2006年・ぱらんの年間ベストほんやく本 |
- 日時: 2007/01/30 22:57
- 名前: ぱらん
- 迷ってるうちにもう1月も終わりかけ。遅くなりましてすみません。
★1位『秋の四重奏』(バーバラ・ピム)
ほとんど話題にもなってなかったようなのですが、上質なユーモアに満ちた可笑しくも愛すべき登場人物に共感しきりです。自分の老後もこんなかも?と思うとなにやら笑みもこぼれてきて、年をとるのも悪くないかもと思えました。
★2位『1941年。パリの尋ね人』(パトリック・モディアノ)
上半期から引続きですが、やっぱりはずせませんでした。
★3位『ある人生の門出』(アニータ・ブルックナー)
1位のピムもそうなんですが、英国女流作家って何か私の心にストンと落ちるというか、読んでて努力なしに入っていけるところがあるんですよね。ピムとどちらを1位にしようか迷いましたが、結局あちらに。「秋のホテル」以外も順次読み進めていくことにしました。
★4位『緋色の迷宮』(トマス・クック)
いつもレベルの高いクックの新作。私のなかでは「死の記憶」が最高なんですが、こちらも心理描写が際立ってます。よくサスペンスドラマなどにありそうな身近なものに次々と疑惑をつのらせていく男が主人公ですが、今回もじっくり酔わせてくれました。
★5位『溺れる人魚たち』(ジュリー・オリンジャー)
これが処女作?らしい短編集ですが、手ごたえ充分、どれも今後期待できそうな予感を充分感じさせます。
★6位『風の影』(カルロス・ルイス・サフォン)
いまだに書店に平積みされています。反響すごかったんだなぁと当初読者層が限定されてしまいそうな内容だっただけにまだまだみんなこういう内容もOKなんだと感心した作品。4部作とかという話もあったけど、ぜひ読みたいです。
★7位『イラクサ』(アリス・マンロー)
上半期とても注目されてたので遅ればせながら読んでみました。故郷や昔の知合いに拒絶反応をおこすヒロインがよく登場するのがちょっと気になったので、う〜んと迷いましたが「人魚たち」に上位を譲る結果となりました。私としては70代にもなれば故郷にはそれ相応の感傷や許容があってもいいかなと思ったもので。それ以外は満足です。
★8位『結婚のアマチュア』(アン・タイラー)
これもはずせないですね。年間ベストというとどうしても上半期に読んだものははや印象が薄れかかってくるのですが、個人的にはマンローより好きかも。
★9位『天使の鬱屈』(アンドリュー・テイラー)
これは実は3部作らしく残りの2作も読んでみた結果かなり凝った構成になっていることがわかりました。3部作として読んでもよし、どれか1作だけでも話としては完結しているのですが、すべてを通して読むと「エンジェル」がなぜこうなったかがとてもよく判ります。なんというか一種の成長物語にもなっていて(悪い方向にですが)、そこに2家族の物語も絡んでくる、そして3作を通してのモチーフ「天使」というものが常に存在するという多方向からのアプローチが可能です。ほんとは3作をまとめて挙げたかったんですが、ちょっとどうかわからなかったのでとりあえず一番よかったと思う本作を代表としてあげさせてもらいました。
★10位『渇いた季節』(ピーター・ロビンスン)
シリーズものの1作のようですが、単発作品としても充分楽しめました。この作家もこれから制覇していくリストに追加です。
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