すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「ミステリー・ディナー」 デイヴィッド・グレゴリー (アメリカ)  <ランダムハウス講談社 単行本> 【Amazon】
シンシナティでブルーイット環境試験所の戦略企画部長として働くニック・コミンスキーのもとに、招待状が届いた。3月24日にレストランミラノで、ナザレのイエスとの夕食会。近所の教会からにしては、教会名が書いていない。 職場の冗談好きの連中が仕組んだ悪戯だろうか。ニックは行ってみることにした。
にえ クリスマスということで、ちょっとクリスマスっぽいものを読んでみました。
すみ クリスマスっぽいのか? クリスマスっぽいか(笑) イエス・キリストとディナーを食べるってお話なのよね。
にえ これは、どうなんだろう。小説ってところまでは行ってないかな。
すみ ほとんどがイエス・キリストとの会話で占められていて、柔らかめの宗教問答って感じだったよね。
にえ 主人公ニックの元に招待状が届き、レストランに行ってみると、待っていたのは自分がイエス・キリストだと名乗る男。
すみ タイトルに「ミステリー」とついていても、ミステリ本ではないので、ここは素直にイエス・キリスト本人だと信じておきましょう(笑)
にえ んでまあ、美味しいお食事をとりながら、一対一で会話をするのよね。
すみ この設定はいいよね。イエス・キリストが招待してくれたのが、高級レストランでのディナーなんだよ、もちろんおごりで(笑)
にえ 一方的にお説教されるわけではなく、なんでも訊きたいことを訊けるしね。
すみ イエスが自分は神でもあると言ったとき、ニックが「このワインを水に変えることは出来ますか?」と訊き、それに対してイエスがあることをやるんだけど、アレは秀逸、吹き出してしまった。
にえ でも、会話の内容としては、キリスト教徒じゃない私たち的には、やっぱりキリスト教って……と思っちゃうところが多かったよね。
すみ うん、ニックはこれまで日曜学校で聞いたこともない、大胆なイエスの発言に驚きまくるけど、私たち的にはいつもどおりのキリスト教って印象が強いかも。
にえ 他の宗教を認めない、自分だけ信じていればいいんだって教えは、どうしても狭っ苦しく、息苦しく感じちゃうよね。
すみ 他の宗教は証明できないけど、キリスト教は事実の裏付けがあって証明できるって主張も、うーん、あとからならどうとでも書けるから〜とつい思っちゃうしね。
にえ 宗教のために戦争するのは良くないことだとイエスは言うけど、他の宗教をすべて全面否定して、自分だけを信じるべきだと言われたら、やっぱりその考え方では、戦争になっちゃうんじゃないのとツッコミたくなっちゃう。やっぱりキリスト教誕生の歴史からすると、そこは譲れないのかねえ(笑)
すみ でもさあ、ニックの個人的な悩みについてもアドバイスしてくれるんだけど、そこはよかったよね。
にえ うん、イエス・キリストが個人の仕事の悩みの相談まで?! と驚いちゃったけど、さすがに適切なアドバイス。私も相談に乗ってもらいたい。なにしろ、相手は私のすべてを知っていて、その上でのアドバイスだからね。
すみ あれは著者であるデイヴィッド・グレゴリー自身の経験が反映されてるから、説得力があったんだろうね。デイヴィッド・グレゴリーは10年間ビジネスマンとして活躍したあと、神学校に入ったのだそうな。
にえ 書いてはいないけど、ニックもまた、神学校に行くことになるのかな、なんて思ったりしたよね。
すみ 広く大きい話だけするっていうんじゃなく、個人に語りかけ、個人の問題から教えを伝えていくってそういうところはとても好感持てた。
にえ まあ、小説としてのレベルとしては低いかもしれないけど、反感を持ちつつも最後までわりと楽しく読めたしね。
すみ とにかくまあ、クリスマスに浮かれるだけじゃなく、きっちりイエス・キリストの本を読んで、キリスト教についてあらためて考えた私たちはエライでしょってことで、満足、満足、自己満足っ(笑)