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2003年上半期・mopsaのベストほんやく本
日時: 2003/07/05 13:59
名前: mopsa
参照: http://granola.jfast1.net/

ふりかえってみると、余り冊数をこなしていないことに気づきます。
どうしようもないので、1月〜6月から前後1週間ほど範囲を広げさせてもらって選びました。

1:『昏き目の暗殺者』マーガレット・アトウッド
主人公の人生回顧と、作中作であるSF小説を折り重ねる端正な構成。
何気ない穏やかな顔をしておいて、内包しているテーマは衝撃的なものでした。
どんな人間にも悪意はあって、いつ魔がさしてもおかしくない。
自分も無意識に人を傷つけているんじゃないか?と胸が重苦しくなりました。

2:『半身』サラ・ウォーターズ
孤独な老嬢に美貌の霊媒、特異な構造の監獄と、雰囲気を満喫した作品。
文庫なので気負わずに読め、期待以上の面白さ。イヤな気分にさせてもらいました。

3:『航路』コニー・ウィリス
科学を扱っていても、人間くさくあたたかいところが好きです。
大勢でガヤガヤ、ドタバタした末に、「まさか」と思わせる急展開。
かなしみのうちに広がる静謐な曙光。眼底にジーンワリきました。

4:『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ
『めぐりあう時間たち』のおかげで再発見できました。
戦後のロンドンの空気の煌めきというか、高揚感が伝わってきました。
主人公の揺れ動く心情を追う描写の細やかなこと、神経が参りそうでした。

5:『侍女 エリザベス・B・ブラウニングに仕えた女性』マーガレット・フォースター
知らざるを知るのも読書の醍醐味。イギリスの召使文化は奥深いです。
一心同体な時代もあった主従が、主人公が自分の幸せを求めはじめてから諍いと妥協の連続。
女どうしで、ここまで深く、激しく、長期間に渡って関われるのは稀なことかも知れません。

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はからずも女性作家ばかりになってしまいました。
ジットリネッチリな「女の情念」を読みたがる傾向、今後もきっと変わらないかな。
メンテ

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Re: 2003年上半期・mopsaのベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2003/07/05 21:26
名前:

そうそう、女性作家が描くジットリネッチリ女の情念、私もこの頃開眼しちゃって(笑)
『半身』も最初、候補には挙げたんですけどね〜、最後があっけなくてボツになっちゃいました(笑)でもあの監獄の妖気には圧倒されてしまいました。

『めぐりあう時間たち』と『ダロウェイ夫人』、一見mopsaさんと私では逆みたいですが、結局同じこと言ってるんですよね。ただ私は、『ダロウェイ夫人』単独で読んだ時、あまり理解できてる感じがしなくて、『めぐりあう時間たち』を読んだ時に「ああ!」という感じで『ダロウェイ夫人』の美しさが蘇った感じに、感激してしまったのでした。
メンテ
Re: 2003年上半期・mopsaのベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2003/07/06 00:34
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

ま〜、きっちり女性作家ばかりですね。ジットリネッチリ同盟の構成員としては、頭が下がるばかりです。んで、むひ、とりあえずアップがまだのが1冊ありますが、私たちも全部読んだ〜と言えそうです。
やっぱりアトウッドが1位ですか。うっ、さんざん騒いでた身としてはうしろめたい(笑) 個人×2的には『航路』が入ってるのがうれしいですね。1位にしてから、なんか黙殺されてるっていう感じがヒシヒシとしていたもので(笑)
メンテ
Re: 2003年上半期・mopsaのベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2003/07/07 10:27
名前: mopsa

>雫さん
そうかー。『ダロウェイ夫人』を先に読んだがために、『めぐり合う時間たち』を必要以上に評価できなくなってしまったかも。言葉は悪いのですが、「劣化コピー」のような気がしてしまったのでした。でも『ダ』の高評価の裏には『め』があるということで、雫さんのおっしゃるとおりですね。

>すみにえさん
アトウッドは、小説のテーマになりづらそうなありふれた過ちを、あれだけの分量を割いて物語り、胸にグサッと来るものを仕上げた、力作賞ですね。
『航路』、好きですよー。娯楽作品としてニヤリとする部分もあり、教養も得られ、ジーンと感銘も受け。人間の脳の深遠に思いを馳せました・・・。
メンテ

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