【幸せな夜、お寝坊な朝】 P9 涼X拓! 涼子姉ちゃん、6000Hitアリガトウです!
( SCENE 3 お寝坊な朝 )
───早朝。
「…んっ……ん〜…」
いつものクセだろうか?
まだ外は真っ暗なのに、拓海の意識は眠りの淵からゆっくりと浮きあがってしまった。
・・・んー?あれ?・・・何かすっげー暖かいかも・・・
拓海は何だかやけに暖かいモノが近くにあるな〜と、もぞもぞと身を寄せた。自分の布団はこんなに暖かかったかなぁなどとぼんやり思いつつ、ゆっくりと瞳を開く。
・・・あれ?涼介さんだ・・・・
瞼を開いてすぐ目に入った整った顔にぼんやりしつつ微笑むと、拓海はスリッと身を寄せた。涼介の腕の中でくるりと丸まってもう1度眠りの淵へと沈もうとしたが・・・。
・・・・ええっ?!・・・り、涼介さん?な、何で?!
何でも何も、昨夜は一緒だったのだが寝起きの拓海はかなり呆けててそんな事は覚えていない。
直に触れ合う人肌の温もりに、裸のまま涼介の腕の中で眠っていたことに気づき、拓海は1人頬を染めた。とにかく、ベッドサイドに落ちてしまっているだろうガウンを拾おうとガサゴソ動き出す。もちろん、涼介を起こさないよう、そうっと───。
だが拓海のそんな気遣いも水の泡で、涼介は目覚めてしまった。拓海と違いボーッとする事なく覚醒すると、ベッドサイドに寄ってしまっている拓海の腰に腕を廻して強い力で自分の腕の中へ引き戻す。
「わぁっ!」
「おはよう、拓海。…どうした?早いな?」
今日はゆっくり出来るんだろ?と拓海の髪に顔を埋めながら小声で尋ねる。
「あ…お、おはようございます。いつものクセかな?目が覚めちゃって…。」
「…で?俺を置いてどこかに行こうとしたのか?」
そんなハズないと解っていて、涼介はクスクス笑いながらからかうように言った。
予告通り昨夜しっかり刻んだ拓海の首筋に残る痕に唇を寄せ、許さないよという意思表示も忘れない。
「んっ!…や…あの、そーじゃなくて、その…ガウン拾おうと思って。…ゴメンなさい。涼介さんまで起こしちゃいましたね、俺。」
「どうして?寒いのか?」
ペロリと、また別の痕を軽く嘗めると涼介は顔を離して拓海と向かい合った。
「あっ!〜〜ん、もう!」
なんて事すんですかっと言いたげに少し唇を尖らせる拓海にクスクス笑って、もう1度涼介は尋ねた。もちろん、可愛く突き出た唇には小さなキスを1つ落としてから。
「寒いのか?」
「え?!…や…そうじゃないけど……だって……オレ、裸だから。…その、…恥ずかしいなーって……」
真っ赤になりながら、拓海はしどろもどろ答える。目をそらしながら、首を傾げるその姿がホントに可愛い。
「裸じゃイヤ?」
柔らかな声で耳元に囁かれた涼介のセリフに何処か聞き覚えがあって、すぐ思い出した拓海は思わず口に出してしまった。
「……『ママ〜、裸じゃイヤ〜』」
もちろん、TVCMの女の子の真似なので、超可愛い声で。拓海もなかなか演技が上手いようである。
「…た、拓海?」
一瞬間をおいて、涼介は戸惑ったように拓海の名を呼んだ。
一体、自分の目の前で今、何が起こっているのだろう?…という顔だ。
その涼介の顔が可笑しかったのか、それともそんな昔のCMを思い出した自分が可笑しかったのかは不明だが、今度は拓海がからかうようにクスクス笑いながら、涼介を見上げていた。
・・・こんな場所でそんな可愛い顔されても困るんだけどな…。
思わず拓海の笑顔に見とれた自分に苦笑して、涼介は己の表情をいつもの涼やかなモノに戻した。
「…すいません。今の涼介さんのセリフ、昔見てたCMに似てて…なんか可笑しくなったから…。」
「今の…って、裸じゃイヤ…ってヤツが?何のCMなんだ?」
実は知っているけど、笑われるばかりではシャクなので、涼介はわざと訊いてみた。
もちろん、そんな涼介の思惑など知らない拓海は無邪気に答える。
「えーと、確かおにぎり海苔だったかなぁ?小さい女の子がおにぎり持ってて『ママ、裸じゃイヤ〜』って言うんです。知りませんか?」
「俺は余りTVは見ないからよく覚えていないな。…で、その後どうなるんだ?」
よくもこれだけスラスラ嘘が付けるモノだと自分で思いながら、涼介は再度聞いてみた。
CMのセリフの続きを拓海に言わせるために。その後、自分の言いたいセリフを言うために。
───そして、…もう1度、拓海をきちっと抱きしめる為に…。
「え?」
「女の子が裸じゃイヤ〜って言った後は?…どうなるんだ?」
でも、結局涼介は我慢しきれなくて言葉を促すフリをしながら、ちゅっと小さく口づけてしまう。拓海に出会ってから、自分は本当にスキンシップが好きになった。但し、相手はもちろん拓海に限られるモノであったが。
「んっ…あ、…えっと、お母さんが海苔でおにぎりを包んであげて、その子が喜ぶんです……って、えっ!うわっ!」
降ってくる小さなキスを受け止めつつ、懸命にCMの続きを思い出して答えていた拓海は、イキナリ涼介の腕に抱き込まれて大きな目を丸くさせて驚いた。
「り…涼介さん?!」
「…じゃ、拓海は俺が包んでやるよ。」
嬉しそうに微笑いながら甘い声でそう言われて、拓海はカァッと真っ赤になった。
この反応が新鮮で、可愛くて。───涼介は大好きなのだ。
ぎゅっとそのまま、本当に腕の中に拓海を包んでしまう。
「涼介さんっ!」
朝から何する気だーっと言いたいのだがパクパクするだけで声にならない拓海に、涼介はクスクス笑った。
「しっ…。何もしないよ。もう少し、このままで拓海が眠ってくれるなら。」
人差し指をスッと拓海の唇に付けて、目で笑んで黙らせる。
もうっ!というカンジでむーっと突き出されたその唇には、また軽いキスを落として。
涼介はまんまと拓海を手に入れると、湯たんぽのように暖かい身体を抱きしめて、もう1度眠りの体制に入った。
「涼介さん、眠いんですか?」
「ああ、眠いな。…拓海の身体は暖かくて、余計に眠くなった。」
くすっと小さく微笑いながらそんな事を言って、涼介は拓海の顔を覗き込んだ。その視線が、拓海は?と訊いている。
「もう!すぐそう言う事、言うし…。でも、涼介さんもあったかいですよ?」
赤い顔を隠すように涼介の腕の中に潜りこんで、小さく拓海は呟いた。
腕を涼介の背中に廻して、一生懸命抱きついている。
そんな拓海の顔を、いとも簡単に上げさせて、涼介は拓海を見つめた。
拓海にだけ見せる、優しい瞳で。───愛しさが、溢れるような瞳で。
その瞳に答えるように小さく笑むと、拓海は今度は自分からキスを贈った。
それは、羽根のように柔らかく、果実のように甘いキス。
拓海のキスに満足したように微笑んでから、涼介は拓海の眉間にキスを返した。
「じゃ、もう少し眠って。もちろん、俺の腕の中で…。」
言いながら何度も降り注ぐ唇に、拓海の瞼は魔法をかけられたようにとろんと閉じる。そして眠りに落ちる瞬間、そっと一言、呟いた。
「…んっ…りょ…すけさ、……大好き…」
無意識に微笑みながらそう言って、すぅっと眠りに落ちた拓海に涼介は苦笑した。
「まいったな…。これじゃ、俺が眠れなくなってしまう。」
拓海のたった一言に、こんなにヤラれる自分がちょっと情けないけれど。だけど、とにかく幸せで・・・。
涼介はもう1度拓海をしっかり抱き込むと、その柔らかな髪に顔を埋めて「おやすみ」と囁いた。
こんな幸せな朝は、ほんの少しだけお寝坊したい。
───今日の2人の時間は、まだ十分あるのだから。
End.
らぶちゅーな2人・・・って、ドコにキスしてんだ兄!と思ったソコの貴女。
───お気持ちはよっく解ります。ハイ。(-_-;)
よくやらせた、ちむ!と思ったソコの貴女。
───来年もヨロシクお願いします(笑)
THANKS!6000Hit 涼子姉ちゃん、リクエストありがとうございました。
→ こんなモノでイイですか?切ない〜のその後の甘々の2人って(^_^;)
PS. 切ない〜って何?と思われた、ソコの貴女!
裏ページへの入り口を探してみて下さい。(^ー^)
さて、そろそろマジで本の書き下ろしを書きたいと思います。
皆様にとって来年も良い年で有りますように!
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