このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
2005年上半期・ベックのベストほんやく本
日時: 2005/07/01 13:06
名前: ベック

2005年上半期、今回は割と新刊本を読みましたね。素敵な出会いも色々ありました。前半戦ということで、この中からいったい何冊の本が年末まで残るのか?おそらく上位の本は残るんだろうと思うんですが、それを上回る本と出会えるならそれもいいなと思ったりしてるんですが・・・。

■1位■ 「トラウマ・プレート」アダム・ジョンソン/河出書房新社

 この短編集には驚きましたね。いまだ興奮冷めやらぬって感じです。とにかく読んでる間中微熱をともなう興奮におそわれていました(笑)。

■2位■ 「ハサミを持って突っ走る」オーガステン・バロウズ/バジリコ

 アーヴィングの小説を地でいくような奇抜な登場人物、自伝だというのにおよそ現実的でない展開、愉快で、おもしろくて、でも切れ味鋭いナイフみたいに痛いところもあって、とにかく読ませました。

■3位■ 「タイムトラベラーズ・ワイフ」オードリー・ニッフェネガー/ランダムハウス講談社

 これほど痛みをともなうタイムトラベル物は、初めてでした。愛する人を失う恐怖、運命を変えることのできないもどかしさ。う〜ん、いま思い返しても胸がせつなく痛みます。

■4位■ 「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ/新潮社

 長編になっても、この人の手腕は鈍ることがない。人生が、詰め込まれた感じでもなくサラッと描かれ、かといって軽いわけではなくおそろしくきめ細かい。インド移民の困惑に満ちた異国での生活が、やがて定着し、同化していくさまはそのまま時代の趨勢と重なりあい、慣習がすたれていくあきらめの悲哀が残ります。新作早くでないかなぁ。

■5位■ 「ジョコンダ夫人の肖像」E・L・カニグズバーグ/岩波書店

 本書で描かれるレオナルド・ダ・ヴィンチは、飛びぬけて精彩を放っていました。『モナリザ』についての歴史的なミステリーを絡めて、ジュブナイルとはいえ、驚くほど芳醇な物語世界を堪能しました。

■6位■ 「きみの血を」シオドア・スタージョン/早川文庫

 スタージョンはこの上半期で本書を含め三冊読んだんですが、総合的にみてやはり印象に残るのは本書ですね。ストレートに描かれないヴァンパイア。ラストに到ってすべてが、焦点を結ぶ巧みなプロット。派手さはありませんが、今読んでもとても刺激的でした。

■7位■ 「ああいえばこういう。このあと続けてもう一回っていうのは、きついかも」ミル・ミリントン/河出書房新社

 ほんと、この本は表紙とタイトルでだいぶ損してるんじゃないでしょうか。本書で描かれるユーモアは最上の部類だと思います。この本読んで、久しぶりに声を上げて笑ってしまいました。

■8位■ 「かかし」ロバート・ウェストール/徳間書店

 この本もジャブナイルですが、大人が読んでも充分怖い。全編とおしての心理的な緊張感はタダモノではありませんでした。ほんと、この本子供には怖すぎるんじゃなかろうか。

■9位■ 「最後のユニコーン」ピーター・S・ビーグル/早川文庫

 王道ともいうべき正統派のファンタジーでありながら、人の手の加わらない伝説にも似た風格がありました。本書の良さはうまく他人に伝えられません。いいところはいっぱいあるんですが、これだっ!って一言で表す言葉をぼくは持ち合わせていません。とにかく素晴らしい。

■10位■ 「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン/アスペクト

 ハリウッド的な派手さで、ド肝を抜かれてしまいます。いかにも映画的。でもメインアイディアがよく練られてるので、薄っぺらさは感じません。総合的には気軽に楽しめるSFって感じでおもしろかったですね。
メンテ

Page: 1 |

Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2005/07/02 00:55
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

ベックさん、ご参加ありがとうございます♪
おお〜、「トラウマ・プレート」が堂々の1位ですね。それにしても、私たちとベックさんが1冊もかぶってないって初めて? こうなると、年間ベストがどうなるか、楽しみですね〜。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2005/07/02 01:19
名前: しま
参照: http://www17.ocn.ne.jp/~books/bekkan/bekkantop01.htm

ウェストールの「かかし」は本当に怖い児童文学ですよね。
「トラウマ・プレート」は予約を入れてるので、読むのを楽しみにしてるんですが、ベックさんの順位を見て、余計に楽しみが増しました。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2005/07/02 09:09
名前: ベック

すみにえさん
ほんと、一冊もかぶってません(笑)。前半戦は、「トラウマ・プレート」にもってかれちゃいました。もう大好きです。

しまさん
ぼくは、最近になってジュブナイルにも目を向けるようになったんですよ。またおもしろい作品があったらご教示ください。「トラウマ・プレート」は、惚れちゃいました(笑)。まだまだ可能性はあるんだなぁと感動しちゃいました。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.4 )
日時: 2005/07/02 11:03
名前: Hiro

「ジョコンダ夫人の肖像」の高評価が嬉しいですね。あのダ・ヴィンチ像は鋭いと思います。
「かかし」は前から読んでみたいと思ってるんだけど怖そうだな〜。
それとやっぱり1位の「トラウマ・プレート」がとっても気になります。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.5 )
日時: 2005/07/03 10:20
名前: 芋ようかん

娘と本屋の店先で、「かかし」の怖い背表紙に手を引っ込めてしまったのですが、あれは正直な装丁なのですね。うーん、気になります。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.6 )
日時: 2005/07/03 18:58
名前: ベック

Hiroさん、芋ようかんさん

「かかし」是非是非お読みください。ほんと、不気味な雰囲気がジュブナイルらしからぬ傑作だと思います。
ほんと、ウェストールの筆は子供向けだといって容赦はしません。傑作たるゆえんでしょう。
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.7 )
日時: 2005/07/03 21:29
名前: ぎんこ
参照: http://park8.wakwak.com/%7Eyawa/

「その名にちなんで」は去年読んだのです。「停電の夜に」の方が好きだけど、これもよかった。いろんな意味で次回作が気になる作家ですよね。
で、スタージョンは「きみの血を」が!これ好きです〜これ読んでからスタージョンの魔力にやられちゃったんだもの。復刊嬉しいですよね!
メンテ
Re: 2005年上半期・ベックのベストほんやく本 ( No.8 )
日時: 2005/07/04 12:41
名前: ベック

ぎんこさん

スタージョンは「輝く断片」も良かったですね。特に表題作はインパクトありました。敗者を見る作者のまなざしが正直すぎて痛かった。好編です。

ラヒリはほんと次作が楽しみな作家ですね。この人はすでに古典作家と肩をならべてると思います。
メンテ

Page: 1 |