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2005年・チンタローの年間ベストほんやく本
日時: 2006/01/21 13:49
名前: チンタロー

このところ翻訳本からちょっと遠ざかっている私ですが、せっかくの機会なので参加させていただきます。
2005年はまだ読んだ方ですが、常連の皆さんと比べて圧倒的に数も少ないのでベスト5ということにしておきます。読んだ順で書きますと、

☆白鯨(ハーマン・メルヴィル)
 言わずと知れたアメリカ文学の傑作ですが、ようやくこの年(年齢のこと)で読了できました。壮大なスケールと薀蓄の数々、汲めども尽きぬメタファーの海といった、やはり読んでよかったと思える小説ですね。イラストも池澤夏樹氏の言うとおり、雰囲気がぴったりでした(岩波文庫)。

☆ポンペイの四日間(ロバート・ハリス)
 古代ローマ世界、水道橋、火山の噴火との三題話が私にとっては応えられないお題目で、小説としての完成度も高く、すっかり満足しました。アメリカではベストセラーになったみたいで、翻訳が出る前は丸善の輸入書のコーナーで原書が平積みされていました。

☆長い日曜日(セバスチャン・ジャプリゾ)
 映画を見てから読んだのですが、物語の構成がきっちりしていて登場人物がしっかり書き込まれており、映画と併せて二度美味しいという満足できる結果でした。健気なマチルドに乾杯!です。

☆彼方なる歌に耳を澄ませよ(アリステア・マクラウド)
 皆さん絶賛のカナダの小説ですね。寡作な作者の骨太な物語。時代に取り残されているような、貧しいけれども自然と共にたくましく生きている人々を描く眼差しに共感を抱きながら読み終えることが出来ました。

☆ペルシアの彼方へ(ノア・ゴードン)
 暗黒といわれた中世はヨーロッパのことであって、当時のイスラム世界がいかに医学などの分野で進んでいたかということをまざまざと教えてくれた素晴らしい小説です。何せ、もうペルシアでは白内障の手術が行われていたということですからねぇ、驚きです。主人公が波乱万丈に活躍する物語には、全く飽きることがありませんでした。

というところで、番外編を一つ

★ひとつの町のかたち(ジュリアン・グラック)
 小説ではないので番外編ですが、我が偏愛の「シルトの岸辺」の作者が少年時代を過ごした町ナントを巡って語られるエッセイといいますか、町そのものを語っている本ですね。ナントというフランスの地方都市を語りながらも、ある意味で作者の精神遍歴ないしは精神形成が語られている、そんな内容の本です。自分としては、「シルトの岸辺」に出会ったのが32年前ですし、グラックはもう小説を書いていないので過去の人の様に思えていましたが、この本で90歳を越してまだまだ健在ということを知り、驚いたような次第です。都市ローマのことを書いた本もあるようなので読んでみたいですね。


メンテ

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Re: 2005年・チンタローの年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2006/01/22 23:59
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

チンタローさん、ベストご参加ありがとうございます。

おお、一番最初に「白鯨」が来てますね〜。やっぱりこう名作って読んで並べてしまうと、他を圧する魅力があるものなんでしょうね。
他の4つは私たちも好きな本なので、うんうんと嬉しく頷いちゃいますね。「ペルシアの彼方へ」はもっともっとスポットを浴びても良かったですよね。あの力作が、文庫本でサラッと流されて終わってしまうのは納得がいかな〜いっ。
メンテ
Re: 2005年・チンタローの年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2006/01/23 22:35
名前: チンタロー

最近は名作の新訳、改訳が目白押しなので、いわゆるクラシックを出来るだけ読みたいなと思っています。人生のターニングポイントを既に超えているので(笑)。青春時代にはどちらかというとミステリー、SFに走っていたので(昨今のブームには何だか嬉しいような、懐かしいような)、意外と文学青年・文学少女が読むはずの世界の名作文学を読んでいないのですよ。まぁ、人生経験が深まらないと味わえない作品もありますので、と強がりを言っておきましょう。
メンテ

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