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「見知らぬ島への扉」 ジョゼ・サラマーゴ (ポルトガル)
<アーティストハウス 新書> 【Amazon】
見知らぬ島を探すため、男は王様に船をもらいに行った、見知らぬ島などもう無いとみんなは言う、 城の掃除女は運命の時が来たと思った、男は王様に船をもらい、掃除女はそのあとを追った。 | |
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粗筋もジョゼ・サラマーゴ風にしてみました(笑) |
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ホントは句点までがもっと長いけどね。 |
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これは、今まで紹介してきた小説とは違って、いつの間にか 地位を確立した大人のための童話。 |
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そういえば、こういう形態の本っていつから定着したんだろ うね。『かもめのジョナサン』からかな? |
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あれはまた今の大人のための童話とは形態が違うでしょ。 今のって、薄くて、持ち歩きやすいけど文庫よりは大きい新書サイズで、字はやや大きめで少なめ、 思わせぶりな一筆書きみたいな挿絵がついてるっていうのが共通した特徴だから。 |
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で、お値段はだいたい1000円以内ね。 |
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それはともかく、この本はサラマーゴがノーベル賞受賞後に出した本。 |
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アメリカの新聞や雑誌でも大絶賛されたって、あとがきに書いてあったよね。 |
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そりゃそうでしょ。ノーベル賞作家の作品をつまんないなんて 書いたら、書評家の頭の程度のほうが疑われちゃう。とにかく絶賛しないと(笑) |
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そうそう、だから単なるシロウトの私たちは、ここでガツンと 言ってやらねば。と思ったけど、やっぱり良かったよね(笑) |
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うん、童話だろうが、小難しい小説だろうが、全部、他の人が 真似できないサラマーゴの独自の世界なんだもん、サラマーゴが読みたいと思って手にとった私たちには けなしようがない。あえて言うなら「どうもありがとう」(笑) |
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無理して言えば、いつもと同じ手法。男も掃除女も名前がない って言うのは内容にピッタリ合ってたけど、読点だけで区切って、句点を極力避けたのは、これに関しては 別にやらなくても良かったんじゃないってちょっと思ったかな。上の粗筋みたいに、句点を読点に置き換え てるだけみたいな文章になってたからね。 |
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そう? この流れるように読むことから得られる独特の透明感 とか、静かにうねっていくような場面展開とかを際立たせるには、ここでも使うべきだったんじゃない。 |
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じゃあ、やっぱりけなすとこないや(笑) |
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今まで読んだものと違うといえば、文章が短いぶん、残る余韻 がすごく多くて、読んだ人によってどうとでも受けとれるってとこかな。 |
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そのへんは、いかにも繰り返しの読書にたえられる大人の童話バージョンだよね。 |
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私はねえ、ノアの箱舟とか、アダムとイヴとか連想した。夢の ない現代社会で、夢見るものだけが残っていくという新たな神話。 |
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私は自分を見つけるためには、今の自分を遠ざけて遠くの島 に行く必要はないんだよ、互いを大事にする人と人の目の奥をのぞきこみあうだけでいいんだよっていう メッセージだと思ったけど。 |
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え、じゃあ、この人たちは、このあともう見知らぬ島を探しに行かないの? |
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違うよ、行っても行かなくてもいいんだよ。行きたきゃ行けば いいじゃない、とにかく互いを見つめ合う相手と一緒にいればいいんだよ。相手の目が見知らぬ島への扉なんだから。 |
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うっそー。これから二人だけの楽園のような島を探しに行く んじゃないの。きっと二人の船はどこに行ったのかわからなくなって、みんなは死んだと噂するんだけど、 じつは二人は誰もたどりつけないはずの島を偶然見つけて、そこで暮らしてるのよ。あ、その前に動物と、 植物の種は買いそろえとかないとね。 |
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あら、ノアの箱舟説からいったら、二人が船で寝ているあいだ に大洪水が来て、二人だけが助かる、とかにしたほうが、それっぽいんじゃない? |
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まあ、いいや。そうやって、あとあとまでいろいろ想像できち ゃう本です。サラマーゴは自分で”生”と”死”の作家だと言ってたけど、これは”生”かな。 |
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生きるってなんだろう、な〜んてボーっと考えちゃうよね。 もちろん、読みやすいから初サラマーゴとしてもオススメ。 |
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