=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「マーチ博士の四人の息子」 ブリジット・オベール (フランス) <早川書房 文庫本> 【Amazon】
大きな館に住む医師マーチ博士と病弱な妻、それにハンサムな四つ子の息子。そこにやってきた お手伝いのジニーは、ある日、とんでもない日記を発見する。それは、快楽殺人をくりかえす、ある男の 日記だった。殺人鬼は自分を四人の息子のだれかだと名乗っているが、それはいったいどの息子なのか。 | |
フランス祭りの第一回めはブリジッド・オベールです。 | |
なあに、フランス祭りって? | |
これから3冊連続でフランスの作家の本を読んで、それを紹介するんだよ。 | |
そ、それだけ・・・(笑) | |
いや〜、この本、これぞまさに怪作ってかんじだったね。 | |
うん。他にないタイプだね。殺人鬼の日記と、それを盗み読むジニーの日記、二つの日記が交換されない交換日記みたいに、交互に記されて、話が進んでいくんだけど。 | |
どっちも口語体でテンポよくて、読みやすかったね。 | |
そう、語り口がユーモアに溢れてておもしろい、でも内容は猟奇的な殺人の数々とその異常な心理、その対称がおもしろかったよね。おもしろ怖いって言ったほうがいいか(笑) | |
雰囲気もよかったよ。いかにも作り物的世界。冒頭に、アクリルのワンピースに火をつけるって話が出てくるけど、アクリルはあっという間に燃焼するから、それを着ている人間まで燃えるはずないじゃない? 人間はなかなか燃えない物質だから、せいぜい火傷する程度よ。それ以外にも、つっこもうと思えばいくらでもつっこめる。 | |
それだったら、あとさ、人が笑っちゃうくらい簡単に殺されてくよね。詳細な描写もなく、あ、死んじゃったみたいな(笑) | |
そうそう、それに、笑っちゃうほど作者の都合よく出来事が起こるところよね〜。そのチャチさが逆に、たまらなくおもしろいのよね。 | |
小説だもんね、リアルならいいってものじゃないよね。読み物としておもしろくなくちゃ。 | |
そう、その読み物のおもしろさを存分に味わえた。 | |
突飛なストーリー展開といい、ぎくしゃくと動くブリキの人形みたいな登場人物たちといい、小説じゃなきゃ味わえない面白味だよね。 | |
好きだな〜、こういう人工的なかんじ。 | |
最後にあかされる謎も、オオッてかんじだったしね。 | |
これは解けなかったよ。なるほど〜って感心しちゃったよ。 | |
全体の流れもスリリング。どうなるかハラハラしどうしで、ちょっと先の予想すらつかなかったし。 | |
うん、フランスの小説のまったり感はなかったね。でもさ、謎解きの前のラストはいかにもフランスっぽくなかった? | |
ああ、そうかもね。少なくともアメリカの小説なら、あの結末はないかもね。 | |
謎解きは一瞬、え、と思って読み返した。あそこだけが、複雑といえば複雑。 | |
そこもやはり、いかにも作り物的で、おもしろ怖ろしかったよね。 | |
さてさて、四人の息子は弁護士を目指すマーク、医者を目指すクラーク、音楽家を目指すジャック、コンピュータ関係を勉強しているスターク。謎の殺人鬼は誰でしょう。 | |
ジニーと一緒に悩んでみてください。 | |
甘くはないですよ〜♪ | |