すみ=「すみ」です。 にえ =「にえ」です。
ジャン=ピエール・ガッテーニョ 「悪魔の囁き」      <扶桑社 文庫本> 
精神分析医デュランは、ある日突然、患者の中年男ギュンターから「私は妻を殺した」と告白された。 半信半疑ながらも、告白が真実かどうか調べはじめるデュラン。しかし、ギュンターの不可解な言動に 翻弄されるうちに、デュランの周囲に奇妙な事件が次々と起こり、やがて殺人の疑いまでかけられる はめになる。いったいギュンターの狙いは何なのか?
  
にえ まあ、珍しい話ではないです。私たちも 似たような設定の小説をいくつか読んだことがあるし。   
すみ その中ではこれが一番、と言いたいところ だけど、実はもう一つ出来が良いなと思うのがあって、それが題名も作者も思い出せないから、2ついいの があったなかの1つです(笑)
にえ でもさ、これにはこれにしかない良さが ある。    
すみ その第一がフランス小説ってことよね。
にえ なんといってもあやしい男の名前が、 ギュンター・ブロックだもんね。こんな陰湿な音の名前はアメリカ小説じゃ出てこない。   
すみ マイケル・ホワイトとか、ベン・ウイ リアムスなんて明るい名前じゃダメよね。
にえ で、小説全体に流れる雰囲気もいかにも フランス小説特有の湿り気がある。   
すみ こういう小説の舞台にはもってこいよね。
にえ でもさ、湿り気があっても、そんなに シツコイ文章じゃなく、淡々と話は進んでいくから、読みづらくはないよね。   
すみ けっこうテンポもあって、シニカルな笑い なんかも加えられてたりして、息がつまらないよね。
にえ うん、心理サスペンスものって、緊迫感は ぜったい必要だけど、あまりにも息がつまるようではダメよね。やっぱ、息しながら読みたいもん(笑)   
すみ そうそう、主人公がだんだん追いつめられ て、狂気の世界に迷い込むのはいいけどさ、読んでる人まで追いつめちゃいけませんよね。
にえ 逃げたくなるようじゃ読めませ〜ん(笑)   
すみ これはその点、湿り気あり、雰囲気あり、 でも、感情移入せず冷めて読める内容でもあり、でほどよいかもね。
にえ うん、そういった意味でオススメです。   
すみ ラストは賛否両論出そうだな(笑)