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2006年・”チルドレン”わかばの年間ベストほんやく本
日時: 2007/01/06 15:16
名前: わかば

 ベスト投稿は初めての、自称”チルドレン”わかばです。
 チルドレンというのは、今年の頭にこちらのサイトへ伺って、突然ほんやく本読書に目覚めたので、すみにえ様はじめ皆様のチルドレンという意味で、勝手に名乗っております。
 こちらに投稿できるほどの読書はしていないので、恐縮しながら、でも、すみにえさんに今年色々刺激をいただいたので、お礼の意味をこめて、投稿したいなと思いました。
 では、今年衝撃を受けた本(作家)、10選です。

★1.ジャネット・ウィンターソン「さくらんぼの性は」
   この他に「オレンジだけが果物じゃない」「ヴェネツィア幻視行」「永遠を背負う男」を読みました。一応「さくらんぼ〜」の名前を出しましたが、全部あわせて、ジャネット・ウィンターソンに一票。
   今年最大の収穫の一つはこの作家さんに出会えたことでした。生い立ちも状況も彼女とは全く違う私ですが、自分の一番深いところに、肉声で語りかけられたような、なんともダイレクトな刺激を受けました。
   離陸する瞬間を全く感じずに飛び立つ感覚が、この人ならではと感じました。「永遠を〜」では、詩的な部分がより深まって、安心して身を委ねてしまいました。レズビアン系?は未読なので、そっちもどんな感じか経験してみたいと思ってます。
   
★2.アニー・プルー「ブロークバック・マウンテン」
   この他に「オールド・エース」を読みました。こちらも合わせ技で、アニー・プルー女史に一票。
   「ブロークバック〜」も、ウィンターソンとは違う意味で、ものすごい共感して、読後数日くらくらしていました。「オールド・エース」を続けて読んで、やっと少し立ち直れた感じです。間をあけてから…と思って未読の「シッピング・ニュース」も近いうちに読みたいです。そして他の作品もバンバン出版して欲しいですね。(読む速度が追いついてませんが)

★3.エリオット・パティスン「頭蓋骨のマントラ」
   この他に「シルクロードの鬼神」も読みました。「シルクロード〜」の方をあげようかと思いましたが、最初の衝撃を思い出して、「頭蓋骨〜」を。
   単純に好み。そして、無知な私にチベット問題への入り口を作ってくれたことへの感謝で。少数民族、先住民族の在り方や文化に関心があるので、こういう目線の小説(しかもエンタメ)は本当にありがたいです。
   
★4.ヤン・マーテル「パイの物語」
   第一章だけでもかなり深いのに、あの第二章があり、そしてあの第三章がある。その仕掛けに感服。でもその仕掛けだけじゃない深さ(第一章がかなり好きなのです)。他の作品もぜひ読んでみたいです。(宗教が入り混じる話も好き)

★5.アゴタ・クリストフ「悪童日記」
   その他、「ふたりの証拠」「第三の嘘」も読みました。が、この方は、すみにえ様も仰るとおり、断然1冊目ですね。「悪童〜」は文句なしに面白かった。私は、こういう本こそ10代の人が読んだらいいんじゃないかと思うんですが、薦めにくいですね(笑)。でも、そういう時期に出会ったら、よりビビッドに感じるものがあるのではないかと思いました。

★6.ドストエフスキー「罪と罰」
   古典はここ数年少しずつ読んでいるのですが、今年はこれ。面白かった!!もっとしかつめらしい話かと思っていたら、半分コメディーのようにも感じる怒涛の展開。私はラストが好きだったんですが、この辺の解釈は難しいのかな〜。他の本もどんどん読みたいと思ってます。
   大島弓子(漫画家)が、「罪と罰」を漫画化した「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」も、探して読みましたが、これも素晴らしかったです。70年代の少女漫画は、近代文学の影響を受けてるよなーと改めて思いました。
   
★7.イヴォ・アンドリッチ「ドリナの橋」   
   唯一こちらにない本かな?旧ユーゴ好きなので、読んでみたいと思っていた本。評判どおり素晴らしかった。橋が主役の年代記。この方の本ももっと読みたいと思ってます。
   
★8.セルゲイ・ドブラートフ「かばん」
   この他に「わが家の人びと」を読みました。どちらも面白かった。こういうノリ?の本がもっとあったらいいのにな、と思う本。人間どうしようもなくなると、笑うしかない、みたいな感じ。私の知りたいロシアがここにありました。
   
★9.ミロラド・パヴィチ「ハザール事典」
   この本は、じゅうぶん味わえた自信はないのですが、この本に出会えて、読めただけで幸福でした。手元において、読み返したい一冊です。これも宗教がクロスしていますね。

★10.オルハン・パムク「わたしの名は「紅」」
   これは、文体がかなり引っかかって読みにくく感じながらの読書でしたが、その読みにくさも含めて、異世界を旅した感が大きかった一冊でした。「雪」も近いうちに。

次点1:エリック・マコーマック「隠し部屋を査察して」
   この手?の本が好きだとは思ってなかったのですが、読んでみたら大好きだった。その気づきに一票。先日の竜巻のニュースを見ながら、これが刈り跡ならいいのに、なーんて思っていた不謹慎な私でした。

次点2:ウーヴェ・ティム「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」
   これこそ映画化したらいいのにって思います。いや、しなくてもいいですけど。すごくビジュアルが浮かぶ上、食べ物がテーマなところが好き。私なら、聞き手の青年と、あの脱走兵を同じ役者でやるな(笑)。

次点3:ダニエル=フィリップ・メイソン「調律師の恋」
   バッハと、ビルマの山奥というビジュアルにやられました。植民地主義にOKじゃない英国人がいたことも嬉しかった一冊でした。

 以上です。
 若輩者ですが、おかげさまで、一年濃い読書ができました。
 2006の新刊はほとんど読めていませんが、2007は、そういうのもトライしたいと思ってます。
 正直、本は図書館まかせなので、人気のある本が読めないのです。「わたしを離さないで」も読みたいんですが、が読める日はいつになるか(苦笑)。
 こんな、貧しい私ですが、本年も、よろしくお願いいたします。
メンテ

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Re: 2006年・”チルドレン”わかばの年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2007/01/07 00:24
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

わかばさん、ご参加ありがとうございます。
ジャネット・ウィンターソンが1位ですか、私たちも特別な思いのある作家さんなので、嬉しいです。おっしゃるとおり、深いところで共感できる作家さんですよね〜。2位のアニー・プルーも嬉しいなあ。ジャネット・ウィンターソンはまさに「女」だけれど、この方は知らないと男性作家かと思っちゃうようなところがありますよね。ホントに、もっと邦訳出版されてほしいですっっ。他も私たちにとって思い入れ深い小説ばかりなんで、私たちの読んでいない「ドリナの橋」、気になります〜。
メンテ
Re: 2006年・わかばの年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2007/01/07 22:45
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv05/drina.htm

わかばさん、明けましておめでとうございます。
 すみさんにえさん同様、ウィンターソンや『ハザール事典』などわたくしにとっても思い入れの深い作品が並んだベストテン+αですねー。とりわけ『ドリナの橋』のランクインは、今ではあまり読まれなくなったかなと寂しく思っていたので、嬉しい限りです。中欧・東欧の作品(あるいはロシアも含めて)の中には、まだまだ紹介されていない素晴らしいものが埋もれているのかもしれませんね。
メンテ
Re: 2006年・”チルドレン”わかばの年間ベストほんやく ( No.3 )
日時: 2007/01/10 22:03
名前: わかば

すみにえさん、坤さん>
コメントありがとうございます。
投稿しっぱなしにしておりました(^^;
皆様のベストテンにコメントできるほど読書していないので、恐縮です。
でも嬉しいです(^^)
ウィンターソンは文体にまで惚れこみました。訳も素晴らしいのだろうな、と思います。
アニー・プルーは読む冊数が増えるほど、全体像が見えてきそう。もっと読みたいですよね。
アンドリッチは、旧ユーゴ好きならやはり読んでおかねばと思い読みましたが、予想以上に素晴らしかった。この方の他の本も少しずつ読んでいきたいと思っています。
「ハザール事典」も「ドリナの橋」も3つ(正教とカソリックで4つ?)の宗教が入り乱れるのは、バルカンならではと思います。この地域の本には、これからも注目したいです。
メンテ

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