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2003年・ベックの年間ベストほんやく本
日時: 2003/12/26 16:11
名前: ベック

1 「見知らぬ弟」チャールズ・バクスター

  今年、この作家を知ったことが一番印象に残りました。三冊短編集を読みましたが、甲乙つけがたく、代表で一番最近作の本書をあげておきます。


2 「魔女は夜ささやく」ロバート・R・マキャモン

  この人の復活を祝して。二段組の上下ニ巻、まさしく読書の至福でした。ミステリとしてもかなり上出来でした。


3 「第三の警官」フラン・オブライエン

  この幻だった作品を読めて、図書館様々です。(笑)とにかく、奇想の極致。アイルランドの土壌が生んだ幻想小説の傑作です。「ドーキー古文書」もあわせての得点です。


4 「白檀の刑」莫 言

  中国の恐れを知らぬ文化の力に脱帽。食にせよ、刑にせよ、芸にせよ目を瞠るものがあります。中で語られる様々な極刑の凄惨さも莫言の筆にかかれば、グロテスクを通り越して神秘的、俗っぽい話が神話的にさえ感じられます。


5 「血族の物語」ピーター・ディキンソン

  初ディキンソンを祝して。(笑)まったく未知の世界を、これほどリアルに再現した手腕に拍手!人間がまだ野生だった時代が生きいきと描かれています。でも、あーだこーだいわないで本書はファンタジーとして、ただ単純に物語を楽しめばいいのです。ね?


6 「影よ、影よ、影の国」シオドア・スタージョン

  スタージョンという名を目にしただけでトロけちゃいます。それぐらい惚れました。「海を失った男」より単純に楽しめるということで本書を推します。


7 「シェル・コレクター」アンソニー・ドーア

  完成度の高さからいって新人離れした巧さの本書はハズレなしの傑作短編集でしょう。自然の脅威と人間の衝動をアメリカの良心で包んで、温かく残酷に描かれた八編は、読む者の心を捉え強く訴えかけてきます。但し、斜にかまえた目で見てはいけません。本書は正々堂々と真正面から読まなくては。


8 「紙葉の家」マーク・Z・ダニエレブスキー

  やっぱり、これは事件でしょ。こういうことをやられちゃ素直に認めなくてはいけません。膨大なデータを精緻に追いかけることは出来ませんでしたが、生ぬるい妙な感覚を味わいながら闇の奥を進むような気味悪さは読後もしばらく残りました。


9 「ティモレオン センチメンタルジャーニー」ダン・ローズ

  本書の悲劇は、作られた悲劇でありながら日常にありふれた悲劇であるところがミソですね。世の中ってこんなに残酷なんだよって、あらためて思いしらされました。でも、本書には身につまされるようなリアルさがないときてる。だから、悲惨な物語として受け入れてしまいました。後半のエピソードの数々が心に残る作品でした。


10 「コレクションズ」ジョナサン・フランゼン

  濃密な時間をすごさせていただきました。嫌な人間ばかり出てくるのがいい。そこでうまれる喜劇、悲劇にはあらゆるドラマの要素が入り混じり、自然ページをくる手は止まらなくなる。
  いつまでも親にとって子は子であり、心配の種ですね。その親にしたって、年をとればまた子にかえっていくんですけどね。永い人生の中で、様々な確執がうまれ家族という小さな社会でもあらゆるドラマがうまれる。いきつく場所は死ですが、何が正しくて何が幸せなのか、波の浮き沈みの中でその答えを出すことは出来ません。


以上です。あんまり読めなかったなぁ。来年はガンバロ!
メンテ

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Re: 2003年・ベックの年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2003/12/26 01:40
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

おおっ、やっぱりチャールズ・バクスターが1位になりますか。私たち的にも、今年はベックさんといえば、チャールズ・バクスターというイメージが。やっぱり良いのですね〜、とあらためて思ったり。来年には読まねばっ。長編も気になりますよね。
『血族の物語』も楽しくお話しさせていただいたので、印象深いですね。本当に、読む喜びを味わわせてくれる本でしたよね。ディキンスンがもっと翻訳されるといいな〜なんてことも思いつつ♪
メンテ
Re: 2003年・ベックの年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2003/12/27 12:06
名前:

うっ『シェル・コレクター』冊数の関係で泣く泣く外しちゃったんです〜。
バクスターもそうだけど、『ティモレオン』が入ってるっていうのも、なんとなくベックさんらしくて好感が持てます。うん、あれは好き嫌いは別にして、妙にあとひく本でした。
メンテ
Re: 2003年・ベックの年間ベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2004/01/03 17:52
名前: ベック

>すみにえさん
ほんと、ディキンスンがもっと紹介されればいいですね。っていうか、絶版本を復刊してくれないかな。「キングとジョーカー」どうしても読みたいんですよね・・・。バクスターは読んでソンなし。そう言いきっちゃいます!長編もそのうち読みますね。

>雫さん
「シェル・コレクター」は、堅実な一冊でした。安心して人にすすめられますね。(笑)
「ティモレオン」は、評価の分かれる作品だと思います。ぼくは、肯定派ですね。(笑)
メンテ

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