【1度目は偶然】(徳リョ)…実はオフで続きありの話(笑) P8
 


「お前、徳川だっけ?コイツの相手してくれて、アリガトさん。俺達はそろそろ帰るから、失礼するぜ。」
「あ…いえ。俺の方こそ楽しかったですから。」
 そう答えながらも、徳川の胸には残念な気持ちが拭えなかった。本来、ココにはこの男に会うために来たはずなのに、その彼の登場を、今、とても残念だと思っている。

 下に降ろされ、先に歩く父に続いて足を踏み出した子供の小さな背中を、徳川は見るともなしに眺めていた。
(たまたま出会っただけなのに…なんて強烈な印象なんだろう)
 寂しいという気持ちが自分の中を満たしていることに気付いて、徳川は苦笑した。

 余り他人に執着しない自分を知っているだけに、我ながら驚きだ。
さっきまで見ていた小憎らしい少年の顔が、頭から離れないのだから。
(・・・でもまさか、父親から奪うわけにもいかないしな)
 年の割にはしっかりした子だが、どこからどう見ても、まだ保護者の必要な年代だ。
見ず知らずに近い自分に、預けろなんてとても言えない。
 ふぅと、無自覚に諦めの溜息をついたとき、前を行く少年が振り返り、柔らかそうな黒髪がふわりと宙を舞った。

「ねぇ、徳川さん。」
「え?」
「また、ココに来る?」
「え……あ、ああ。」
「ふーん。じゃあ・・・」
 ここで絶妙な間を取って、少年は徳川に視線を流した。
子供とは思えない艶を放ちながら、でも、子供の無邪気さも失ってはいないそれは、とても不思議な眼差しだった。
 魅惑的なその姿に、徳川は不覚にも視線が釘付けになって言葉を失う。
「またね。」
 ニッと無邪気に笑ってから、少年はくるりと背中を向けて、前を行く父に駆け寄った。
 『いつ』とも言わずに、ただ『またね』だけ。
 つまりそれは、少年が又、ココに来る意志があるということ。
そして、同時に『自分に会いたければ、ココに通え』ということなのだ。

「まいったな…」
 徳川は呟いて、クククッと一人、笑い始めた。
 悔しいけど、その言葉通りにするだろう自分に、気付いていたから。

 だって、会いたいのだ。もう1度とは言わず、何度でも会いたい。
 本当なら、この腕に攫ってしまいたいほど、あんな幼い子供に惹かれている。


『おいおい、徳川。どうしたんだ、一体』
『あの子は最後に何て言ったんだ?』
『自分だけ分かってないで、俺達にも教えてくれよ』
 突然、笑い出した徳川を、周りにたむろっていた者たちは訝しんだ。
 終始、自分たちには分からない言語で話をされて、蚊帳の外にやられたのが面白くないのだ。
『・・・それはもちろん…』
 たっぷりタメを取って、返事を渋る徳川にズズイと男達は顔を寄せる。
『『『もちろん?』』』
『ナイショです。』
 クスッと小さな笑い声を洩らして、魅力的な笑みを浮かべながら人差し指を唇に当てながら徳川は答えた。
 群がる女性達をうっとりと虜にしてしまうような微笑みだが、彼らには嬉しくない。
ましてや、返された返事は、もっともっと嬉しくない。

『まったく…君は食えない奴だな』
『ズルイぞ、徳川』
『秘密主義反対だ!』
『どうとでも。・・・それが僕の売りのひとつですからね。』
 ワーワーと文句をいうライバル達に、もう1度、ミステリアスで素敵と評判の笑顔を向けた。

『馬鹿者!!秘密主義が魅力になるのは、イイ女だけだ!』
『そうかなぁ』
『『そうだ!だから教えろ』』
一体何が「だから」なのか。
『でも、あの子もミステリアスでしたよね。』
『うっ』
『でもって、そこがイイ感じなんですよねー。そう思いませんでした?』
『ううっ』
『…じゃ、そーいう事で。・・・お先です。』
 言葉に詰まるライバル達を尻目に、徳川は楽しげな笑顔でヒラヒラと手を振ると、越前親子に続いて帰途についた。


 後ろではまだ、『なるほど、彼の息子だったのか…』と選手達がリョーマについて騒いでいたが、徳川にとってはどうでもいいことだった。
 彼にとって重要なのは、『リョーマが越前南次郎の息子である』ということでなく、『越前リョーマと出会えたこと』だから。

「また逢おう。必ず…」
 徳川は、先程見た小さな後ろ姿がまるで目の前にあるかのような視線を前方に向け、心に誓うようにそっと一言、呟いていた。

end     

我が道で行く!とは正にこのこと。でもでも、何と言われても私はこのカップリングが1番好きーッ!
徳川さんはリョーマにはめっちゃ甘くて、でも結構、強気って感じする。狙ってるからねってニッコリ笑顔で言いそう…ってゆーか・・・(笑)
そんなワケで(どんなワケや)、徳リョな同志を超希望!誰か私を徳リョを語りあいましょーッ!(>_<)


>> NEXT SESSION 2度目は必然 ----> 続編があるんですが…SORRY! BOOKS ONLY

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