このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
2006年・epiの年間ベストほんやく本
日時: 2006/12/27 19:57
名前: epi
参照: http://epi-w.at.webry.info/

はじめまして。epiと申します。
いつも楽しく拝読していましたが、投稿は初めてです。
2006年は、イシグロもパムクもガルシア=マルケスも読まずに過ごしたので、ちょっと浮いた感じのリストになってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
母数が少ないのでベストというよりは印象に残った本を5冊プラス1ということで…。順位はつけられませんでした(^^;)


●ギッシング『ヘンリ・ライクロフトの私記』

貧乏作家が、ささやかながら生活の心配のない程度の遺産を受け取り、イギリスの田舎にひきこもって日がな一日好きな本を読んだり、近所を散歩して四季の移ろいを楽しんだり。ことに、本への熱烈な愛には胸を打たれました。大好きです。


●ミシェル・ウエルベック『素粒子』

文庫化を機に読みました。
「格差社会」といわれて久しいですが、高度に発展した資本主義社会は、経済面のみならず快楽面(性愛面)での格差も拡大させているのでしょうか。
一部、人種差別的、優勢思想的な部分には反感も覚えましたが、それも著者の計算のうちでしょう。ラストも含め、これは本当にツボでした。


●ロバート・J・ソウヤー『ターミナル・エクスペリメント』

これは面白かったです。面白い小説の特徴は、読んでいて元気が出てくることだと思うのですが、本書はまさにそういう小説でした。終盤で示されるヴィジョンには、ああもし本当にそうだったらどんなにか素晴らしいだろうと感動しました。


●トゥルゲーネフ『初恋』

古典新訳文庫の一冊。同じ1860年代のロシアで書かれた大交響曲的な「罪と罰」や「戦争と平和」と比べると、こちらは愛らしいピアノ小品といったところでしょうか。沼野恭子さんの翻訳によって、やわらかく、みずみずしく生まれ変わった新しい「初恋」は、わたしの一生の財産です。人生最後に読む本を選ぶならこの小説です。墓場まで持っていきます。


●ジョン・ファウルズ『コレクター』

怖くて怖くてたまらないのに、続きを読むのを止められなくて一気に読んでしまいました。夜、暗いところで一人で読むのはよしたほうがよいかと思われます。ファウルズは絶版が多くてがっかりな作家です。


おまけ
●デール・カーネギー『人を動かす』

今更読みました。小説ではないので別枠で。
本書を安易なハウツーの書かれた自己啓発本としてのみ見て、読むのを避けていたのはもったいなかったと後悔。実はきわめてすぐれた人間洞察の書でした。
人生の成功なんて汚らわしい、生活なんてものは召使に任せておけ、と高雅な文人気質の方ならおっしゃるかもしれませんが、そもそも本を読んだくらいで成功できたら人生苦労はありません。そうではなくて人間心理のケース・スタディとして面白く読めました。人間関係は良好に築ければそれに越したことはないでしょう。


個人的には光文社が古典新訳文庫を刊行させたことが今年いちばんの出来事でした。来年は今年以上によい本に出会えたらいいなあ。そして来年こそ「百年の孤独」を読みたいと思っています。

では、すみ様、にえ様、そして皆様、どうぞよいお年をお迎えください。
メンテ

Page: 1 |

Re: 2006年・epiの年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2006/12/28 00:46
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

epiさん、はじめまして、ご参加ありがとうございます♪
おおっ、私たちが読んでるのはジョン・ファウルズ『コレクター』だけですよ、あとは未読の本ばかり、参考になりますっ。
ギッシング『ヘンリ・ライクロフトの私記』はとくに気になります。ご紹介いただいた内容だけでも憧れまくっちゃう。いいですね〜。ミシェル・ウエルベックの『素粒子』は読む予定にはしてあるんですけどね、いつ読むんだか(笑) 2007年中には読みたいところです(^^;)(^_^;)

光文社の古典新訳文庫の創刊はホントに嬉しかったですよね。ハヤカワさんも来年には良い感じのレーベルを始めるみたいだし。このところ、好きな傾向の本の動きが活発になってきているので、本当に嬉しいことばかりですよ。来年もいい年になりそうですよね。あ、『百年の孤独』はぜひぜひ♪

epiさんも良いお年を。そして来年も楽しく本のお話しをしてくださいね〜。
メンテ
Re: 2006年・epiの年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2006/12/28 19:45
名前: epi
参照: http://epi-w.at.webry.info/

>すみさん、にえさん

こんばんは。コメントありがとうございます(^^)
『素粒子』はよかったですよ、やりきれなさが(笑)切ないというか何というか。一月に読んだのですが印象薄れませんでした。

海外小説の新シリーズがいろいろと始まるのはとっても楽しみですよね。ただ、財布の中身が心配という複雑な心境にも…(^^;)

「百年の孤独」は新装版も出たし、これを機に読んでみます。今さら? とか言われそうですが…
来年も、よろしくお願いします。
メンテ
Re: 2006年・epiの年間ベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2007/01/08 02:50
名前: おはな

epiさんこんにちわ!「本読み‥」でご一緒しているおはなです。
ファウルズの『コレクター』は私も夢中になって読みました。異質な恐さですよねぇ。あぁいうのを書ける人は掛け値無しの変態だと思うのですが‥続いて『マゴット』を読んで、うん、やっぱりちょー変態だと思いました(笑)。
ウェルベックは同じく私も文庫化を機に読もうかと。どうやらとても素晴らしい作品のようですね。読むのが楽しみです。ギッシングは、ほんとそそられますねぇ。訳違いツルゲーネフも興味津々です。そろそろ私もあのシリーズを買いはじめようかなぁ。
メンテ
Re: 2006年・epiの年間ベストほんやく本 ( No.4 )
日時: 2007/01/08 22:00
名前: epi
参照: http://epi-w.at.webry.info/

>おはなさん

こんばんは。コメントありがとうございます。

>掛け値無しの変態
>やっぱりちょー変態

それは、最上の賛辞ですねえ。ファウルズも狂喜すると思います^^
「マゴット」は分厚さに恐れをなしてまだ読んでいません…。昼寝の際に枕代わりにしています。よく、変な夢を見て目が覚める理由が、おはなさんのご指摘でやっと分かりました。

>ギッシング
これは「チャリングクロス」の小説版とも読めそうです。主人公は食事を我慢してまで古書を買うという乙な人物でした。

今年もよろしくお願いします。ディープな作家のご紹介を楽しみにしています^^
メンテ

Page: 1 |