=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「日輪の果て」 ロバート・ゴダード (イギリス)
<文藝春秋 文庫本> 【Amazon】 (上) (下)
ハリーはガソリンスタンドで働いていた。ある日、遅刻をして出勤してみると、ハリーに電話がかかって来たことが告げられた。その内容はなんと、あなたの息子が今、病院にいる。息子どころか、まともな結婚もしていないハリーに! 存在すら知らなかった息子のために、ハリーはまた、謎解きに挑むことに・・・。 | |
ということで(笑)、『蒼穹のかなたへ』のハリーがまたまた主人公です。 | |
この本は、もちろんひとつの話として独立してるけど、やっぱり『蒼穹のかなたへ』を読んだあとにしたほうがいいよね。 | |
そうそう、「あ、あのエピソードがこうつながってくるのか!」とか「あ、あいつだ!」、なーんて、けっこう発見が楽しめるストーリーになってるからね。 | |
ねえねえ、これさあ、けっこうおもしろかったよね、私は大満足♪ | |
そうだね〜、歴史ってほどではないけど、ストーリーにからんでくるのは、近代の数学系、アインシュタインあたりね。その辺はちょっと目新しくておもしろかったかな。 | |
うん、ハリーの息子が天才数学者だからね。息子は「高次元」なんて難しいものを研究してたんだけど、これは私にはさっぱりプー(笑) | |
ようするに、線の一次元、平面の二次元、立体の三次元、それに時間がからんで四次元、その先が高次元なんでしょ。なにが絡んでくるのか、よくわかんないけど。 | |
なんか脳の眠ってる部分がどうのこうのと・・・。 | |
脳の眠っているところが、どうやったら次元の軸になるのよ? | |
う〜ん、超能力? でもまあ、ハリーもわかってなかったし、読んでる私たちもそんなことわからなくても、ストーリーは充分楽しめたんじゃない。 | |
また得意の流し読みかい(笑) で、その息子がある企業のプロジェクトに参加してて、それがもとで殺されそうになったんじゃないかということで、ハリーが探りを入れだすんだけど。 | |
それにしても、ハリーはみごとに落ちぶれていくね。最初は公務員で、そのあと社長だったわけでしょ、そのあとは大企業の事務で、別荘の管理人。今回はガソリンスタンドのアルバイト店員。 | |
あいかわらず、酒もよく飲むしね〜。 | |
でも、相変わらずがんばり屋さん。今回は過去のこともグチグチ言わないし。 | |
ハリーもよかったけど、他の登場人物もよかったね。 | |
うん。まずは下宿先のおばちゃん。わりと博学で、スノッブで、お出かけとなるとめかしこんだりして、かわいい。 | |
息子の指導教授だったおばあちゃんも、知的で鋭くて、かっこいいし。 | |
ハリーのお母さんは登場が少なくて残念だったけど。 | |
ハリーがへなちょこな分、女の人が生きるね。 | |
ハリーはへなちょこじゃないよ〜! | |
いちおう、そういうキャラ設定じゃない。 | |
まあね。で、謎解きには派手な裏技なんか使っちゃうんだけど、これまた愉快、痛快。拍手ものだった♪ | |
登場人物といい、メリハリきかせた楽しいストーリー展開といい、ほんとに娯楽として楽しめる本だったよね。 | |
うん。字も大きめで読みやすいしね(笑) | |
で、メインの謎解きだけど、これまたテンポよく解けていって、いいところで驚かされて、となかなかグッド。 | |
いっきに読めたね。 | |
最後もやってくれたねってかんじだし。 | |
なんか一人だけ、救われてない人がいるような気もしたけど・・・。 | |
まあ、それはいいとして(笑) | |
ハリーの明るさはいいよね。これからもハリーのシリーズは続くのかな? | |
ハリーが主役でずっこけててくれてて、重い過去の歴史が絡んだらメリハリがあっておもしろいと思わない? | |
思う、思う。もう主役はぜんぶハリーでいいよ。馴染んだハリーが主人公なら、こっちとしては安心してストーリーだけを楽しめるし。 | |
というわけで、この本のオススメとしては、『蒼穹のかなたへ』が気に入った人は、これも是非読んでみてってことで。 | |
科学者の悲しみが底に流れていたけど、基本的には、気楽に軽〜く読みましょうって本です。 | |
来週は『惜別の賦』です。お楽しみに〜♪ | |
週刊ロバート・ゴダード 2001年3月16日号 | |