!」

「ちょっと、ひっきー!!
あたしも貴明専属メイドロボなのよ!!」

「ミルミルは勝手に登録したらけじゃないれすか!!
シルファはご主人様も認めてくれています!!」

「うぬぅー!!」

「うぅぅー!!」

「2人ともやめなさい。
これは決定事項です。
他の皆さんにも承諾済み。
これを断れば、それこそ貴明さんは一人になってしまいます」

「・・・わかったれす。
今回はイルイルにお願いするれす」

「そ、それじゃ、もし写生が早く終わったらあたしも貴明のウチに行ってもいいの!?」

「あら、そんな余裕があるなら反省になりませんね。
さらに倍です」

「・・・・・・」(泣

「ミルミル・・・」(ちょっと同情

「では、2人とも頑張ってくださいね。
明日の土・日から始めます」

 

 


2005・2008 Leaf 『ToHeart2 XRATED&ToHeart2 AnotherDays』

「パニック・ハート」
 第2話・いけないメイドロボ


 

 

「というわけでして・・・
私がシルファちゃんの代わりに、貴明さんのお世話を担当することになりました。
2日間と短い間ですが、 よろしくお願いします☆」

「は、はあ・・・」

何故か朝に起こされたのが、イルファさんだった。
頭上に?を出している俺を見ても、イルファさんは微笑みながら事情を説明してくれた。

「シルファちゃんのことは分かったよ。
俺も気になっていたからね。
でも、ミルファちゃんは・・・」(汗

「あら、ミルファちゃんなら大丈夫ですよ。
あのコも普段なら充分ですが、貴明さんが絡むとやる気が違いますから。
そういう所は記憶が失う前と今も変わりませんね。
さすが、すきすきすきーのレベル3ですね。
好かれてますね、貴明さん」

「あ、あはは・・・」(汗

そ、そういうのは面を向かって言わないでほしい。
恥ずかしすぎる。

「もちろん、私もレベル3で大好きですよ」

「っ!!
イルファさん、からかわないでください!!」

「あら、私はウソは申してませんよ。
それは貴明さんがよく知っているじゃないですか?」

「ほ、ほら、瑠璃ちゃんは!?」

「もちろん瑠璃様は愛してますよ。
ですが、それでもやはり本能は貴明さんも求めてしまうんです。
ああ、私はなんていけないメイドロボです」

『フウ・・・』って、ちょっと悩ましい溜息をつかないでください!!
瑠璃ちゃんを引き合いに出してもカウンター気味に返されてしまうし。

「ほら、いつまでも恥ずかしがってないで着替えてください。
朝食の準備も出来てますよ」

「は、はい」

誰がそうさせているんですか!!
内心、そう思いながらイルファさんが持ってきてくれた着替えに手を伸ばして・・・

 

スッ

 

何故か、伸ばした手はイルファさんによって避けられてしまった。

「って、イルファさん?」

「はい?
何ですか?」

問いかけても、そこにはいつも通りの笑顔のイルファさん。

「いや・・・その、着替えるんですけど・・・」

「分かってますよ」

どうしてそこで不思議そうに首を傾げるんですか?
あれ、俺が間違ってるの?

「着替えるから、服を・・・」

「ああ」

ポンっと両手を合わせて納得顔のイルファさん。
よかったよかった 、やっと分かってくれた。

「あら、お着替えをお手伝いをしてほしいんですね。
それならそうと、仰ってくれればいいですのに。
ほら、ジッとしていてください」

「ち、違います!!
ほ、本当にボタンを外さないでください!!」

斜めに理解したイルファさんは、本当に脱がし始めた(汗
か、勘弁してください!!

「じ、自分で着替えますから、結構です!!
ちょっ、ソコはマジでダメですって!!」

「ほら・・・
貴明さん、ジッとしてください。
大丈夫です、私は気にしませんから」

「俺が気にするんですって!!
いやー!!」

「それでは、ご開帳ー☆」

 

その後、何とか下着は死守しました・・・
その時のイルファさんの妙にキラキラした笑顔少し怖かったです(泣

 

 

「ご馳走様でした、美味しかったです」

「お粗末さまでした。
まだシルファちゃんに、お株を奪われるわけにはいきませんから」

確かにシルファちゃんが作る食事も美味しいが、さすがにイルファさんの方が一日の長があるな。

「それに瑠璃様からも学んでいますので、そう簡単には追いつかれませんよ」

「へぇ・・・」

瑠璃ちゃんに・・・
シルファちゃん、お姉さんは強敵だぞ(笑

「でも、イルファさん・・・
瑠璃ちゃんに変なことしてないよね?」

「ひ、ひどいです、貴明さん!
私を信じられていないんですね!
ちょっと後ろから抱きついたり、味見の時に関節キスしたり、
我慢できなくてキスを強請っただけじゃないですか!」

「・・・・・・」

えっと・・・
これはツっこむべきなのだろうか?(汗

「瑠璃ちゃん、怒りませんでしたか?」

「いいえ、アレは照れ隠しなんです☆」

照れ隠しって・・・
分かってて言ってますね。
目線で問い詰めると、ガックリと肩を下ろしたイルファさん。

「本当は怒られてしまいました。
罰としてしばらくスキンシップと、ちゅーの禁止を・・・」(泣

理由は違うけど、3人ともお仕置きを受けていたんだ・・・
これで多少反省してくれるだろう。

「というわけでして・・・
その分、貴明さんにスキンシップとちゅーを・・・」

「し、しません!
しませんからね、絶対!!
本当にすると、瑠璃ちゃんに言いますからね!!」(必死

「貴明さん、いじわるです・・・」

前言撤回。
全く反省してませんよこの人。
瑠璃ちゃんも苦労してるなぁ・・・(同情

「スキンシップとちゅーは後で頂くとして、お掃除しちゃいますね」

「しませんって!!」

本当に勘弁してください(泣

「スキンシップとキスはしませんけど、何か手伝うをことはありませんか?」

「いいえ、こういうことこそメイドロボのお仕事ですから。
ご主人様に手伝ってもらうなんてもっての外です」

「ご主人様云々は横において・・・
シルファちゃんの時にも言いましたけど、
メイドロボとかじゃなくて女の子が掃除しているに手伝わないのはちょっと・・・」

「それは嬉しいお言葉ですけど、シルファちゃんも断りましたでしょう。
私も同じです。
ですけど、ありがとうございます貴明さん。
その気持ちが私達にとって何よりのご褒美なんです」

「うっ」

笑顔でそんなことを言われては何も言えるわけがない。
イルファさん、反則ですよ(苦笑

「ほら、貴明さんは宿題でもなさってください。
そうですねぇ・・・
一時間半くらいで下は終わりますから」

「わかりました、お願いします」

「はい、お任せください。
そうだ、お掃除が終わったらご褒美にちゅーを・・・」

「じゃ、頼みますね!!」

もう逃げるしかない。
ヘッキーと言いたければ言うがいいさ!!
イルファさんの暴走スイッチが入ってしまったら、これ以上なんだから!!

 

 

掃除が終わった後、イルファさんが・・・

『今日は良いお天気ですし、外でお弁当にしましょう』

の一言で、桜通りの川辺でちょっとしたピクニックになった。
イルファさんはいつも唐突だな。
俺もたまにはと賛成し、
シートを引き、少し遅れた昼食を外でいただく。

「いただきます」

「どうぞ、お召し上がってください」

中身は唐揚げと玉子焼き、ポテトサラダ・他のおかず2・3品におにぎり。
見た目も綺麗だし、栄養バランスも考えられてると一目で分かる。
一人分の弁当だけど、ここまで手を込んだものを作るのは逆に大変ではなかっただろうか?

「イルファさん、大変だったんじゃない?
一人分なんだから、もっと簡単にでも良かったのに」

「気になさらないでください。
こういうお仕事もメイドロボのお仕事ですから。
それよりもお味はどうですか?」

「もちろん美味しいですよ。
イルファさんが作る食事はいつも美味しくいただいてます」

「ありがとうございます」(嬉

ニッコリと微笑むイルファさんに照れくさくなって、誤魔化すように食事を進める。
うん、美味しい。

「話しは変わりますが、シルファさんはどうですか?
あのコはちゃんとお仕事してますか?」

「シルファちゃん・・・ですか?」

唐突に話しの内容に首を傾げる。
それはイルファさんもよく知ってるはずなのに。

「はい・・・
確かに午前中はシルファちゃんのお掃除を見ることは出来ます。
しかし、私もマンションでのお仕事がありますので丸一日というわけにはいけません。
私が知りたいのは、貴明さんが帰ってきてから就寝までのことです。
ご存知の通り、だいぶマシになりましたがまだ気難しい所がありますから」

「それは、そうですね」(苦笑

初めて出会ってからのことを思い出すと、懐かしさに笑いが込み上げてくる。
送られてきた時に裸だったのは驚きすぎて混乱したが、
イルファさんから事情を聞いてからの接し方にあれこれ考えさせられたものだ。

「貴明さんにお聞きしたいことは、『ご主人様』としてシルファちゃんという『メイドロボ』が、
しっかりしているかどうかです」

これの質問はシルファちゃんの姉として、メイドロボとしての真面目な質問なのだろう。
イルファさんの表情も真剣そのもの。
飾り気やウソ偽りない意見がほしいのだろう、『ご主人様』として。
でも、俺は・・・

「ごめん、イルファさん。
その・・・『ご主人様』とか『メイドロボ』なんて、はっきり言ってよく分からない。
シルファちゃんが『メイドロボ』で、俺が『ご主人様』というのは分かってるつもりだけど。
でも、俺はそういう風には考えられない。
『メイドロボ』とか関係なく、シルファちゃん自身を大切に想ってるから。
もちろん、イルファさんもミルファちゃんもだけどね」

「・・・・・・」

イルファさんは、何も言わず呆然として俺をジッと見つめてくるのみだった。
さすがに、聞きたい評価も何もなしというのはいけない。

「大丈夫、シルファちゃんはしっかりやってるよ。
食事も俺の健康を考えてくれるし、ちゃんと気遣いだってしてくれる。
言葉ではどう言っても、最後には引き受けてくれる。
『ご主人様』としてはよく分からないけど、俺自身の評価は満点だよ。
むしろ、俺の方が愛想つかれないようにしないと。
ほら、俺って『らめっこご主人様』だから(苦笑」

「・・・・・・」

あ、あれ?
イルファさん?
自分なりにボケてみたんですが、無反応ですか?

「えっと・・・
イルファさん?」

「・・・・・・」

えっと・・・(汗
ま、まさか、もしかして故障!?
突然のトラブル!?
と、とにかく救急車!!
じゃなくて、サポートセンター!!
いや、珊瑚ちゃんに連絡を!!

ほ・・・

「えっ?」

一人パニクっている間にイルファさんが反応があった。
とても小さな声だったから、近づいて顔を見るとそこには・・・

「ほん・・・とう・・・に、た・・たかあきさ・・・んは、優し・・・すぎ・・・ます・・・
わ、私た・・・ち、姉妹は、貴明・・・さんに出会え・・・て、ほん・・・とう・・・に幸せです!!」

涙は流せないが、泣き笑いでクシャクシャでも嬉しさと喜びが満ち溢れていた。
俺は完全にそんなイルファさんの表情に見惚れてしまった。
その間にイルファさんの両手が首に回され・・・

「ん・・・」

「っ!!」

抱きつくようにキスをされた・・・
初めてのキスは、暖かくイルファさんの気持ちが流れてくるような優しいモノだった・・・

 

それからお互いに赤いまま落ち着こうとして10分後、
改めてお弁当を頂きながら(落としてしまったが何とか無事だった)、当然の疑問をする。

「イルファさん、どうしてキ・・・キスなんてしたんですか?」

「内容自体はシルファちゃんの事ですが、私たちにも当てはまる考えた途端、
嬉しくて感極まってしまって・・・
そうしたら貴明さんの顔が近くになるじゃないですか?
身体が勝手に動いていたんです。
・・・貴明さんはご迷惑でしたか?」

「い、いえ、迷惑というか、なんていうか・・・
俺だって嬉しくないはずが・・・
いや、この事が他の皆にバレたら・・・
タ、タマ姉に殺される・・・」(汗

その時の想像をすると、震えが止まらない。
アイアンクローなんて優しく感じるくらいのオシオキが待ってるはず・・・(怯

「安心してください。
さすがに私も軽く言うつもりはありませんから」

「ほ、本当!?
約束ですよ、イルファさん!」

「はい、お約束します。
2人だけの秘密・・・ですね 」

よ、よかったぁ・・・
これで命は助かる。
あっと、それはそうとしてシルファちゃんの話しだっけ。

「それで、シルファちゃんの事なんですが・・・」

「もう充分です。
まだまだ発展途上ですし、貴明さんが満足していたらそれで結構です」

「そうなんですか?」

でも、それではイルファさんが考えてる成長は遅くなってしまうんじゃ?

「はい。
シルファちゃんも態度こそアレですが、『河野貴明専属メイドロボ』と心に決めています。
今更、他の人を『ご主人様』になんて認めるはずがありません。
よほどのことがない限り、貴明さんがシルファちゃんの最初で最後の『ご主人様』です。
ですから、貴明さんが良いのなら何も言いません」

『まだ指導や注意などはしますけど』と、一言付け加えたイルファさん。
こっちはまた顔が赤くなるのを自覚しながら、お弁当が食べ終わりお茶を飲み干す。

「ご馳走様でした」

「お粗末さまです」

結局、最初しか味を感じなかった。
真面目な話しから何故かキスして、照れるというか恥ずかしい会話でなんて無理だけど・・・

「ふあ・・・」

「あら、眠たくなってきましたか?」

「ええ、ちょっと・・・」

夏に入る前、梅雨の日々での晴れ日。
落ち付いてくると満腹感を感じ、ウトウトと眠気も出てきた。
ちょっと、顔でも洗って来るか。

「貴明さん、どうぞ」

「イルファさん?」

どうぞと言われても・・・
濡れタオルでも渡してくれるのかなと思っても、イルファさんの手は正座した膝の上に置いたまま。
???

「どうぞ・・・って、何を?」

「それはですね・・・
ちょっと失礼します」

スッとイルファさんが俺を横倒しにし、頭はポスッと膝の上に乗せられる。
これって、膝枕!?

「イ、イルファさん!
こんなことしなくて結構ですから!
眠気なんてもうありませんから!」

慌てて退こうとするが、その前にイルファさんの手に眼が隠された。
視界がないなか、優しい声が聞こえた。

「私がしてあげたいから・・・ではダメですか?」

声だけでなく頭も優しく撫でられる。
正直言って、かなり気持ち良い。

「でも・・・」

「いいんですよ。
貴明さんも、色々な苦労や悩み事もあるのは知ってます。
皆さんの想いや今の関係に悩まないはずがありません」

「はい・・・」

「今は何も考えず、お休みください」

抵抗なんて今では出来るわけがなく、そのまま寝てしまうだろう。
でも、その前にこれだけ言っておきたい。

「・・・イルファさん」

「はい?」

「・・・後悔していませんよ。
俺は、皆が本当に笑ってほしかっただけなんです。
助けたかったんです。
ただ、それだけ・・・です」

もう・・・限界・・・
お休みなさい、イルファさん・・・

 

「眠ってしまったんですね・・・」

「そんな貴明さんだから皆さんも・・・私も大好きなんです。
愛しています。
だから・・・」

「後、もう一度だけ許してください・・・ね」

 

ちゅっ♪

 

 

結局夕焼けまで寝てしまい、イルファさんに謝り(妙にニコニコしていたが)ウチに戻った。
夕食も美味しく頂き、風呂も済ませ(予想通りイルファさんも一緒に入るとお願いされたが断った)
後は寝るだけとなったが、昼寝をしてしまったため眼が覚めている。
暇つぶしにインターネットで適当に情報を読んでいた。
そんな時・・・

 

コンコン

 

「貴明さん、まだ起きているのですか?」

「イルファさん?」

ドアのノックと共に、イルファさんの声がした。
こんな夜中に・・・
どうしたんだろうか?

「ご迷惑でなければ、入ってもよろしいですか?」

「いいですよ、こっちも暇つぶしだったから」

パソコンの電源を落とす間に、イルファさんも入ってくる。

「どうしたの、イルファさん?
何か困ったことでも?」

「い、いえ・・・
貴明さんはお休みにならないんですか?」

ちょっとソワソワしているイルファさん。
それを不思議に思いながらも、話しを続ける。

「お昼にちょっと寝ちゃったじゃないですか。
そのおかげで眠気が・・・」

「そ、そうですか。
でも、もうそろそろ眠らないと明日がお休みでも辛いですよ」

「分かってますよ。
そろそろやめようかと思ってましたし」

深夜と言ってもいい時間だし、これ以上は本当に明日が辛い。
また、昼寝するわけにはいかないし(汗

「あ、あの・・・
貴明さん少しお願いがあるのですが・・・」

「お願い?」

手をモジモジさせて上目遣いに見上げてのお願い。
反則ですよ、イルファさん(困

「はい・・・
じ、実は・・・」

「実は・・・?」

なんだろうか?
余程じゃなければ引き受けるけど・・・

「一緒に寝てくださいませんか!?」

「えぇぇぇー!!」

その余程が来ましたよ(汗

「あ、いえ・・・
さすがに同じベットというのは、貴明さんが認めないと分かっていますので・・・」

ドアを開けると、布団一式を運んできた。

「同じ部屋というわけでして・・・ダメですか?」

再度、上目遣い・・・
もちろんダメなんだけど・・・
こ、断りにくい。

「貴明さん・・・」

「ぐっ・・・」

段々近づいて来るイルファさんに、後ずさる俺。

「貴明さん」

「ちょっ・・・」

ズズイと寄るイルファさん、すぐに壁にぶつかる俺。

「貴明さん」

「イルファさん・・・」

「貴明さん」

「イル・・・」

「貴明さん」

「イ・・・」

「貴明さん」

「・・・・・・」

「貴明さん」

「・・・・・・わかりました」

「はい☆」

この強引さがイルファさんなんだよな。
もしかしたら瑠璃ちゃんも同じ手で強行しているんじゃ・・・

 

「それではお休みなさい、貴明さん」

「お、お休みなさい」

イルファさんはメイドロボとはいえ、女の子だから説得の上ベッドを使ってもらった。
ベッドを使わないと認めませんといえば、引き下がってくれた(これで断ってくれればよかったんだが)

「充電中は基本的には対応出来ませんが、緊急時には目覚めるようになっています。
何かご用件があれば、起こしてください」

「分かりました」

メイドロボは寝るという行動はないが、充電しなくてはいけないのでいつもこの時間にしているらしい。
相槌を打つけど、そんなことはしないつもりだ。
そこまでのトラブルなんて早々あるわけがない。

「貴明さん」

「はい?」

イルファさんはもうスイッチ1つでスリープモードになるのだろう。
指先をその上に乗せながら、微笑む。

「今日はありがとうございました。
本当に楽しかったですし、貴明さんの気持ちも少しは感じることができました。
私も改めてこの想いも理解できました。
これからも末永くお願いします。
・・・愛しています、貴明さん」

「っ!!」

俺が驚く間に、イルファさんはスリープモードになってしまった。

「は、はは・・・」

反則だよ・・・
本当に反則だよ、イルファさん・・・
明日、どんな顔で見ればいいんだよ・・・
今夜は眠れそうもないよ・・・

 

俺もまだ誰とは選べないけど、イルファさんのことは好きだよ・・・

 

 

おまけ

 

イルファさんの告白で眠れるはずがなく、唸っている時に『それ』はおきた。
そう、イルファさんが起こされるほどの『トラブル』が・・・

 

ピンポンピンポンピンポン!!

ドンドンドンドンドンドンドン!!

 

「な、何だ何だ!?」

イキナリの襲来(しかも深夜)に跳ね起きる。

「おねえちゃーん!!
言われたノルマ、やってきたわよー!!
ほら、ちゃんと持ってきたし!!
これで明日はあたしが、貴明のお世話してもいいんでしょー!!
あ〜け〜て〜よ〜!!」

ミ、ミルファちゃん!?

「な、何事ですか!?」

センサーに反応したのか、イルファさんも再起動。
キョロキョロと左右を首が行ったり来たり。

「居留守なんてしなくてもいるのは分かっているんだからね!!
あっ!!
もしかしたらお姉ちゃん、貴明を『食べちゃったの』!!
そんなのダメダメダメ!!
それはあたしの役目なんだからー!!」

「なんてことを言ってるんですか、あなたはー!!」

状況の理解の前に、今の言葉に反応し玄関へ一直線。
微妙にドアが歪んでいる気がしないでもない(汗
下では2人の言い合いが続いているのは、聞こえてくる声(怒声)で分かっている。
とりあえず、2人とも妙なことを口走らないでください。
ご近所様に聞こえて迷惑するし、俺の名誉の為に止めてください(泣

 

 

第3話へ続く

 


というわけで、イルファさんです。
昔みたいに(雪之丞SS)みたいに上手く書けません(汗
やはりブランクを感じます・・・
貴明視点なのに状況説明の第三者的に近くなってしまいました。
これで気に入ったキャラでなければ、挫折していたかもしれません(気弱
内容ですが、イルファメインの筈なのに会話の内容がシルファばかりでした・・・
私は2人の会話のネタがシルファか瑠璃しか思い浮かばなく、こうなりました。
本当はメイドロボ云々でのイルファの泣き笑いにはちょっと反感があるかもしれません。
彼女なら逆に、貴明を包み込むような対応(お姉さんっぽく)する方がしっくり来るかもしれません。
そこはあえて、ギャップを感じるようにしたので受け入れてくれれば幸いです。
次回は、このSSで次の日でミルファです。
彼女も色々頑張ります。
seinoさん、続きを希望していただきありがとうございました!
では・・・
追伸:このSSでは貴明は鈍感でもヘタレにはしません、絶対に。