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2003年・雫の年間ベストほんやく本
日時: 2003/12/27 11:57
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え〜と、山と積まれた図書館本に未練を残しつつ、年内はどうせもう落ち着いて読めないだろうと、覚悟を決めてベスト決めました。ただ、今回順位を付けるのは勘弁していただこう……優しい性格なもんで(うそつけ)

※では、まずは「ま、参りました……」本3冊から。

  ☆『昏き目の暗殺者』マーガレット・アトウッド
  ☆『贖罪』イアン・マキューアン
   この2冊については、上半期ベストでも書いたし、今更私がどうこう言う必要もないでしょう。大御所の最高傑作ということで。

  ☆『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト
   美しく端正な文体のリズムとその破壊に導かれ、記憶の迷路を逍遙する主人公と一緒に、幻想世界を彷徨わせていただきました。とにかく素晴らしい本。


※次に、じんじん本3冊。
もう問答無用に好きなんだから、おまーら横からゴチャゴチャ言うなよ!の、私的共感本。今年、どうやら私は「可笑しくて哀しい」ってのがとにかくツボらしいと気づきました(笑)

  ☆『ケリー・ギャングの真実の歴史』ピーター・ケアリー
   泣かせていただきました。オーストラリアで伝説のアウトローの生涯なんだけど、こういう素朴で衒いのない文章で、「伝説ではない」生身の人間としての誇りや悲しみを浮き彫りにしたことで、だからこんなにストレートに心に響くのかも。これからも、思い出すたび胸が熱くなるのでしょう。ネッド・ケリーには惚れたぜ。

 ☆『ダンス・ミー・アウトサイド』 W・P・キンセラ
   「インディアンであること」の誇りと悲しみ……18歳のインディアン青年のクールさと甘さが同居したような語り口とユーモアがツボでした。可笑しくて痛い青春小説。今年、こちらのBBSでこの小説を教えていただいたこと、ほんとうに感謝です。

 ☆『アンジェラの灰』『アンジェラの祈り』フランク・マコート
   「灰」のほうは再読ですが、やはりこれは2冊で1冊と考えたいので。
「」のない生き生きした会話が随所にちりばめられたぶっきらぼうな文章。やりきれない貧困や死別の悲しみを描いていながらも、あたたかいユーモアに溢れていて、わははと笑いながら、気が付くといつか涙が零れて……これは名人芸です。


※そのほかの、うんこれ良かったよねえ本。

 ☆『甘美なる来世へ』T・R・ピアソン
   作者が鹿爪らしい顔して際限なく呟いているような、詳細な脇道ケモノ道。時には一体どこに連れて行かれちゃうの?と不安になりながら、とにかく楽しませていただきました。迷路でうひうひ千鳥足しているうちに、いつかストーリーが見えてきて、そして感動のラストに!という驚きも良かったです。読後、タイトルが実にぐっとくるんだよな〜。

 ☆『魔女は夜ささやく』上下 ロバート・R・マキャモン
   マキャモン復活おめでとう!読者を飽きさせない物語性、登場人物の魅力、感動、恐怖、ユーモア……どれをとっても、これぞエンタメ小説の鏡って感じ。すみ&にえさんも早く読みましょう(笑)

 ☆『シェル・シーカーズ』ロザムンド・ピルチャー
   女の一生モノは主人公に人間的魅力がなくちゃね。ってことで、ペネラピの複雑で魅力的な人柄が、美点も欠点も含めて、ほんとうに率直に生き生きと描かれていて、共感度大でした。

 ☆『運命ではなく』ケルテース・イムレ
   ただ生きのびること……淡々として、したたかすぎるようにも見える少年の視点が実に衝撃的な、異色のホロコースト文学でした。

 ☆『調律師の恋』ダニエル・メイスン
   キャロル軍医の謎めいた魅力に引きずられるように読むうち、ビルマの川面や山間を幽かに流れる音楽に魅了されてしまいました。美しさと幻想ムード満点なんだけど、惜しむらくはキャロルの行く末の尻すぼみ(笑)


※どうしても記憶の鮮明さで不利な上半期のベストの中では、『ダロウェイ夫人+めぐりあう時間たち』、『新訳嵐が丘』、『ブロンド』あたりが入ってくるでしょうね。特にジョイス・キャロル・オーツの『ブロンド』は、その息苦しいまでの緊迫感が今もなお印象深いです。


えーと今何冊挙げたかな?11冊、上半期の未練を含めると14冊?……多すぎ?ってかシャベリ過ぎ?(笑)
えー、ついでなので、枠外だけど1冊。どうしても言いたかったのコレ(笑)

 ☆『ラピスラズリ』山尾悠子
   このするどく研ぎ澄まされて静かに発光するような文章が紡ぐ青金石の夢幻世界、ただひれ伏すばかり。わかったような、わからないような、曖昧な謎の繭の中で、いまだ満ち足りて呼吸しております。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.7 )
日時: 2004/01/02 13:47
名前: mopsa
参照: http://granola.jfast1.net/

『ケリー・ギャング』、だんだんつらくなってきました…(つまんないってことではありませぬよ♪)。もうちょっとしたら読み終わるので、ぜひお話ししませう〜。
『ブロンド』の感想は陳腐すぎになりそうだったので断念したのでした…。感想書かなかった本はすぐ忘れてしまうのですが(今年からとりあえず読了本メモ取った方がいいかも…)、この作品はずっと記憶に残りました。凄絶ですよね…。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.8 )
日時: 2004/01/08 22:07
名前:

>mopsaさん

突然ですが、今日なぜかmopsaさんとマキャモンの相性問題をつらつら考えていて(ヒマなのか?)、なんとなくこれじゃないか?という結論が出ました!(笑)
つまり、わりとマキャモンって……勧善懲悪の図式がハッキリしてるというか、読んでスッキリ!っていうところがありますよねえ?(笑) まあ勿論、それだけではないストーリーテリングと人物の魅力はあるんだけど。
察するにそのへんが、思慮深くて熟練の本読みであるmopsaさんには物足りないというか、ダマされないぞと身構えるとか?違うか(笑)
私なんかは、普段エラそうなこと言ってても、けっこう単純なところありますからね〜。すぐ泣くし(笑)
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Re: 2003年・雫の年間ベスト ( No.9 )
日時: 2004/01/09 06:25
名前: アルパカ  <alpaca@yhoo.co.jp>
参照: http://d.hatena.ne.jp/alpaca/20031231

マキャモン好きのようでありますが、すでに読まれているかと思いますが。
わたしにとってのマキャモンというと福武書店「スワンソング」です。あのB級SF映画っぽい濃い味が恋しいであります。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.10 )
日時: 2004/01/09 23:17
名前:

いや……マイマキャモンはやっぱし『少年時代』です!(とわけもなくケンカを売ってみる) 脱ホラー作家宣言「後」のが好きですね。「前」だったら『ミステリー・ウォーク』の青さがけっこうかわいくて好きですけど。
……と、こんなことを言ってると、コアなマキャモンファンは「けっ」とか思うんだろうけど、ま、いいよね私は私で。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.11 )
日時: 2004/01/10 11:58
名前: マルチヴァク
参照: http://www.h5.dion.ne.jp/~multivac

いや……マイマキャモンは「魔女は夜ささやく」に変更しちゃいました。(と、更に売った喧嘩に拍車)前は「少年時代」だったのですけれど。
ラピスラズリ、これが翻訳本だったら上位の熾烈な争いが更にパワーアップしたことでしょう…しっかり買っちゃったし(笑)
あっと、今年は『アウステルリッツ』読まねば!
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Re: 2003年・雫の年間ベスト ( No.12 )
日時: 2004/01/11 08:08
名前: アルパカ  <alpaca@yhoo.co.jp>
参照: http://d.hatena.ne.jp/alpaca/20031231

まいマキャモンは。。はともかく、なんでここでみんな山尾悠子好きなの。というか、なんでここで?山尾悠子こそ、わたしの作家と思っていたのに。そして、おそるおそるマイ山尾は、「夢の棲む街」なんですけど。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.13 )
日時: 2004/01/11 14:44
名前:

>マルチヴァクさん
そうなんですよね〜、読んでる時は「おっ、魔女は少年時代を超えたか?」と一瞬思ったんですけど、やはり私の場合ノスタルジーがねえ……とはいえ、『少年時代』も長年読んでないので、今読んだらどうなるかわかんないんですけど。

>アルパカ大先生
そ、そうなんですよ、かつてアルパカさんに、山尾悠子は素晴らしいぞーとうかがっていたのに、そして当時図書館で『山尾悠子作品集成』を借りていながら、なーんかとっつきにくいというか、厚すぎる美しすぎるその佇まいが、ハンパな私をして殆ど手つかずの状態で返却させてしまったのでした……『ラピスラズリ』はその点薄かったので(笑)
うん、音に聞く山尾悠子は素晴らしかったです〜、もう完璧に持ってかれちゃいました。私も読後買ったんですが(サイン本、へへへ)、勿体なくてまだ箱から出してない。
ってことでアルパカさん、『山尾悠子作品集成』ください(爆)
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.14 )
日時: 2004/01/18 01:43
名前: しま

「ケリー・ギャングの真実の歴史」
よさそうですね〜。読みたいな〜読みたいな〜。
マキャモンもよかったですよね〜。今年続編が出ると嬉しいんだけど、今年は無理かな?
その代り、(なのか?)「ミステリー・ウォーク」の文庫が出てましたね。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.15 )
日時: 2004/01/18 21:12
名前: Hiro

キャッ、私の読んだことのある本は1冊だけなんです。(^^; 完全に出遅れてるな〜。
『魔女は夜ささやく』『ケリー・ギャング』『シェル・シーカーズ』『贖罪』『調律師の恋』は、既に私の読みたい本リストの中に入ってるけど、こうして見てると『アンジェラの灰』(この映画は好きです)と『ダンス・ミー・アウトサイド』も気になってくるんですよね。
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Re: 2003年・雫の年間ベストほんやく本 ( No.16 )
日時: 2004/01/19 00:03
名前:

>しまさん
『ケリーギャングの真実の歴史』は是非是非読んでいただきたい!あのゴツゴツヘタウマな感じの文章に賛否両論あるみたいなんですが、私は今でも表紙を開いただけでじんじんします(笑)
うん『魔女は〜』の続編、楽しみですよね♪また登場人物やまもりなんでしょうか(笑)

>Hiroさん
好みがかぶる私たちですから、『アンジェラの灰』も『ダンス・ミー〜』もぜったい間違いないと思うんだけどな。どちらも文庫ですし、是非ためしてみていただきたく。「灰」が良かったら「祈り」も是非♪フランクのその後が苦みを増して語られます。映画も良かったですよね〜。
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