すみ=「すみ」です。 にえ =「にえ」です。
ジーン・ブルーワー 「K-パックス」  改題「光の旅人」   <角川書店  文庫本> 
ニューヨークのある精神病院に三十代初めの男が収容された。プロートと名乗るこの男は、 自分は異星人だと主張する。七千光年離れたK‐パックスから地球に旅行をしに来たというのだ。 ブルーワー医師は、彼を多重人格障害および健忘症と診断した。ところが、彼は豊富な天文学・宇宙論 の知識を持ち、不思議な魅力を兼ねそなえていた。はたして、プロートは多重人格障害者なのか、 それとも本当に異星人なのか。
  
にえ これは「癒し系おとなの童話」と私は 名づけてるんだけど。   
すみ そう言っちゃうと、なんだ童話系 ファンタジーかと勘違いされそうだけど、そういう話ではないよね。
にえ うん。 作者はDNAの研究をしていた 科学者だから、これがなかなか科学的なところもあって、現実からも離れすぎてないしね。      
すみ うん、精神医学の知識はもちろん、 天文学とかの知識も豊富で、そういう意味では意外と辛口。
にえ でもさ、読んでるとすごい考え させられるし、やさしい気持ちになる。   
すみ 読後もあとひくよね。
にえ 担当医の名前がブルーワー医師って 作者と同じ名前なところも好き。本当の話っぽく見せたいって作者の思い入れが感じられる。   
すみ 本当ならいいのにって思っちゃうよね。
にえ プロートもいいけど、ブルーワー医師 もいいよね。こいつはいかれてる、薬物投与だってキリキリしてなくて、言ってることは本当なのかなあ 、なんて調べてみたり、自分のことを反省してみたり、お医者様のくせに、プロートの良さを認めちゃっ たり。   
すみ 人間としてのあたたかみを感じるよね。
にえ 読み終わった人にはどうしても訊きたく なるのは、「あなたはK-パックスに行きたいですか」ってこと。   
すみ う〜ん、難しい。
にえ 難しいよね。ある意味、すべてを捨てる ことだもんね。   
すみ 帰ってこれるなら行ってみたい。
にえ それは卑怯よ(笑)