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2005年・おはなの年間ベストほんやく本
日時: 2005/12/29 04:15
名前: おはな
参照: http://www.geocities.jp/hana3baba3

この度は私速攻で書かせてもらいます。
考えれば今年はとにかくナボまみれになった年でありまして、この人の作品は初読再読関係なく、読む度大きな感銘を受け、おまけにナボ関連書とかナボ論をあたるだけでも面白くて、もうナボは限界知らずっ。しかし、ならば私はそれ以外の本は読んでいないのか?とこの深夜にふと我が身を顧みれば、あぁ甦る記憶の数々‥。
論系はなしで小説のみ、新旧は問わずも再読と新訳は考慮に入れず(だから『ロリータ』は入れないの)の、きっぱりとした態度で臨みますっ。

1位:ゲオルギウ『二十五時』
何をさておき、出会えてよかった古書のトップです。とにかく私には衝撃的な作品であり、直接の力と悲しみと幻想が渾然一体に混じりあう境地を、多くの人に知ってもらいたい。少しイビツな面もありますが、それもこの作品の魅力の一つとして捉えてます。

2位:ナボコフ『ナボコフ短篇全集1&2』
短篇嫌いがすっかり治りました。おかげで今は短篇大好き。ナボの魅力の全てが凝縮されています。よく短篇で言う「オチ」を超越した世界の広がりはすごかった。こんな短編集はどこにもないし誰にも書けないでしょう。機知と美の饗宴なのです。

3位:プルースト『失われた時を求めて』
今でもこれを読んでいた時の自分の姿を思い出します。破格であるという言葉の重みをまざまざと見せつけながら、決して重苦しくはなく、いつまでもこれが続きますようにと願う私がそこにあり。
でもさ〜やっぱり長かったよ。他にも読みたいものがあるしなぁ、うぅ人生ってなんて短い‥。

4位:ミュリエル・スパーク『ミス・ブロウディの青春』
これぞスパーク小説の華でありましょう。きゃぴきゃぴ少女のまぶしさとその裏に広がる真っ暗な深淵。スリルですねぇシャープですねぇ。1冊の中に実に見事に何かを封じ込めた作品だと思います。

5位:W.G.ゼーバルト『移民たち 四つの長い物語』
悲しい死者たちの甦りがこのような物語になるとはっ。喉元まで出かかった言葉をのみ込んだような言わず仕舞の寂しさで小説の快楽を実現する、これも一種の魔的な作品の一つではないでしょうか。

6位:キリル・ボンフィリオリ『深き森は悪魔のにおい』
有名な絶版高額古書だからキワモノと思いがちだけど、この作品の面白さは異次元めいています。ゆるくてアホめき、しかしウッドハウス的な機知と整然としたこの品格はナニ?
この不思議な感覚は読んでおいて損はないはず。だから私もこのように忘れられないのです。

7位:トルストイ『イワン・イリイッチの死』
ぐだぐだ言わずにお読みになってと言いたいぶっち切り古典の一つです。素晴らしいですよ。

8位:アントニイ・バークリー『試行錯誤』
手練の技としか言い様がありません。

9位:ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』
「青いおちり」の魅力は侮り難かった。郷愁を覚えるのもよし一緒になって遊ぶもよし。この1冊で旗頭になってしまったゴンブロ、分かるなぁ。

10位はなしです。
惜しいという点で、ヘーレン・ハンフ『チャリング・クロス街84番地』は実際の書簡なので考慮外となり、ベルニエール『コレリ大尉のマンドリン』はあのラストでなかったらきっと10位を飾ってくれたことでしょう。

(昨年のベスト本と今年度上半期の私の書き込みは少し重複してる部分がありました。記憶が入り混じっちゃって‥慌て者でごめんなさい)
メンテ

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Re: 2005年・おはなの年間ベストほんやく本 ( No.1 )
日時: 2005/12/29 21:05
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp

おっ、忘れぬウチにやるべきことはやろうとするお姿、見習わねばなりませんねー。
 堂々のトップ『二十五時』、これはもうむかしむかし号泣しちゃったのですけど、復刊も期待できないし、まあ伝説の感動本ということで忘れ去られる運命なのでしょうか。
『ナボコフ短編全集』は実はわが本棚にも堂々燦然凛然と輝いて存在しております〜。まー、いずれぼちぼちということで。ぷるぷるはもう冬休みの宿題という方もおられますが、わたくしは人生の最終段階特別補修あたりでどうかなーということで。それより第9位の「青いおちり」、これをベストに入れる眼識はさすがです、というか勇気があるというか。
メンテ
Re: 2005年・おはなの年間ベストほんやく本 ( No.2 )
日時: 2005/12/29 23:13
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

おはなさん、ご参加ありがとうございます。
わ〜、さすがおはなさん、1位から私たちの読んでない本だ!(笑) 『二十五時』、それほどなのですか。復刊されないかなあ。最近は復刊されないと思った本も復刊されたりしますからね、ちょっとは期待しておこう。ついでに『深き森は悪魔のにおい』もなんとかならないかな〜。3位のコメントには、ううっ(笑)
メンテ
Re: 2005年・おはなの年間ベストほんやく本 ( No.3 )
日時: 2005/12/30 15:19
名前: マルチヴァク
参照: http://www.h5.dion.ne.jp/~multivac

うわーん『ミス・ブロウディの青春』があっちにもこっちにも!この一年最大の心残りですわ〜。でもこれを抜いて三位が「失われた」とはっ。10年以上前に挫折したのに、老いた頭で再挑戦は無謀かな…すみ&にえさんと共に泣かせて頂きます〜。
メンテ
Re: 2005年・おはなの年間ベストほんやく本 ( No.4 )
日時: 2005/12/30 16:39
名前: おはな
参照: http://www.geocities.jp/hana3baba3

坤さん>
そーそー体質改善したんです(笑)。
やっぱり坤さんはゲオルギウお読みでしたか。私は古本屋さんにすすめられて半信半疑でしたが、いやこれはすごかった。絶対忘れていいはずはない作品なのになぁ。
積んでる『ナボ短』はもう楽しいですよ。よく分からんやつは放置してもいいのが短篇のいいとこですし(笑)。んで、そぉ?ゴンブロエントリーは勇気ある行為だったのかっ。でもあれは魅惑的だと思いますね。中々2冊目に手は出ないんだけどいずれその内。

すみ&にえさん>
ぎゃはは、また古書がひとめぐりしてほとんど新刊〜というやつを出してしまいました(笑)。でもゲオルギウは回し者してでも図書館から借り出し是非読んで頂きたい、税金の無駄遣いにはならない書物ですよ。ボンフィリはねぇ、うすらおかしいです。他にタイプがないというところがミソなんでしょうね。しかしあの高額出してまで所持しようとは思いませんね。ふっふっふの3位、へいかも〜ん(笑)。

マルチヴァクさん>
そうなんですよ、あっちでもこっちでも『ミスブロ』絶賛(笑)。お金出す気になっても本がないのはもうどうしようもないですよね。ちくま文庫あたりで復刊されるような気がしないわけでもないんだけど、とにかく祈祷だけは怠っておりませぬ。
プルはね、多分私が最初に挫折しかけた部分にヴァクさんはつかまったんじゃないかな。前半に2度ほどの分かれ目があるんですよね。しかしそれをクリアすると‥!10年前と今ではきっとヴァクさんの感性も変わっているからきっと違う面が心に響くかもですね。でもしんどいのは同じです(笑)。
メンテ

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