Modify the Nakamichi DAC-101 (D-A Converter
Unit)
Introduction
中古で入手してからもう既に7年ほど経つこのDA変換ユニットですが、当初はMcIntosh MX4000と組み合わせて使用し、次にNakamichi
CDC-101(CD Changer)との組み合わせて使用していました、しかし6年前に車を乗り換えて以来ずっと愛車に搭載する構想はあったものの、押入れの奥で眠ったままの状態で一時はオークション行きの危機に面しながら幾度もの危機を?乗り越え21世紀の今また再登場することになりました。
ごく最近カーオーディオに興味を持った方々は御存じないと思うので、DAC-101の特徴を簡単に説明すると。 ナカミチ社がバブル絶頂期にリリースした外付けのDAコンバーターユニットでして、音質にこだわる同社ならではの仕様のため入力は同軸のみ、DAコンバーターには2ch構成のPhilips社製TDA-1541A
S1バージョンのシングルクラウン(特別選別品)を差動使いで片チャンネル1個づつ独立使用するという回路的にも贅沢なもの。 近年の24bit
192kHz対応のDACデバイスが数百円で買える時代になってもなお根強いファンが多いこの石は、数ある4倍オーバーサンプリングマルチビットDACの中でも、その音楽性、希少性とともに逸品と呼ばれており歴史的にみても、普通ならもう博物館入りしてもよい時期と判断されるデバイスであるといえよう(笑)
Prologue
CDの登場以来、月日が経つあいだにも少しづつ改良がされながら製造され続けたPhilips社のデバイスではあったが、流石に時代の変化と技術革新の波には勝てず数年前ついにディスコンとなってしまいました。
下の画像は全盛期に最高峰とされたS1バージョンのダブルクラウンのTDA1541A
生産終了後にもう入手不可能と言われていたS2バージョンのデバイスを世界中からかき集めて選別を行った、まさに超レアな特別選別品のダブルクラウン版を中古とはいえ入手することができました。 これはもうDAC-101の基板上のTDA1541A
S1と交換して搭載しないとバチが当たりそう(笑)
Modification
いろいろ改造するポイントはありますが、まずはデバイスの交換から始めます、今回は貴重なデバイスに敬意を払ってドイツWBT社の銀入りハンダを使用してハンダ付けしました。 ちなみにコレ、たった42gで1,600円もします...
Sn-Agハンダは融点が少し高めなので、使用するコテは熱容量が大きめのものがベターです。
製造から相当の年月が経っているので、次にカップリングのコンデンサーの交換です、DACの傾向を考慮し以前に比較視聴したときにズバ抜けて太い低音が魅力的だったフィリップス製のコンデンサーに交換しました、回路的に殆ど電位差が無い場所なのですが微妙なオフセツト電圧の誤差などのために基板の表示と電位差の向きが一致しない箇所があるので、交換にトライする方は実機で測定してから向きを決定するなどしたほうがよさそうです。
Additional Modification
これは改造というより改良に近いもの、DAC-101はDAC部の±電源を3端子レギュレーターで生成しているが、電源立ち上げ失敗時に逆流から素子を保護するダイオードが入って無いために、プラスとマイナスの電源が同時に立ち上がらなかったようでマイナス側の3端子レギュレターが破損してしまいました、破損したデバイスを交換するだけだとまた同じトラブルが起こる可能性があるので赤矢印のように保護ダイオードを追加し、さらに発信止めのパスコンを裏付けしておきました、当然ながらこの改造をした後は電源のトラブルは発生していません。
下の回路図で赤色で記した部分が改造部分です。
できることなら、この電源回路も少々手を入れたいところです、でもスペースがない・・・
Another Modification Plan
ダイナミックエレメントマッチングDAC改造では定番の積分用コンデンサー0.1uFをSEコンに交換するなどが考えられますが、残念ながら基板のレイアウト的にスペースが限られることと、バスバーを兼ねた銅板のシールドが干渉するため取り付けることができません、もう少し小型で満足できる音がする部品が見つかるまでは、オリジナルのマイラーコンでガマンすることにしました。 アンチエイリアスのフィルターはGIC型のようだし、使用してあるアペアンプもJRC製の5532なので、個性からいってもここはとりあえずオリジナルのままでも十分だと思います。 あと一点だけ改造するとすれば、エンファシス時定数切り替えにトランジスタを使っているようなのでリレー式に改造するか、思いきって外してしまうほうが良いのかも?
Epilogure
改造前とは車も変わり、オーディオのシステムもかなり変わってしまったので厳密な比較試聴が出来なかったのですが、私の記憶を基に判断すれば次の点で音に変化がありました。
4fs DAC独特の余韻が少なめに聞こえ、その繊細さに欠けがちな傾向がかなり改善されました。
中域の音、特に人声がクリアかつスムースな方向に変化した。
極端に帯域は広くはないものの、そのなかで充実した音の厚みや、低音に太さが感じられるようになった。
15年も前のDACながら、個人的には今も十分に現役で楽しめる音が得られるこの機種は、物理特性やスペックとは違った尺度で「44.1kHz,16bitで録音された音楽を楽しむ道具」としての価値と趣味性を実感させてくれるものであると思っています。
[注意事項]
本情報は、確実な性能及び動作等の一切を保証するものではありません。 従って本情報に基づいて機器を改造した際に、機器が動作しない、もしくは、期待した性能が得られない等の障害が発生したり、万が一に事故等が発生したと
しても、当方は一切の責務において関知しないものであります。 従って実際に機器の改造を行う際は、あくまでも各自、個人の責任において行
ってください、腕に自信の無い方は絶対にトライしないで下さい。
[Caution:] (If you use above information, At Your own risk!)
更新日 2005.Feb.24