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二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」
日時: 2007/01/28 15:53
名前: こぶた

お二人の紹介を読み、図書館ですぐ借りれたもので、早速読んでみました。
ラストのシーンで、レオが少女アルマに友人ブルーノは1940年代に死んだと告げていたことが頭にひっかかり、そこからまた余韻が広がってきています。ストーリに出てきたブルーノ、部屋中ひっくり返してケーキを作ってくれたり、駅まで走って見送ってくれたブルーノはすべてレオの想像だったのかと思うと、レオの孤独というものを一層感じさせられ、胸が痛みます。
そこから、レオの人生についてまた考えてしまいました。ポーランドで自分一人だけ助かってしまい、森で生き延びる、それだけでもとても孤独で心細いことだと思うのです。その後、アルマを求めてニューヨークに来ると、彼女は別の人生を歩んでおり、息子に名乗ることもできない... なりたかった小説家になることもなく、錠前やとして異国で生きていく... 孤独に老いぼれていく自分を感じつつなんとか生きていくには、想像の友人ブルーノが必要だったのかと思います。
そこへ少女アルマが登場してきて、それはレオの人生を肯定してくれる真実のもので、本当によかった〜という気持でいっぱいになりました。
盗作をしてしまったツヴィ、自分を聖なる義人だと思い込んでいる弟バードがいたからこそ、奇跡が完成します。それは何だか、レオの愛を知りながら、別の人生を歩まざるを得なかったアルマからのレオへの贈り物だったのかもしれないとさえ感じたくなっています。
本当に素敵なお話でした。お二人の紹介がなければタイトルを見て引いていたと思います。ありがとうございます。大変かと思いますが、これからも丁寧な本の紹介、楽しみにしています。
こぶた
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Re: <ネタばれ>二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」 ( No.1 )
日時: 2007/02/01 22:16
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

こぶたさん、はじめまして♪
ありがとうございます、「ヒストリー・オブ・ラブ」、本当に素晴らしかったですよね。ブルーノについては私たちも、ラストで真実を知って、ズキーンと来てしまいました。おっしゃるとおり、レオの孤独がいっそう強調されましたよね。その前までは、、ブルーノがいるからまだいいじゃないって思ったところもあっただけに…。駅まで見送ったシーンについては、本当はブルーノがいなかったとわかって読むと、またひとしおですよね。
この本はホントに私たちもタイトルで逃げなくて良かったです。またこういう良い本に出会いたいですよね。ああ、余韻がぶり返す〜。
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Re: 二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」 ( No.2 )
日時: 2007/03/05 00:34
名前: ぽてっち

こぶたさん、すみ&にえさん、ホントにすばらしい本ですね。
どの章も、韻を踏んでいる詩のようなリズムがあって、それぞれに説教臭くない人生の意味や言葉の味わいや深みがあって…。その細かい綾が織り込まれつつ、物語の大きなうねりとなっていって、吸い込まれてしまいました。読み終わってしばし茫然。
それからもう一度ページを捲りつつ、比喩や引用が言葉の深みを与えているなあとも思いました。「ばかな男でも窓の前に立たせれば、スピノザになる」なんて最高!カントでもデカルトでもなく、スピノザなんだあ。ユダヤ教を破門され、レンズを磨きながら神について思索し、数学の証明のような『エチカ』を書いたスピノザ。さすがだよね!
リトヴィノフの回想の部分で、レオが書いていた死亡記事もバーベリもマンデリシュタームもスターリンに粛清されたユダヤ人文学者でしょ。表紙の次のページ「消えていくのとは正反対のことを教えてくれた祖父母たちに」「そして、私の命、ジョナサンへ」という言葉と祖父母4人の写真、この物語は受難の時代を生きた祖父母へのオマージュでもあったんだね。
訳もうまいからすらすら流れるように読めたけど、フリガナしてある単語がヘブライ語もあるようだし、英語もある。もしかしてイディシュ語もあるのかなあ?あとバードの日記の文字?そのへんを〈注〉で書いてほしいよね。彼女の祖父母やジョナサンについても訳者あとがきにでも、ちょっと書いてくれればいいのにと思うのは私だけ?
ともあれ、まだ余韻に浸っています。このタイトルじゃあ逃げるよね。お二人の紹介に巡りあってほんとによかった。どうもありがとうございます。
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Re: 二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」 ( No.3 )
日時: 2007/03/06 01:41
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

ぼてっちさん>
本当にそうですよね。詩人の小説って悪い方に出ると単に読みづらくなっちゃうんで、読む前はう〜んと思ったのですが、心地の良い詩のリズム感が小説の文章に生かされて、素晴らしかった。しかも感性だけで書いたものではなく、キッチリ構成が出来ていて、その上での細やかさでしたよね〜。ホントにホントに酔いしれました。
原文は…たしかにそうですね、ちょっとあとがきででも触れてくださるとありがたかったかも。すっごく滑らかに酔いしれたまま読みましたが、翻訳の苦労は並々ならぬものがあったかもしれませんよね〜。
私たちもまだ余韻に浸ってます。この調子で年末まで引きずりそうです。本当に良い本に出会えてしまった。幸せですよね〜(T_T)(T_T)
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Re: 二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」 ( No.4 )
日時: 2007/03/30 20:46
名前: ぽてっち

こんばんは。今日本屋でまた、この本を手に取ってみたら、帯にワーナーブラザーズで映画化決定とありました。どんな映画になるのか?この作品のすばらしさが表現されるといいですね(^_-)-☆
メンテ
Re: 二コール・クラウス「ヒストリー・オブ・ラブ」 ( No.5 )
日時: 2007/03/30 22:08
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

ぼてっちさん、情報ありがとうございます♪
まーっ、映画化ですか。これはほんとに楽しみですね。ちょっと怖いけど^^;(^^;) でも、これで手にとってくれる方が増えれば、うれしいかぎりですよね。
メンテ

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