このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
2004年・坤のベストほんやく本
日時: 2005/01/04 21:08
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/04.htm

 ぱんぱかぱーん、というようなめでたい音楽も控えたい今日この頃ですが、とりあえず恒例私的ベスト「ほんやく本」篇、行ってみまーす。今年読んだ本は全部で123篇、上のURLには日本の作品も含めた全ランキングを並べております。
 今回のベストテンは変則はあるもののやはり長編が中心、短編集はやはり印象度でハンディがありますので、別に2冊を挙げさせていただきました。

◆1位◆ 『フリアとシナリオライター』マリオ・バルガス=リョサ 国書刊行会
 笑え、泣け、そして狂え! 登場する個性ある人々の表情、その顔、これこそが生命の証とでも言うような強烈なタッチが素晴らしかったですね。

◆2位◆ 『ミドルセックス』 ジェフリー・ユージェニデス 早川書房
 個人ひとりひとりもまた、世界を巻き込む歴史・時間軸の中に位置しているかけがえのない存在なのだということを思い出させてくれます。特殊な設定なのに普遍性を感じさせるのは、著者の文学的感性なのでしょう。

◆3位◆ 『キング、クィーンそしてジャック』ウラジーミル・ナボコフ 集英社
 2004年は文庫復刊や某強力行商などもあってナボコフを何冊か読んだのですけど、なかでも初期の作品に属する本作は、後期に見られる人生に対する達観めいたものよりも「ひたむきさ」が感じられ、良質のサスペンスも併せ持った「読んで面白い」作品と言えるでしょう。

◆4位◆ 『アルヴァとイルヴァ』エドワード・ケアリー 文藝春秋
 あくまでも繊細な感覚が下敷きになってはいるのですが、それだけで流したものではなく、緻密な構成・確かな想像力にも裏打ちされた、独自の世界が魅力的です。

◆5位◆ 『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン 白水社
 民族と国境という問題は、今後さらに複雑化の一途をたどるでしょう。誰もが正しい答を模索し、そして見いだせないまま、なお悲劇は繰り返されます。

◆6位◆ 『オババコアック』 ベルナルド・アチャーガ 中央公論新社
 これはバスクに対する、心が温かくなるほどの懐かしさがこみ上げてくるほどの作品でした。おっと、わたくしの故郷はバスクぢゃなかったっけ。

◆7位◆ 『青白い炎』ウラジーミル・ナボコフ ちくま文庫
 これ、ほんっっと取っつきにくそうで、イヂワルで実はバカがつくほど面白いっ。さすがはナボ様、洗練の極みですねー。

◆8位◆ 『琥珀捕り』キアラン・カーソン 東京創元社
 読書の快感の原点を教えてくれる本です。炉辺の語りに耳をすまそうではありませんか。

◆9位◆ 『ベンドシニスター』ウラジーミル・ナボコフ みすず書房
 うひー、またまたナボコフで申し訳ないっ。しかし、一年たって思い返すと、やはりフルイの上に残るのは確かな手応えの作品なのですね。これは一種のアンチユートピアものではありますけど、その視点には心を揺さぶられます。

◆10位◆ 『ヒューマン・ステイン』フィリップ・ロス 集英社
 「汚れを抱えて生きるのが人間さっ」などという安直な開き直りを許さない姿勢がさすがです。アメリカの良心が生き続けることを願いつつ。

【短編集】
『レ・コスミコミケ』イタロ・カルヴィーノ ハヤカワepi文庫
 とうとう感想を書かないまま過ぎてしまいましたけど、Qfwfq老人のダボラファンタジーはツボですねー。しかしこの魅力、どう書きゃいいんだか全然わからんです。
『冬の犬』 アリステア・マクラウド 新潮クレストブックス
 これはまた都会的洗練とは対極に位置するような作品群でした。もちろん労働賛歌に終わるような荒削りなものではなく、人々の心の中も映し出してくれます。

さっ、今年ももう読み始めてるぜい。(あ、みなさんも?)
メンテ

Page: 1 |

Re: 2004年・坤のベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2005/01/07 00:11
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

坤さん、ご参加ありがとうございます♪
わ〜、1位は『フリアとシナリオライター』でしたか。納得。素晴らしく楽しい本でしたよね。読書が楽しいってことをあらためて実感させてくれる本で。2位は『ミドルセックス』ですか。もしかしてこの本、今年度は2位に選ばれることが多いかもって気がしてきました。どうでしょうね。
メンテ
Re: 2004年・坤のベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2005/01/08 18:31
名前: おはな

うわちゃーナボをこんなに入れちゃいますかっ。しかしナボ行商がこんなに上手く行ったのは坤さんだけです(笑)。なのに肝心の『KQJ』が私はまだ未読なので大変悔しい〜。
『フリア』が1位に来ましたね。しかしここに出されている新刊書はどれがトップに来てもおかしくないようなものばかりで、このように並べてみるとやっぱり壮観ですね。
メンテ
Re: 2004年・坤のベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2005/01/08 21:33
名前: 海ねこ

おやん?今年はあまりかぶっていませんわね?やはりロシアン・ブルーのくせにナボさまにいっこうに猫手を出そうとしない海ねこの怠慢が原因か?反省猫....。
メンテ
Re: 2004年・坤のベストほんやく本 ( No.4 )
日時: 2005/01/08 22:56
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp

すみさんにえさん、こんばんは。
『フリア』と『ミドル』、どちらも圧倒的「おもしろさ」を持ってますもんね、一位二位はともかく、ベストテンとなると外せないところです。図書館予算のせいばかりではなく積読山脈踏破にも精出さにゃーということで、今年はさらに新刊については絞ることになりそうなので、ますますお二人のご意見拝聴(つーかお毒味してね)ということになりそうです〜。

おはなさん、こんばんは。
 ナボコフはやっぱりたいしたもんですね。おはなさんが魂を吸い取られて牡丹灯籠状態になったのもわかりますねー。全身にお経を書いてから読むと良いんですけど、お風呂に入るときは困りますねー。それはともかく昨年くらいからかなり新刊以外の積読本未読古典も読むようにしているのですけど、古さを感じさせずに迫ってきたのはナボ様だけでした。もちろん名の通った作品は、みんなそれなりのインパクトはありますけどね。今年もまたナボコフに限らず新薬を発見して行商にお励みくださいまし。

海ねこさん、こんばんは。
 まあねえ、ナボコフ先生はチョウチョとか蛾とか鱗粉系ですから、猫にとってはちょっと苦手分野ということになるでしょう。うちの猫はチンゲン菜は好きだけど、ゴキブリはただ眺めているだけですし。でも決して享楽的ではないところが確かな手応えをもたらすゆえんでしょうね。海ねこさんとはベスト以外のところではかぶりはけっこうあるのですが、順位の問題となるとやはりそのあたりですね。
メンテ

Page: 1 |