2003年上半期・しまのベストほんやく本 |
- 日時: 2003/09/27 21:16
- 名前: しま
- 順位なし、でお願いします。
○ジークフリート・レンツ「アルネの遺品」新潮社(5月12日読了) 静けさと喪失感。静謐で温かみのあるラストがまた良かったです。 ○トレッツァ・アッツォパルディ「息をひそめて」早川書房(1月26日読了) 1960年代のウェールズのイタリア系移民地区を舞台に、5歳の少女の無垢な目を通して描かれる家族崩壊。 ○ピーター・ケアリー「イリワッカー」上下 白水社(2月18日読了) オーストラリアを舞台に現在139歳だというハーバート・バジャリーが語るバジャリー家ほぼ4代に渡る100年ほどの物語です。稀代の詐欺師の、苦味の利いた奇想天外な味わい。 ○ジョナサン・フランゼン「コレクションズ」新潮社(1月5日読了) アメリカのある一家の物語。あらゆる未整理の感情と生々しい痛み。大迫力でした。 ○ジョン・アーヴィング「サイダーハウス・ルール」上下文春文庫(3月12日読了) アーヴィングのエッセンスがそのまんま詰まったという感じの作品。 ○マイケル・フレイン「スパイたちの夏」白水社(4月19日読了) 第二次世界大戦下のイギリスの郊外。二人の少年のひと夏を、途方もなく息苦しいほどの切なさと、悪夢の如きのろのろとしたテンポで綴られてます。 ○マリーズ・コンデ「生命の樹 あるカリブの家系の物語」平凡社(5月25日読了) 二十世紀を通じて、一つの家系の四世代に及ぶ苦味に満ちた物語・・・なのに、不思議に大らかな明るさがあるんですよね。 ○ベルナール・ヴェルベール「タナトノート 死後の世界への航行」NHK出版(6月17日読了) 真摯な態度で「死後」という深いテーマを扱ったエンターティメント。 ○ラーゲルクヴィスト「巫女」岩波文庫(2月28日読了) 薄い文庫本ですが、半端じゃなく重い価値があったと思います。 ○フアン・ルルフォ「燃える平原」書肆風の薔薇(3月4日読了) 一篇一篇が極限までに贅肉を殺ぎ落としたストイックな作品。メキシコの痩せた農地につちかわれた強い精神を感じます。
番外 山田風太郎「自来也忍法帖」文春ネスコ(4月8日読了) 「忍法乳しぼり」・・・だっ誰も山風には勝てない。
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