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アンドレイ・プラトーノフ
日時: 2006/09/16 22:01
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参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/

 アンドレイ・プラトーノヴィチ・プラトーノフ(本名クリメントフ1899-1951)はモスクワ南東郊外の農村ボロネジに生まれ、若いときから文学に親しむものの生活のために鉄道技術専門学校に進みます。革命勃発とともに在学中から赤軍に参加、ソビエト政権成立後は技師として働きながら詩や小説を書き続け、短編集「エピファニの水門」(1927)で作家として認められますが、理想と現実の乖離が進む中で、次第にその作風は社会や指導層に対する批判に傾斜し、同時に発表の場を奪われて行きます。
 1930年代に至り作家協会から中央アジアに派遣された彼は、過酷な環境で大地に根ざして生きる砂漠の民を目の当たりにし、疑問が氷解します。社会に奉仕するために人民が存在するのではなく、まず「生きようとする民」が存在し、それを見守りあるいは手助けするのが社会であると。それまでの彼の作風は、アンチ・ユートピアの無機的雰囲気に包まれた『土台穴』(国書刊行会刊)に見られるように、本音を韜晦するためか難解とも思えるのですが、「粘土砂漠」「ジャン」の中央アジアを舞台とした二編は、むしろ東洋思想にも通じるような心境が窺えます。
 代表作のひとつと言われる『チェベングール』が未訳なのは残念ですが、中編「ジャン」を収録した岩波文庫「プラトーノフ作品集」一冊だけでも、その魅力は十分知ることができると思います。
メンテ

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