Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.1 ) |
- 日時: 2004/01/04 12:15
- 名前: グラニット
- 参照: http://kiltrog.fc2web.com/
- ■6位■
イアン・マクドナルド『火星夜想曲』(ハヤカワSF文庫) 「火星にひとつの街が出来、半世紀後に滅びるまでの物語である。5〜7ページ程度の短いエピソードを連ねていく手法で描かれており、投入されたイメージとアイデアが洪水のように襲ってくる(『所有せざる人々』の本歌取りを含む)。中盤以降の怒涛の展開はあまり好きではないが、読まずにおくには惜しい本だ。迷う人は、ためしに15章を読んでみるといい。」
■7位■ アーサー・ランサム『ツバメ号とアマゾン号』(岩波書店) 「優れた児童書は、大人と子供の視点、両方を有している。『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は、物語の持つ力でそれを一まとめにしてみせた。ランサムの本書はそれに劣らないはなれわざだ――というのは、すれっからしの大人が、ごっこ遊びの興奮と感動を内側から描くのは、ほとんど不可能だからだ。しかし作者はやり遂げた。これは奇跡のような本である。」
■8位■ ジョアン・ハリス『ショコラ』(角川文庫) 「お菓子も魔女も背徳の臭いがする。甘いチョコを一粒口に入れる幸せ、それはもしかしたら、罪を人生のスパイスとして楽しんでしまおう、というオプティミズムなのではないか。だとしたら、この作品のある意味残酷な結末も理解できる。映画はもう少し話を単純にし、救いを差し伸べたため、まさに「大人のおとぎ話」となってしまった。どちらがよいかはその人次第。苦いのと甘いの、どっちがお好き?」
■9位■ ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』(ハヤカワミステリ文庫) 「自分にとって、2つの意味で重要な作品だった。ミステリーの面白さを思い出させてくれたし、「古典侮るまじ」という教訓をくれたからである。とりわけ本書のように、名前が先行しがちな作品は、読んでもいないのに知った気になるものだ。物語だけでなく、演出のうまさにも注目したい。『幻の女』はサスペンスの教科書である。」
■10位■ スーザン・フロンバーグ・シェイファー『黒猫フーディーニの生活と意見』(新潮社) 「猫の魅力は二面性にあると思う。可愛いようで可愛くなく、賢そうで馬鹿である。漱石の何某は人間社会の観察者だったが、フーディーニはただの等身大の猫だ。いろいろと設定の不備が目につくのだが、猫の可愛くない可愛さを描いた本では一番のように思う。老犬との交流も印象的なので、犬好きの方にもお勧めしたい。」
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Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.2 ) |
- 日時: 2004/01/05 02:28
- 名前: すみ&にえ
- 参照: http://park8.wakwak.com/~w22/
- わ〜、アーシュラ・K・ル・グィン『所有せざる人々』が1位ですか。これもぜひ今年には読みたい本なんですよね。やっぱり絶対読まねばっ。
あとのも私たちが読んでない本が多いので、参考になります〜。あ、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は本当に凄かったですよね。
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Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.3 ) |
- 日時: 2004/01/08 00:37
- 名前: グラニット
- 参照: http://kiltrog.fc2web.com/
- 私の嗜好をはなれてお勧めするならば、『所有せざる人々』、そして『火星夜想曲』でしょうか。二つともSFですが、どっちも文学色が濃いんですよ。またベクトルが全然べつで面白いんですが。
後者はどなたかが2002年ベストでセレクトしてらしたように思います。確か6〜8位でしたが、もしかしたら同じような感想かもしれない(笑)。中盤の「アレ」がなければ、ためらいなくベスト3にいれていいくらいの出来なんです。つまり、一個でっかいひっかかりがあるので、ベスト10には入るが、微妙な位置であると。これだけが他のランクづけと意味合いがすこし違います。すみ&にえさんには、2作とも同じくらいの推薦度でプッシュしておきます。解説によると『火星年代記』や『百年の孤独』も本歌取りしてあるようなので、私なんかよりよく理解されるのでは。
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Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.4 ) |
- 日時: 2004/01/12 11:36
- 名前: もぐら
- 『所有せざる人々』、気になりますね。『言の葉の樹』と同じシリーズなのでしょうか?あ、調べればわかるか。これは今度入手します。『火星夜想曲』も。
『ショコラ』が入ってますね。『ブラックベリーワイン』は良かったのですが、こちらも良さそうですね。積ん読の前の候補に入れさせてもらいます。
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Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.5 ) |
- 日時: 2004/01/12 23:38
- 名前: グラニット
- 参照: http://kiltrog.fc2web.com/
- 『所有せざる人々』と『言の葉の木』とは、ハイニッシュ・ユニバース(ハイン宇宙)シリーズとして、同じ背景世界を共有しています(言の葉の方は読んでないんですが)。このシリーズ、基本的にストーリー自体は別個の惑星で進むうえ、相互の影響が希薄なので、気にしないで何ら問題ありません。同じ日本でも、太閤記と義経記の関連は薄いですよね。そんな感じです(例えがあってないかもしれないですが)。
私は『ブラックベリーワイン』も未読ですが、こちらは『ショコラ』と同じ舞台であり、『ショコラ』後の村が描写されていると聞いています。
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Re: 2003年・グラニットの年間ベストほんやく本 ( No.6 ) |
- 日時: 2004/01/13 01:50
- 名前: もぐら
- ショコラ>
そのようです。『ショコラ』があれだけ流行ってしまったのでなんか気後れしちゃってるんですよねぇ。『ブラックベリーワイン』は、後の話だってのを知らないで手にとって読んだら面白かったんですけど。 ル・グィンは、今『闇の左手』を読んでいますが、難しい、というより、ホントにじっくり読まないといけませんよね。しっかり書かれている、というか。『所有せざる人々』、今年の課題図書(笑)にします。
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