=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「惜別の賦」 ロバート・ゴダード (イギリス)
<東京創元社 文庫本> 【Amazon】
クリスの姪の結婚披露宴に、少年時代の親友ニッキー・ランヨンが闖入してきた。みすぼらしい姿に変わり果てたニッキーは、三十四年前、ニッキーの父が犯した殺人が冤罪であると訴える。翌朝、ニッキーはを吊って自殺をする。クリスは真相をたしかめようと捜査を始める。 | |
これは珍しく主人公にあまり特徴がないよね。 | |
そうね〜、わりと普通の、というか、まっとうな人間。読んでてムカムカしてくる男ではなかったよ。 | |
それにしてもさ、またまた悪女が登場するんだけど、ゴダードって悪女が好きだよね。 | |
う〜ん、男の人に比べて、女の人の善悪がわりとはっきりしちゃってるかもね。女の悪人はみんなお色気ありの悪女かも(笑) | |
今回の悪女もお色気ありで、まあ、やるだけやってくれたってかんじよね。 | |
ネチネチタイプじゃなくて、暴発型だったね。 | |
私は今回の過去の話、歴史がらみじゃないけど、好きだった。おもしろいよね、この設定。 | |
クリスの祖母のお兄さんである、大伯父って人が鍵なのよね。この人が、外国で成功して帰ってくるんだけど、妹には何にもあげなくて、昔好きだったコーディリアって女の人によくしてあげちゃう。 | |
コーディリアはもう結婚してるんだけど、家族ごと屋敷に住まわせて、子供にもいい教育を受けさせてやって・・・。これじゃ妹は怒るよ。 | |
その辺の複雑な過去の人間関係は私も好き。歪んでて(笑) | |
うん。問題は現在で起きる出来事のほうだね。過去は1947年まで、現在は1981年なんだけど。 | |
そうだ、章が「今日」「明日」「昨日」って3つに分れてるんだよね。私、最初は「あれ、三日間のお話なの?」と思っちゃったけど、そういうわけではなかったね。 | |
話を戻しましょう。その現在なんだけど、ゴダードお得意の二転、三転の展開が、ちょっとわかりやすすぎたんじゃない? | |
二人とも、登場人物がそろった時点で言い当てちゃったもんね(笑) | |
できればそういう安易なプロットにしないで、現在でも複雑な人間関係を展開して欲しかったなあ。 | |
まあ、1冊でおさまっちゃう長さだからね。 | |
悪くはないのよ、話的には。ただ、絡み方が単純すぎる。主な登場人物が主人公のクリスでしょ、ニッキーの妹でしょ、悪女でしょ、けっきょく3人なんだもん。 | |
全体に漂う物哀しい雰囲気も良かったし、登場人物も悪くないよね。それぞれ個性出てるし。悪女も平べったくないし。それだけに、あとちょっと・・・って思っちゃうな。 | |
その謎とか展開部分さえもうちょっと深くしてくれてたら、好きだったかもしれない。 | |
もっと利害関係を入り組ませて、善人悪人がごちゃごちゃ騙しあったり、裏切りあったりとかね(笑) | |
う〜ん、まあ、あんまりふだんのゴダードほどゴチャついてないほうが好きって言うんだったら、これはこれでいいのかもしれないけど。 | |
あんまりふだんミステリ読まない人には、かえってわかりやすくていいかもね。それ以外の人は好みの問題でしょう。私たちが好きじゃなかったってだけなんだから。おもしろかったって言う人もけっこういるよ。 | |
うん。ということで、私たち的にはこれは残念賞だったってことで。 | |
週刊ロバート・ゴダード 2001年3月23日号 | |