基礎編>遺伝のしくみ>優性と劣性/遺伝子型

 優性と劣性

遺伝子は1種類につき2つで1組ですが、1つでも働くものと、2つあると働くものがあります。

1つでも働くものを「優性」といいます。
1つor2つで見た目が若干異なる毛色等もあります。

2つあると働くものを「劣性」といいます。
1つだけでは働かず、外見上は持っていないのと同じになるため、持っているか判断することができません。

ノーマルに対して「優性」or「劣性」という意味であり、
優性の遺伝子を持っていないとノーマルになり、劣性の遺伝子が2つない場合もノーマルになります。
遺伝子同士の力関係は基本的に対等なので、優性の遺伝子と劣性の遺伝子のコンビネーションも可能です。

なお、当コンテンツの図では優性の遺伝子を◎で、劣性の遺伝子を○で表記しています。

優性の例(シルバーグレー)



劣性の例(黒目クリーム)




 遺伝子型

シリアンがどんな遺伝子を持っているのか、毛色等からだいたい判断することができます。
けれども、劣性の遺伝子は1つだけ持っていても働かないため、毛色等に現れません。
また、遺伝子の力関係により、2つ持っているのに働きが抑えられてしまうものもあります。(→詳細はコチラ

つまり、「働きが毛色等として見えている遺伝子」=「持っている遺伝子全て」とは限らないのです。

働きが見えていない遺伝子であっても、持っていることに変わりはないわけで、親ハムから仔ハムへ受け継がれます。
仔ハムの毛色等を予想するうえで、そういった遺伝子を無視することはできません。

親ハムが持っている遺伝子を全て書き出したものを「遺伝子型」といいます。
対して、毛色等として働きが見えている遺伝子のみ書き出したものを「表現型」といいます。

<表現型と遺伝子型の例>
●表現型
優性1つで働く

劣性2つで働く

●遺伝子型
表現型

劣性1つは働かない

抑制される


 見えない遺伝子の見極め方

働きが見えていない遺伝子をどう見極めるのか? そのシリアンの両親の毛色等からある程度わかります。
もしくは、そのシリアンが過去に繁殖を経験していれば、その時に生まれた仔ハムの毛色等から判断することもできます。
しかし、両親の毛色等が不明で、繁殖も経験していない場合、残念ながらわかりません。

両親の毛色等から判断する

例えば、このゴールデンの「ぼくちゃん」が、どんな遺伝子を持っているのか?

ぼくちゃん

両親は、シルバーグレー(ヘテロ)と黒目クリーム。
(両親の外見に現れていない遺伝子の有無については考慮に入れていません。入れるとキリがないので。)

パパ ママ
 
 
 
 

黒目クリームは、黒目クリーム遺伝子2つなので、それを半分にすると黒目クリーム遺伝子1つ。
この両親から生まれた仔ハムたちは全員、母ハムから黒目クリーム遺伝子を1つもらっています。

シルバーグレー(ヘテロ)は、シルバーグレー遺伝子1つなので、それを半分にすると「シルバーグレー1」と「なし」になります。
つまり、父ハムからシルバーグレー遺伝子をもらった仔ハムが半数、もらわない仔ハムが半数。
「ぼくちゃん」は、どちらでしょうか?
シルバーグレー遺伝子はノーマルに対して優性のため、1つ持っているだけで働きが外見に現れます。
ゆえに、ゴールデンである「ぼくちゃん」は、シルバーグレー遺伝子をもらっていません。

ということで、「ぼくちゃん」は、シルバーグレー遺伝子を持っておらず、黒目クリーム遺伝子を1つ持っていることが確実です。

ぼくちゃん


過去の繁殖から判断する

「ぼくちゃん」は、黒目アイボリーの嫁との間に、ゴールデン、黒目クリーム、黒目アイボリーの仔ハムがいます。

ぼくちゃん
   
   
     

黒目クリームは、黒目クリーム遺伝子2つでできているので、
「ぼくちゃん」と嫁、両方から黒目クリーム遺伝子を1つずつもらっていることになります。
つまり、「ぼくちゃん」は黒目クリーム遺伝子を1つ持っていることがわかります。

黒目アイボリーは、黒目クリーム遺伝子とシルバーグレー遺伝子のコンビネーションカラー。
シルバーグレー遺伝子はノーマルに対して優性であり、1つ持っているだけで外見に働きが現れるので、
ゴールデンの「ぼくちゃん」はシルバーグレー遺伝子を持っていないことがわかります。
黒目アイボリーの仔ハムたちは、嫁からシルバーグレー遺伝子を1つもらっています。

ということで、「ぼくちゃん」は、シルバーグレー遺伝子は持っておらず、黒目クリーム遺伝子を1つ持っていることが確実です。
(この繁殖からでは、黒目クリーム遺伝子以外の劣性の遺伝子の有無については確認できません)

ぼくちゃん