すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
モーヴ・ビンキー(ムーヴ、メイヴ、ビンチー) 
1940年3月28日イギリス、アイルランドのダブリンで生まれ。ダブリンの大学で歴史を専攻後、教師となる。 1969年にアイルランドのタイムズ誌に採用され、週2回コラムを書くようになった。これが好評で、アイルランドの人気女性エディターとなった。 その後、ロンドンに移り、BBSの司会および児童文学作家であるゴードン・ハリスと結婚、3編の短編が話題となり、その後、長編を発表すると いずれもベストセラー、人気作家となっていく。現在は夫とダブリンに住む。
にえ この人は。イギリスで絶大な人気があるわりには、日本での知名度が低いような・・・。
すみ うん、宣伝文句に使えるような派手さのない作品群だからね。ただ、日本でも出版数は多いから、やっぱり固定ファンはけっこういるんじゃない?
にえ でもさ、出版社が違うと、微妙に名前のカタカナ表記まで変わっちゃう。ちょっと可哀想。っていうか、探すの大変(笑)
すみ やわらかい肌触りの作品を書く人だよね。
にえ 出てくる人はみんな普通の人。普通の人が、どこかで聞いたことがあるようなありふれた悩みを抱え、人間関係を築いていく。それなのに・・・。
すみ 読みだすと止まらないのよね。なんでだろう。
にえ 書き方がものすごくうまいよね。心の細かい機微とか、さりげない会話とか、さらっと書いてるのに、読んでいくと、他人事とは思えないほど引き込まれていく。
すみ ただ、たくさんの人を書きわけていくのが得意な作家だから、登場人物がかなり多い。それに、全体がかなりふんわりムードだから、好き嫌いはわかれるんじゃないかなあ。
にえ でもさあ、そういう人たちでも日常生活があり、そこでありふれてるけど自分にとっては深刻って悩みを抱えてるわけだから、共感はできるんじゃない?
すみ そうだね。あとさ、読んでて、イギリスで普通に暮らす人々ってこういう感じなのか〜って思うよね。
にえ 生活をしていく中で抱える悩みに国境はないんだなってつくづく思うね。
すみ この作家の上手さを知るには、まず短編を読んでほしいな。
にえ うん。長編だと、多少ストーリー性も出てきて、それなりの出来事があったりするけど、短編は本当に日常生活を切りとっただけ、しかも読んでて、はっとさせられるって話がそろってるもんね。
すみ それに短くても綺麗にまとまってるし。なかなかこういう短編を書ける作家っていないと思う。
にえ そういうのを目指している作家は多いけどね(笑)
  
「クリスマスの食卓」 メイヴ・ビンチー名義
1冊  <アーティストハウス 単行本><扶桑社 単行本>


来年こそはいい年でありますように。今日が変わることで明日が変わると信じる女性たちが、それぞれの 願いを込めて迎えるクリスマスはほろ苦くも、あたたかい。短い15の物語が入っています。
「グラスレイク」 モーヴ・ビンキー名義
上・下巻  <扶桑社 文庫本>

1952年、アイルランド。グラスレイクと呼ばれる湖のほとりの静かな村で、少女キットの母がいなくなった。 キットは見つけたメモを母の遺書だと思い込み、とっさに焼いてしまう。自殺者は教会に埋葬してもらえないからだ。 それが皆の人生を大きく狂わせることになろうとは、夢にも思わずに…。母と娘のすれ違う生き様がせつない物語です。
「祈りのキャンドル」 モーヴ・ビンキー名義
上・下巻  <扶桑社 文庫本>


第二次大戦下のロンドンを逃れ、アイルランドに疎開した十歳の少女エリザベスは、身を寄せた大家族のオコナー家で、 同い年のアシュリーンと生涯にわたる親友となる。恋人や家族の問題に悩むエリザベスはアシュリーンの支えのもと、 まっすぐとは言えない人生を懸命に歩んでいく。恋に悩む男女の心理描写は秀逸です。
「サークル・オブ・フレンズ」 モーヴ・ビンキー名義
上・下巻 <扶桑社 文庫本>


アイルランドの小さな村、ノックグレンで両親に大切に育てられたベニーと、修道院で暮らす孤児のイヴ、野心を抱き、洗練された 美少女ナン。三人が恋に悩み、人生に悩む姿を描く。これは映画化されたので、かなり有名では?
「銀婚式」 モーヴ・ビンキー名義
1冊 <扶桑社 文庫本>


ドイル夫妻の銀婚式に集まる三人の子供、不倫相手と同棲する長女、修道院へ入った次女、父の故郷 アイルランドの農場へ行った息子。家族は互いに交錯し合った人生を振り返り、それぞれの想いを胸に 抱く。しっとりとした家族ものです。
「イヴニング・クラス」 モーヴ・ビンキー名義
上・下巻 <扶桑社 文庫本>


イヴニング・クラスに通う人々は年齢も職業もさまざま。それぞれの悩みを抱えながらも、必死に生きようと する人々だった。多種多様の人生を書きわけ、味わい深い結末を用意するビンキーの手腕が冴える作品です。
「ライラック・バス」 メイヴ・ヴィンチー名義
1冊 <青山出版社 単行本>


金曜日、午後6時45分。ダブリン発ラスドーン行き「ライラツク・バス」に7人の乗客が乗り込んだ。 アイルランドの田舎町に暮らす普通の人々である乗客たちの、それぞれの視線から他の乗客をとらえ、一人ずつが 抱えた悩みを浮き彫りにしていく。読み終わると、ヴィンチーうまいな〜と唸る、名作です。こういう小説は誰でも書けそうで、ヴィンチーにしか書けない。