=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「一瞬の光のなかで」 ロバート・ゴダード (イギリス)
<扶桑社 文庫本> 【Amazon】 (上) (下)
真冬のウィーンで知り合った女、マリアンと恋に落ちた写真家のイアンは、イギリスで再会を約束する。ところが、マリアンは忽然と姿を消した。彼女はいったい何者なのか。 | |
これは久々の歴史がらみだね。 | |
しかも、いつもの冤罪はらしじゃなくて、リーインカネーション、つまり前世の記憶が蘇るって設定だから、いつにもまして過去の部分がリアルで、そのまま情景描写になってるの。 | |
いいよね〜、服装とか、会話とか、その時代の匂いが伝わってくる感じ。 | |
マリアンが前世の記憶らしきものを思い出すんだけど、それは世界で初めてカメラを発明しながらもスポットを当てられず、埋もれてしまった1800年代前半の女性発明家の記憶なのよね。 | |
この辺は史実と虚構を組み合わせて、あいかわらず上手だな、ゴダードちゃんは(笑) | |
本当にそういう女性がいたのかと思っちゃうほどよね。 | |
で、まあイアンは振り廻らされ、ストーリーは二転、三転。ぜんぜん先が読めなかった。 | |
謎が解決したと思ったら次が現れ、じゃなくて、ひとつの謎を解いてる最中にもう次の謎か重なっていく。すっごいスピード感、一気に読めた。 | |
ただ、問題は主人公よね。 | |
また出たね、このタイプ。しかも、最低男ランキングの記録更新だね。 | |
この方は初っぱな、オイロケおねえちゃんのために、家庭を捨てちゃうのよね。 | |
そうそう、そのうえ、あきらかに女に捨てられてるのに、根拠不明な執念だけで、その女を追い回すの。信じられない〜。 | |
おまけに自分が過去に犯した罪には反省の色なし、だしね。変だよ、この人。 | |
正常の域をはるかに超えてるね。異常性格。 | |
まあ、後半でちょっと挽回するけど。 | |
あと、定番キャラの、盲目的に主人公に尽くし続ける親友も出てくるよね。こういう性格もわかんない。なにかに従属しないと、生きていけない性格なのかしら。 | |
でもさあ、他の登場人物はよかったよね。 | |
あ、私、最後のほうに出てくる火山学者の女の人、好き。でかくて、赤毛で、めちゃめちゃ頭が切れて、めちゃめちゃ性格が悪いの(笑) | |
にえちゃんの嫌いなアホなヒロインも出てこなかったしね。 | |
そうそう、悪女キャラも平べったくなかったしね。 | |
それにしても、最後の最後まで気が抜けなくて、おもしろかった。これが翻訳されてるなかでは、ゴダードが一番最近書いたものでしょ。先が期待できるね。 | |
この先翻訳されるのは、またこういう歴史がらみだといいな〜。 | |
このスピード感も保ってほしいよね。 | |
しかし、11タイトル読んだわけだけど、処女作と11作目の主人公がこうもに通っているとは、どういうことでしょう?(笑) | |
ぷぷぷっ。 | |
週刊ロバート・ゴダード 2001年3月30日号 | |