このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
2006年・坤の年間ベストほんやく本
日時: 2007/01/02 15:04
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp

すみさんにえさん、みなさま、あけましておめでとうございます。日本のお正月と言ったらやっぱりこれは外せませんよねーっということで、吉例昨年度年間ベストの発表でございます。わたくしの昨年年間読書数は50編と例年よりもかなり少なかったのは、もちろん例の大物の影響なのですけど、その波及効果で特に後半からは新刊本よりも古典に軸足を移しつつあり、今年もその傾向は続きそうです。もはや併走どころかお二人の後ろ姿も砂塵の彼方ということになりそうですが、まー適当におつきあいください。
 ということでベストテンですが、★4つ(琴線本)はプラトーノフだけでしたけど、さすがに古典ものはハズレというのはありませんから順位付けには迷うところもあり、あくまでも個人の好み優先で選んでおります。

■1位■
「プラトーノフ作品集」 アンドレイ・プラトーノフ 岩波文庫 (1992)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/dyan.htm
 収録作「ジャン」は、人間が自分たちの作り出した幻影に縛られすぎていることを教えてくれます。H2さんもご推薦。
■2位■
「兵士シュベイクの冒険」 ヤロスラフ・ハシェク 筑摩書房 (1962)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/svejka.htm
 軍隊生活の雑談やエピソードをつなぎあわせて適当に書いたように見せかけつつ、かなりしたたかな構想が次第に明らかになってきます。戦争の愚昧さを笑いの中に描き出す手法の先駆的作品とも言えるでしょう。
■3位■
「荒涼館」 チャールズ・ディケンズ 筑摩書房 (1970)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/bleakhou.htm
 登場人物の造型、作劇のたしかさはさすがですね。特に本作品は質量ともに中期の代表作。
■3位■
「プニン」 ウラジーミル・ナボコフ 新潮社 (1971)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/pnin.htm
 悲痛なユーモアの中に、亡命者の不安が満ちてゆきます。ナボコフのアメリカ観が垣間見えるようです。
■5位■
「ジョゼフ・フーシェ」 シュテファン・ツヴァイク 岩波文庫 (1979)
 天性の裏切り者、二股膏薬、曲者と呼ばれたフーシェの、命をかけた「悪戯」に惹かれます。人物が複雑なだけに、同著者の『マリー・アントワネット』よりもおもしろく感じられました。
■6位■
「コレラの時代の愛」 G・ガルシア=マルケス 新潮社 (2006)
 おっと珍しく今年の新刊がっ。感想などはまだ書いておりませんが、老いてなお滾る熱情はさすがというところ。
■6位■
「シルヴェストル・ボナールの罪」 アナトール・フランス 岩波文庫 (1975)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/bonnard.htm
 淡々としたタッチ、老成したユーモア、それが「出世作」というんだからねえ。
■8位■
「魔の山」 トーマス・マン 岩波文庫 (1961)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/zauber.htm
 大真面目にもかかわらず背後に哄笑が響き、哲学的にて卑俗である。まったくヨーロッパ文学は、一筋縄では行かないことを思い知らされます。
■8位■
「果てしなき逃走」 ヨーゼフ・ロート 岩波文庫 (2006)
http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/flucht.htm
「彼ほど余計な人間はこの世にいなかった。」最後のこの一文に向かって、永遠の逃亡者は放浪を続けます。
■10位■
「風の影」 カルロス・ルイス・サフォン 集英社文庫 (2006)
 これも珍しくお二人との共通本。二世代にわたる憎悪が内戦によって増幅され、犯罪を生むというスリリングな展開には唸らされましたよねー。
メンテ

Page: 1 |

Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2007/01/03 16:14
名前: おはな

おめでとうございます。今年もよろしくデス。
それにしても、古い名前がずらずら〜っと並んでますね。そして最後にいきなりツボを抑えられて「風」と来たかっ。しかし坤さんが読まれている古典の数々、私もかなり積んでるけど知らんわ〜というものがいっぱいあります。参考にさせて頂きます。
メンテ
Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2007/01/03 21:59
名前: 海ねこ

まあ!さすが坤さま!著名な古典の数々〜 タイトルも著者名も知っているのに、なぜかまともに読んだことのない作品ばかり..。とほほ〜 かろうじて最後に『風の影』を見つけてほっとしています。
メンテ
Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2007/01/04 20:12
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/06.htm

>おはなさん、謹賀新年です〜。
 今更ながらの古い物発掘回帰の中に、ちらちらとナボ様の姿が見えているのに気づかれましたかなっ。ベストテンには入らなかったものを含め、昨年はナボコフ作品を3冊も読み進めてしまって、残る資源の限られたことを思うとなんだか惜しいような気もいたします。これもおはなさんのご推薦のおかげですが、スパークさんのほうはほとんど手つかずで…。しかし選外上位の本では『皇帝乳歯』はじめ、おはなさん関連がけっこう多かったですぜい。

>海ねこさん、こちらでもおめでとうございます。
 ここんとこ、読書傾向がほとんどめざせダリ猫さん状態となっている坤でございます。気になる新刊も多いのですけど、いったん山崩しを始めますとこれがなかなか手強くて深みにはまりこんでおります。時たまシッポを垂らしていただければ引き上げられ…と見せかけて、えいっとこっちに引きずり込んだりして。
メンテ
Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.4 )
日時: 2007/01/06 01:46
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

坤さん、あけましておめでとうございます、ご参加ありがとうございます♪
「プラトーノフ作品集」1位ですか。こりゃやっぱり読まないといけませんね。2位の「兵士シュベイクの冒険」はずっと気になっていたんですが、これまた読まないといけませんね〜。あーなんか、見ているうちに「魔の山」のあの空気の感じを思い出しました。なんかものすごく、空気を感じる小説でしたよね。大気と言ったほうがいいのかな。とにかく今にして思うと、それが一番印象深いような(笑)
とりあえず、「コレラの時代の愛」と「風の影」という共通項があってよかったです。エンタメの「風の影」ぐらい頑張ってくれると嬉しいランクインとなりますよね〜。
メンテ
Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.5 )
日時: 2007/01/08 23:41
名前: ぎんこ
参照: http://park8.wakwak.com/~yawa/

坤さん、あけましておめでとうございます〜
「ジョゼフ・フーシェ」ぜひ読みたい!「マリー・アントワネット」も私は面白かったです。ツヴァイクの伝記小説って結構どれも面白そうなので今後も読んでいきたいのです。さっそく注文してきます!
メンテ
Re: 2006年・坤の年間ベストほんやく本 ( No.6 )
日時: 2007/01/09 21:34
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv06/06tan.htm#0

ぎんこさん、本年もよろしくお願いいたします。
 わたくしの読んだ『マリー・アントワネット』は岩波文庫版で、ロココ風というよりは玄宗皇帝と楊貴妃を思わせるような古式ゆかしき訳文で、いまいち乗れなかったのでした。「ジョゼフ・フーシェ」は同じ訳者なのですけど、こっちのキャラは大いに皮肉たっぷりな複雑人間なので訳文がマッチしているというわけで、大変おもしろく感じられました。ほんやく本というのはやはりいろんな要素がからみあうところも魅力ですね。
メンテ

Page: 1 |