=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
セルゲイ・ドナートヴィチ・ドヴラートフ 「わが家の人びと」 <成文社 単行本> 【Amazon】
ロシアで生きる、百年四代にわたる一族の多彩な人々を描く短編集。悲劇的な20世紀ソ連の歴史を背景 としつつ、ユーモアとのんびりとした詩情にあふれる、どこまでが本当で、どこからがホラ話なのか わからない物語の数々。「イサークおじいさん」「ステパンおじいさん」「ロマンおじさん」 「レオポルドおじさん」「マーラおばさん」「アロンおじさん」「母」「父」「いとこのボーリャ」 「グラーシャ」「レーナ―これは愛じゃない」「カーチャ」「ニコラス―結び」 | |
私はこの本を読んだとき、すっごく うれしくなったの。なぜなら、私がずっと、ロシア人って本当はこういう人たちなんじゃないかな、と 思ってたイメージにぴったり符合してたから。 | |
なんか、ソ連の時代には、ロシア人って ものすごく怖ろしい人たちのように描かれてたよね、とくにアメリカの娯楽本で。 | |
うん、その後もなんとなく、殺伐とした イメージがつきまとってるよね。 | |
でも、本当はヨーロッパの田舎と呼ばれて た、わりあいとのんびりした、牧歌的な国民性なのよね? | |
うん、古典のロシア文学って重々しいイメ ージがあるけど、よくよく読めば、そういう穏やかに、のんびり笑いながら暮らす人たちの姿が見えてく ると思う。 | |
そのイメージに、この本がぴったりだった のね。 | |
そうそう、だから、やっぱり私は間違って なかった〜ってすごく嬉しくなっちゃった。 | |
どの話もほんと、ソ連時代の暗黒政治の 背景がありながら、どこかのほほんとしてるよね。 | |
たとえば、身長が2メートル10センチも あったおじいちゃんの、町内英雄伝みたいなお話なんて良い例よね。 | |
だれかが街角の居酒屋でしてるみたいな楽し い与太話に、おじいちゃんがソ連政府のために遭わされた残酷な仕打ちが、さりげなく、さらっと付け加えら れてる。 | |
そういうのって、なんか人間の逞しさみたいな ものを感じない? | |
感じる、感じる。 | |
飼ってた犬も家族の一員として書かれ てて、そういうのも読んでいてニンマリさせられちゃう。 | |
お母さんの話もよかったよね。ほろっと きちゃった。 | |
これが本当のロシアの人々じゃないの かなあ。 | |
作者はアメリカに住んでて、ロシア語で この本を書いたらしいけど、ロシアでもものすごく人気が出たらしいしね。ロシア人が喜ぶんだから、 やっぱり本物でしょう。 | |