ガンビーの2007年ベストほんやく本 |
- 日時: 2008/02/29 19:23
- 名前: ガンビー
- よく拝見させていただいていましたが、書き込むのは初めてです。
主に読むのがSFやホラーなので偏りがちですが、私が2007年に読んだ中から紹介を。
一位 ひとりっ子/グレッグ・イーガン 短編集。間違いなく現代SFの最高峰であるだけに、SFが読みたい2008年版で三位だったのが悔しい。プリーストも好きなんですけど、やはりSFとしてはイーガンが上です。
二位 アヌビスの門/ティム・パワーズ 最近の作品ではないですが、複雑に張り巡らされた伏線などの緻密な構成と、活写される19世紀イギリスの風景が素晴らしいスチーム・パンク・ファンタジー。
三位 物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ 短編集。正直、切れ味ではリッチーに劣ると感じましたが、ミステリー作家というより異色作家といった方がいい気のする作風で、面白哀しい人間模様が描かれています。しがない男、周囲や世界に翻弄される男の書き方がとても上手いです。
最後に、小説ではないのでここに入れるのはどうかと思わなくもない作品ですが、個人的にとてもおススメなのでこれを。 反・進化論講座 空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書/ボビー・ヘンダーソン アメリカでID(インテリジェント・デザイン)仮説を学校で教えろと主張している宗教家たちへの、ひねりのきいた批判。何か大いなる力が世界を作るのに関わった(ID=神の言い換え)という「科学的」な仮説は、完全否定できないのだから進化論と同様に教えるべきだという主張を巧みに利用し、それならば世界は空飛ぶスパゲッティ・モンスターが創造したという私の完全否定できない「科学的仮説」も同様に教えるべきだとぶち上げ、ユーモラスでバカバカしい新宗教を作り上げます。そしてそのバカバカしい部分が、実はID仮説と共通しているのです。同じ批判をするのでも、こういう方法を取れる人を尊敬します。
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