【勝敗の行方】 P7 (兄弟×拓)→なつきVS高橋兄弟…別名、ちむのリベンジ(笑)
                      1700+1800Hit 雲丹さんリクエスト分

 しばらくして、食事が運ばれてきた。
さすがに盛りつけも量も完璧である。この辺にも店の気配りが伺えるようだ。
 ファミレスなので、味はそこそこという所だが、お腹を空かせていた5人はあっさりと平らげ、なかなかに楽しいお食事タイムを過ごしていた。

 ふいに辺りから視線を感じて、なつきはキョロキョロと辺りを見回した。
知らない内に、廻りにもたくさんのお客が入っている。ほとんど女性ばかり。
しかも、なにやら自分達の様子を伺っているようにも見える。
「?」
 男から注目されることはあっても、なつきは女性の視線を集めた経験はない。
・・・あ、そっか。カッコイイもんね、この人たち。
なつきには、目の前に座る2人のイイ男がその視線の原因だと納得した。
 ・・・ま、拓海くんはカッコイイけどあんまり目立つタイプじゃないし、なつきには関係ないけど・・・この子はどうなのかな?
なつきはちらりと隣の緒美に目線を移した。
 緒美は前の3人を見ながらニコニコと楽しそうにしていて、周りの視線は気にしてない様子だ。と、いう事は、緒美の狙いは兄弟ではなく、やはり拓海なのだろう。

・・・なつき、負けないんだから・・・
気持ちを新たに、ぐっとテーブルの下で拳を握るなつきの耳に、
「どーしたんだ?」
不意に啓介の声が届いた。
 自分に問いかけられたのかと、思わず顔を上げたなつきだったが、どうやらそうではないらしい。
啓介が、拓海に話しかけているのが目に入った。

 自然と、その場の目が拓海に集中する。
拓海は口をもごもごさせながら、ぶんぶんと首を横に振った。
「?・・何だよ、足りねぇなら、追加頼むか?」
 啓介が不思議そうにそう尋ねると、また拓海はぶんぶんと顔を振る。
どうやら違うらしい。
「あー?んじゃ、何で口もごもごさせてんだヨ?」
 啓介にそう言われて、拓海はうっと言葉に詰まった。
不信に思った啓介が、くいっと拓海の顎を摘んで顔を上げさせる。

・・・ちょっとちょっとー、何やってんのよー。拓海くんはなつきのなんだからネ!
気安く触んないでよ!

 そんななつきの心の叫びなど、素知らぬ振りで、啓介はじーっと拓海の口元を凝視した。
 開けてみ・・と促されて、拓海は渋々、口を開いた。
なめらかな拓海の舌の上には、赤い小さな棒が乗っている。拓海が食べてたマンゴープリンに乗っていたチェリーの枝である。

「・・・お前、コレは食えねぇだろーが。」
 呆れて啓介がそう言うと、
「・・・ちがっ・・・その、ヒマだったから・・・試してただけっす。」
 慌てて拓海が赤い顔でそう弁解した。
「試す?」
 その場の拓海以外の4人がハモって、拓海に問いかけた。
「前、これを口で結べたら・・・その・・・キスが上手いんだって聞いたことあったから。」
ヒマだし、何となく試してみようかな〜と思って・・・
 拓海は、真っ赤になりながら小さな声でそう答えた。

 実は、以前そんな事を拓海に吹き込んだのはなつきである。
・・・拓海くん、・・・私のために (ちがうよ、あんた)
なつきは全く聞いてないと思っていた拓海が自分の言葉を覚えていてくれた事が嬉しくて、夢見心地になっていた。

ーーーでも、それも、ココまでであった。
夢見る時間というものは、いつでも早く過ぎるモノであろう。

「・・・ふーん。どれ。」
啓介はそう言うと、ひょいっと拓海の舌の上にある枝を自分のそれで奪ってしまった。
端から見ると、まるでディープなキスのようだ。
 周りからかすかな歓喜の声が聞こえるが、それはこの際、無視する事とする。

!・・・ちょっと・・・今。何したの!!今っ!

 なつきは、真っ白というより真っ青な顔になった。
今、一瞬、自分の目の前で何が起こったのだろうか?
判ったけど、判りたくない。
・・・まさか、拓海くんに限って!まさか・・・

 そんな茫然自失のなつきを見て、緒美は冷静な判断を下していた。

・・・やっぱりね。
この拓ちゃんを彼女に見せつける事が目的だったのね、涼兄も啓兄も大人気ないんだからなー。まぁ、知ってたけどね〜、緒美は。

 また、ちらりと緒美はなつきの顔を見て、ニッと誰にも判らない程度に笑みを浮かべた。

・・・んー、まぁ、後もう一押しってトコかな〜?今度は涼兄の出番だネ〜。

 啓介は簡単に口で枝を結んで、舌を出した。
「何だ。簡単じゃねーか。オレって上手い?」
 からかうように、拓海の耳元で囁いて笑いかける。
途端に拓海は真っ赤になった。

 ・・・何故?!何故そこで赤くなるの?!拓海くん!!

 そんな拓海の隣でフッと笑って、涼介は自分のサラダに付いてたチェリーを拓海の口元に掲げた。当然のように、拓海はそれをぱくりと口にする。
 まるで、親鳥から餌をもらうヒナのようである。
ここでも歓声が上がったことは、この際、無視しよう。
 その光景を目の当たりにして、なつきの中で、何かがガラガラと音を立てて崩れた。

 いい子だ、と目で微笑んで見せて、涼介もその枝を口に含んだ。
そして、すぐに結んだ枝を取り出してみせる。
「ホントに簡単だな。」
涼介はクスリと笑って、拓海の耳元に顔を寄せて
「オレも上手いか?」
と甘い声で囁いた。

拓海は耳まで真っ赤になって、
「か・・・からかわないで下さいっ!」
大声にならないように気遣いながら、小さな声で叫んだ。
 拗ねる拓海に、「ゴメンゴメン」と軽く謝る2人の姿を見つめながら
「・・・」
なつきはもう声も出ない様子である。
あきらかに顔面蒼白になっていて、何処か体の具合でも悪いのではないかという程だ。

───この勝負……涼兄たちの完全勝利ってトコかな〜?……ま、予想通りだけど。
 ちゅるるっとストローで自分のミックスジュースを吸い上げると、そう心で呟く緒美であった。

End.

雲丹さん、こんなもんでどないでしょ? がんばったつもりなんだけど……
実はこないだマンゴープリン食って思いついたネタ(笑)←んなこと考えながら食うなっ
枝は結んでないけどネ。 ←これは、昔々見た少女漫画のパクリ!(笑)
・・・ちなみに、今後原作で緒美が出てきても気にしないのはいつものお約束という
コトでヨロシク!!(だって私が書くと別人になるんだモン〜)

雲丹さん、リクエスト有り難うございました!(^-^)

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