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文章まにあ
★ 男と女の事件簿 ★ |
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料理 後編 |
「ふぅ、結構いっぱい買ったね」
「いや、明らかに買い過ぎだね。普通夕飯の買い物で一万も使わないし」
「そうだよね。わたしもそう思ってたんだ。なんで一万円も使っちゃったんだろ」
「ま、米も買ったし、調味料から揃えたからね」
「はい、わたしの部屋に到着〜。どう、結構キレイにしてるでしょ?」
「そうだね。きれい好きなんだ」
「うふふ、きょうはけいすけ呼ぼうと思ってきのうから掃除しておいたんだ」
「へぇ、そうなんだ。じゃ、早速メシにしよ。腹減ったし」
「うわ、流された。けいすけって結構ヒドイよね」
「はいはい」
「じゃあ、どうしよっか? なにから作るの?」
「……あのさ、本当に料理作れる? 大丈夫?」
「大丈夫だって、任しといてよ。サクサクっと作っちゃうから」
「僕としましてはかなり心配なのですが」
「じゃあさ、一緒に作ればいいじゃん。二人でやったほうが楽しいし」
「……ま、いいけどね。でも言っておくけど、オレはそんなに料理できないよ」
「大丈夫、大丈夫、何とかなるって。それじゃ、なにからやるの?」
「まずはとりあえず、ご飯炊かないと。時間掛かるし」
「オッケー」
「オッケーって…、炊飯器どこ? あるんだよね?」
「あるってば、ちょっと待ってて」
「……」
「ほら、これでしょ。『電気炊飯器』って書いてあるし」
「…箱のカドに包装紙がついてる…。本当に買ったままなんだ」
「そうだよ。一人暮らし始めたときママがくれてそのまんま」
「ま、いいよ。だんだん慣れてきた。とりあえず、中の釜出して」
「慣れてきたって何に?」
「いや、別に気にしないでいいから。炊飯器の釜出してよ、米研ぐから」
「あ、いいよいいよ。それ、わたしがやるから」
「……」
「う〜ん、お米はとりあえず満タン入れて…」
「ちょっと待て、そんなに食えないよ」
「大丈夫だって、明日の朝も食べるんだし」
「……」
「あ、この線まででいいんだ。それで次はこの上の線まで水を入れて…」
「ちょっと待て、米研がなきゃダメだよ」
「えっ? 研ぐって? …ああ、お米を洗うヤツね」
「……ニュアンスとしては間違ってないけど……」
「それもわたしがやっておくから、けいすけはさ、他の準備しておいてよ」
「…了解。じゃ、オレはとりあえずさっき買ってきたものを冷蔵庫にぶち込んでおくよ」
「負けないで♪ もう少し♪」
「ははは、なに歌ってんの」
「だってそんな感じなんだもん」
「それにしてもさ」
「なに?」
「冷蔵庫の中にリプトンのレモンティー、しかも飲みかけしか入ってないのもどうかと思うよ」
「ちょっと、またわたしのこと馬鹿にしたでしょ」
「してない、してない。事実を言っただけだよ」
「まぁ、いいけど」
「よし、冷蔵庫にぶち込み完了。そっちはどう?」
「まだもうちょっとかなぁ」
「研ぐだけなのに、結構時間掛かってるね」
「なかなかきれいにならなくて」
「どれどれ」
「ほら、もう少しでしょ」
「少しくらい白く濁ってるほうがいいんだよ、って、えっ!?」
「なに? どうしたの? 大声出して」
「…………………………」
「なに? なんで? わたし何かした?」
「……あのさ、どうして……」
「どうして?」
「どうして、米が泡立ってんの?」
以降、ダイジェスト
「ああぁ、みそ汁はだしとらなきゃダメだって」
「ああぁ、具も入れてないのに、しかもダイレクトでみそ入れちゃダメだって」
「ああぁ、キャベツの横から包丁入れちゃダメだって」
「ああぁ、そんなんじゃ指切れちゃうって」
「ああぁ、それだと卵焼きじゃなくて目玉焼きになっちゃうって」
「もうアジのことはあきらめよう」
ダイジェスト終了
「ふぅ、やっと出来たね」
「なんか新しい発見がいっぱいあって面白かったよ」
「あ、またわたしのこと馬鹿にしたでしょ」
「してない、してない。でもさ、あれはマジで焦ったっていうか笑ったね」
「なにが?」
「米に洗剤、しかも台所用」
「も〜、そればっかり言わないでよ」
「くくく、悪い悪い。でもさ、米が泡吹いてんの生まれて初めてみたし」
「だってしょうがないじゃん、洗うんなら洗剤かなって思ったんだから」
「ま、面白かったからいいよ。じゃ、メシ食おっか、ご飯も炊けてるだろうし」
「そだね」
「…………………………」
「けいすけ、どうしたの?」
「……あのさ、さっき泡吹いた米捨てて、オレが研いだ米を渡したよね」
「うん、ちゃんと炊飯器に入れておいたよ」
「そのあと、どうした?」
「えっ? そのまま入れただけだけど…」
「保温のままじゃねぇか」
このあと、ご飯が炊けるまで彼女を炊いときました。 −おわり−
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けぇずまにあ |