=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
ロディ・ドイル
1958年、アイルランド共和国のダブリンで生まれる。ダブリンで大学まで教育を受けた後、コミュニティースクールで英語と 地理学の教師となり、14年間働いた。自費出版で作家デビュー。「パディ・クラーク・ハハハ」で ブッカー賞受賞。 映画にも深く関わり、「ザ・コミットメンツ」「スナッパー」「ヴァン」の原作と 脚本を手がけ、「ザ・コミットメンツ」では、英国アカデミー賞の脚色賞を受賞。妻はベリンダ、2人 の息子ロリーとジャックとともに、ダブリンで暮らしている。 | |
この作家さんに関しては、イギリスの雑誌で紹介 されていた文章がよかったので、それを先に私の下手な直訳でご紹介。「強靱な生命力と荒い言語。しかし、 美と柔軟性がもの寂しさの中に残存している。」 | |
でも、本当にそうだよね。書かれているのはアイ ルランドの労働者階級の人たち。言葉は荒いし、行動は雑だし、やることは考えなし。 | |
アイルランドっていうのは独特の匂いがある国だよね。 | |
泥臭いというか、土臭いというか、あまり品はな いよね。でも、血のつながりがすごく大切にされてるみたい。 | |
家族のかばいあいとか、結束とか、そういうのが すごく濃いよね。 | |
そういう繋がりが、常識とか、世間体とか、とに かくどんなものよりも最優先されてるみたい。 | |
そういうところで生まれ育ったドイルだから、 小説のなかでも、粗野な人たちがいっぱい登場して、アイリッシュ・ユーモアに満ちていて、元気いっぱい。 | |
でも、ストーリーは意外とシリアスで、それで いて人間ってものの原風景を見ているような懐かしさに満ちているのよね。 | |
人の心がピュアなんだよね。だから美しいんだ ろうな。 | |
軽い文章のようで、描写も美しいしね。このあ たりはやはり、映画好きならではの眼があるからかな。 | |
アイルランドってちょっと恐いってイメージが あったんだけど、私はロディ・ドイルでいいなあと思えるようになった。 | |
ブッカー賞受賞作家のなかでは珍しい庶民派とい われ、受賞した本人も驚いてたみたいだけど、難しいテーマを難しく書くことだけが高尚な文学じゃない、 市井に生きる人のなかに真実を見つめる、それもまた文学だって教えられるよね。 | |
とにかく登場人物がみんな歯がゆくって、せつ なくって、胸をつきます。 | |
「パディ・クラーク・ハハハ」 <キネマ旬報 単行本>
1960年代後半のアイルランド、ダブリン近郊の海辺の住宅地バリータウンで地元の公立小学校に通う 少年パディ・クラークには、父、母、弟シンバッド、小さい妹キャサリンとデルドレーがいる。 担任ヘンノに目をつけられ、毎日友だちと町や海岸や空き地や工事現場を走り回り、いたずらして大人から 怒鳴られ、弟にまでイジワルをする乱暴な悪ガキのパディだったが、両親の変化に少しずつ傷つき、成長し ていく。 | |
「ヴァン」 <キネマ旬報 単行本>
失業中だったラビット家の大黒柱、お父さんのジミーが、親友からヴァンを買い、ハンバーガー・ショップ をやろうともちかけられる。慣れない仕事に戸惑いまくるジミーだったが。 | |
「スナッパー」 <キネマ旬報 単行本>
ダブリン郊外の小さな町で暮らす7人家族は、貧しいながらも明るく暮らしていた。ところがある日、 結婚もしていない長女妊娠、しかも相手の名を絶対に明かそうとしない。家族や友人が相手が誰なのか 気にしながらも長女のお腹は日に日に大きくなる。そんなある日、じつは長女の友達の父親が生まれくる 赤ん坊の父親だという噂が町中に広がり、一家の父は職人仲間の笑いものになってしまう。それでも、 父は必死で家族を守ろうとするのだが。 | |
「ポーラ」 <キネマ旬報 単行本>
日本での副題は「ドアを開けた女」だが、原作の題名は「ドアにぶつかる女」。夫からの暴力をふるわれて 病院に来た女性が言う理由「ちょっとドアにぶつかったから」からきている。17年間、夫に暴力をふるわ れ続け、アルコール中毒になってしまったポーラ。こんなはずじゃなかった。ポーラはすべてを振り切って、 出ていくことができるのか。 | |