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2007年上半期・三月うさぎ(兄)のベストほんやく本
日時: 2007/07/10 21:18
名前: 三月うさぎ(兄)

山の賑わいになれば(汗)

■1位■

ウラジーミル・ソローキン 『愛』

なんの説明もない暴力と狂気とスカトロジー。コールドストーンクリーマリーで店員が歌いだすくらい唖然とします。意味を求めて読むときっと怒り出す人もいるでしょうけど、短い短編が多い(つか一発芸)なので、見かけたら立ち読み可。

■2位■

リチャード・パワーズ 『囚人のジレンマ』

「個人の意思決定は世界の趨勢に何か影響を与えられるのか?」というテーマを愚直に描くパワーズ30歳の頃(88年)の第2作。とは言え、本質的には「家族小説」で、後ろから仕出しのおばさんの笑い声が聞こえそうな場面もあるくらいのアメリカンホームドラマ。と思ったら最後に至って、すげーことになってます(笑)

■3位■

ウィリアム・モール 『ハマースミスのうじ虫』

最近のミステリよりもよほどサスペンスを感じる。際限なく繰り返されるどんでんがえしには、ちゃぶ台ひっくり返したくなる私などは、仮説=>検証=>仮説=>検証の論理的な展開がきもちよい。そして「犯人=うじ虫」が可哀想になってしまうほどの、探偵役と刑事たちの卑劣な罠。地味だけど傑作っす。

■4位■

ジョルジュ・ペレック 『美術愛好家の陳列室』

『人生使用法』の絵画小説&●●小説部分(●●は自粛)のみを取り出したという感じの中篇。すみ&にえさんの感想どおり、いちいち裏をとりながら読み出すとキリがないのですが、それが楽しい。

■5位■

ディーノ・ブッツァーティ 『神を見た犬』

ブッツァーティなんて何年ぶり。光文社古典新訳文庫で初訳もけっこう含まれている模様(でもどれが初訳かよく分からず^^;;;)。『グランドホテルの廊下』『わずらわしい男』『病院というところ』など神経質で底意地の悪い掌編がふるくなくてよい。でもやっぱ『七階』が断トツ。怖すぎ。


その他、ジュディ・バドニッツの『空中スキップ』なんかもよかったのですが、翻訳者(岸本佐知子)のエッセイ集『ねにもつタイプ』の方が出来がいいので落選(笑) 日本作家では、ほとんど翻訳小説と見まがうばかりの佐藤亜紀の『ミノタウロス』や、桜庭一樹の『赤朽葉家の伝説』など世界水準の傑作が多かったと思いました。
メンテ

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Re: 2007年上半期・三月うさぎ(兄)のベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2007/07/11 01:04
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

三月うさぎ(兄)さん、ご参加ありがとうございます♪

うわっ、1位からすごいですね、「暴力と狂気とスカトロジー」ですか。とりあえず私たちは逃げるかな。とはいえ、ちょっと気になります(笑) 『囚人のジレンマ』は私たちは下半期に入っちゃうので、とりあえずコメントを保留させていただいて、『美術愛好家の陳列室』は三月うさぎ(兄)さんもお楽しみになられたようですね。ホントに深読みを楽しめる本ですよね〜。
メンテ
2007年上半期・三月うさぎ(兄)のベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2007/07/11 23:44
名前: 三月うさぎ(兄)

コメントありがとうございます。
ソローキンは、きっと、おはなさんや坤さんあたりがお好きではないかと(勝手に想像ですが)

ひとつ重要なのを忘れておりました。

ダニイル・ハルムス 『ハルムスの小さな船』

そのソローキンに重大な影響を与えたロシア・アヴァンギャルドな作家のキュートでシュールな短編&詩集でした。西岡千晶の挿絵がばつぐんの雰囲気で永久保存版。
メンテ

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