すみ=「すみ」です。 にえ =「にえ」です。
スー・ハリソン 
アリュート語など6つの先住アメリカ人の言語、考古学、人類学、地理学を学ぶ。 調査に3年、執筆に4年、出版社への売込みに2年半かけ、デビュー。
にえ ジーン・アウルと同じ先史時代を 扱ったシリーズものを書いてるんだけど、こちらの舞台はアリューシャン列島。白人の先祖が中心で、 もうちょっと人間らしいって感じかな?(笑)
すみ エイラが油絵なら、こちらは水彩 画、パステル画の世界ね。夫婦間、親子間、男女間の愛情が深く描かれてて、とってもせつない。 
にえ それにしても寒そうだよね。
すみ うん、自然はアイラシリーズより過酷 かもね。寒いし、海が中心の生活だから。
にえ あっちは猟で暮らし、こっちは漁で暮ら してるのよね。クジラとか、セイウチとかを狩る姿も、すごく丁寧に描かれてるし。
すみ 呪術もかなり前面に出てきてるよね。 偶像崇拝とか、呪いとか、たっぷり出てくる。
にえ シリーズが進むごとに、より悲恋が色 濃くなっていく感があるけど。
すみ 現代社会を舞台にしては書けなくなって しまった偲ぶ愛、愛し合いながらも結ばれない悲恋を、めいっぱい感情を押さて描いてあるよね。
にえ そうね、ネチネチはしてないよね。 私はその悲恋より、残酷にもあるけど強烈な人々の生きざま、死にざまに感動をおぼえるけどね。
すみ うん。恋愛だけをダラダラ書いてある わけじゃないから、その辺は誤解しないでほしいよね。
にえ それにしてもさ、先史時代にもいろんな 決まり事とか、階級とかがあって、そんなにノビノビ生きられるものでもないんだなあって思わない?
すみ う〜ん、やっぱり集団で暮らすからには、 そういうのはしかたないのかもね。
にえ 読み終わるといつも、ああよかった、先史 時代に生まれなくてって思っちゃう。
すみ じゃあ、なんで読み続けちゃうのよ?
にえ エイラシリーズより登場人物が感情移入 しやすいんだよね。彼は、彼女はどうなっちゃうんだろうって気になって、一心不乱に読んじゃう。たしか に、彼らはせつない!(笑)
  
「母なる大地父なる空」  上・下巻  <晶文社 単行本>

<アリューシャン黙示録 第1部> 紀元前七千年、氷河時代のアリューシャン列島。大波に洗われ、 火山のとどろきやまぬ極北の地。平和な兵辺の村を「殺し屋」一族が襲った。たったひとり生き残った 十三歳の<黒曜石>は、ラッコの精霊に導かれ、大海原へ旅立つ。黒髪をなびかせながら進む彼女のゆく てに、やがてクジラの彫像をもつ謎の老人が…。
「姉なる月」  上・下巻  <晶文社 単行本>

<アリューシャン黙示録 第2部> <黒曜石>も大人となり、二人の息子を持つ身となった。 やさしい夫と幸せな暮らしをする<黒曜石>だが、その長男<ナイフ>は、出生の秘密のため、 愛するものとは結ばれない運命にあった。
「兄なる風」  上・下巻  <晶文社 単行本>

<アリューシャン黙示録 第3部> いつかきっと会える。再会も束の間、最愛の人<ナイフ>の命を 守るため、<誰>はふたたび別離の道を選んだ。しかし遠い異郷の村では、嫉妬に燃える女の悪だくみ が待ち受けていた。ここでシリーズは、とりあえず大団円を迎える。 村を守ること、愛する人を守ること、<ナイフ>はすべてを手に入れることができるのか。 彫刻師の三部作、感動のフィナーレ。
「ソング・オブ・ザ・リバ−」  上・下巻  <晶文社 単行本>

<アリューシャン黙示録 第4部> <川隣り村>と<いとこ川村>は長い間、抗争を繰り返していた。 それを収拾するために、村を移り住むことになった語り部<ラッコ>だったが、予期せぬ殺人事件に巻き 込まれ、<川隣り村>と<いとこ川村>の関係は、よりこじれていくことに。 待望の語り部三部作の始まり。今回はミステリー仕立てのストーリーで、今後の展開が期待される。