=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「闇に浮かぶ絵」 ロバート・ゴダード (イギリス)
<文藝春秋 文庫本> 【Amazon】 (上) (下)
ダヴェノール家の跡継ぎである長男は11年前に自殺した。准男爵の位は反対し続けた父親の死で、とうとう次男に譲られることとなった。ところが、自殺した長男の名をかたる男が現れ、じつは自殺はしていなかった、と主張する。果たして彼は何者か? | |
これはいいよ、すごいスピード感、一度も速度をゆるめず、走り続けるジェットコースターに乗ってるみたい! | |
うん、おもしろいよね。最初は長男の元フィアンセが、家庭を持つ身でありながら、死んだはずの長男の存在に揺れだすんだけど……。 | |
なんだよ、またメロメロものかよ、と思ったら、さにあらず。そっからだんだん凄いことになって、いきなり語り手まで変わっちゃって、謎は二転三転ぐるんぐるん! | |
どんでん返しのオンパレードよね。場面もどんどん移っていくし。最初から最後まで息をつく間もな〜い(笑) | |
善玉、悪玉もここに来て、線引きが難しくなる複雑さ、ぐっと人間の深みが増してグッド。 | |
そうね、善人と悪人をはっきりわけてある小説って、どうしても薄っぺらく感じて厭なのよね。 | |
うん、一面しかない人間なんていないんだから、そういう書き方されると一気に嘘っぽくてしらけちゃう。この作品に関しては、アホのヒロイン以外は善も悪も持ってて人間らしくていいわ〜。 | |
歴史上の人物が出てくるのもゴダードの特徴だけど、前2作はわりとイギリス限定ってかんじだったけど、今回出てくるのはワールドワイドのビッグネームよね。 | |
そうそう、それがまた描き方が面白い! いい人キャラのはずのある人は、なんかびっくりな性格で現れるし。 | |
子供用の伝記で読むより真実味があったりするけどね(笑) | |
とにかく登場人物はヒロイン以外はみんなキャラが立ってる!って感じよね。ヒロインは相変わらずでも、登場行数が減ってる分、気にならないし。 | |
にえちゃんは登場人物の中で特にプロン−プロンがお気に入りでしょ。 | |
そうそう。プロン−プロンは綽名だけどね。本名書くと面白味が半減するから、ここではこの名前で。この人は私の最も好きな脇役の要素をすべて持ってるのよ。 | |
怪人よね。ゴダードの他の本ではこういう人、見かけないけど、ゴダードはこういう人も書けるのね。 | |
子供のようで老人のよう、間抜けのようで思慮深く、冷たいようで情があり、卑屈なようで傲慢、強気なようで弱気、とにかくいろんな性格が支離滅裂、ないまぜになってて、ちゃんとした統一感もなく、それでいて生き続けてしまう、捉えづらい人物。いいわ〜♪ | |
まあ、今ここを読んでる人にとっては、にえちゃんの説明が一番とらえづらいでしょうけど(笑)、とにかく複雑な人よね。なんであんなに女に持てるのか、そこは納得いかないけど。 | |
ばかね〜。百戦錬磨の女とか、その辺の男じゃ満足できない女はああいう人を選ぶのよ。一緒にいて飽きないじゃない。 | |
じゃあ、にえちゃんはああいう男の人が好きなの? | |
いや、私はまだその域には達してないのでパスですが(笑) | |
まあ、それはともかく、謎かけのほうも三者選択みたいになってたり、わざと肩すかし喰らわせたりで、そうそう読者に先読みされない工夫もされてるから、この本は分厚い上下巻だけど、みんな飽きずに読めるんじゃない? | |
長いぶん、登場人物が他と比べてやや多めだけどね。 | |
うん、人間関係はそんなに複雑じゃないから、読み始めから登場人物早見表を作っておいたほうがいいかも。 | |
サイトが引っ越す前まで掲載してたし、移ってから掲示板にも書いたけど、知らない人のために。ほんやく本で登場人物が多いときは、しおりをメモ紙にして、そこに登場人物の名前と軽く人間関係をメモしておくと、途中で前のページに戻ったりしなくてすむので楽ですよ。 | |
とにかく、この作品は私たち、二重丸よね。 | |
大満足! 来週は「蒼穹のかなたへ」です。お楽しみに〜。 | |
週刊ロバート・ゴダード 2001年2月2日号 | |