すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「チャングム2 追放篇」 キム・サンホン (韓国)  <早川書房 文庫本> 【Amazon】
宮廷の厨房で宮女として働きながら、厨房尚宮(チュバンサングン)だけでなく、医女である河庭(ハジョン)にまで目をかけられ、日々精進を重ねるチャングムだったが、 自分のために宮廷から追放された端女、佳徳(かどく)がその後どうしているか気がかりだった。ようやく聞けた消息によると、佳徳が恩津の官衙(かんが)へ運ばれる途中、行方不明になってしまったという。 佳徳の身になにがあったのか。しかし、佳徳を心配するチャングムにもまた過酷な運命が待ち受けているのだった。
すみ 全3巻だということが判明した(笑)、チャングムの第2巻です。
にえ 1冊ずつが薄めで字も大きいから、まとめて読みたいって気はするけど、でも、それほど間もあかずに刊行されてるから、前の巻の内容を忘れちゃうってほどではないよね。
すみ いやいや、実在の人物の伝記的な小説とはいえ、かなりドラマティックで起伏に富んだ展開だから、このぐらいの感覚でポツポツ1巻ずつ読んでいくほういいのかもよ。
にえ ほんとにドラマティックだよね〜。脚色きかせまくりっ。
すみ 実在のチャングムも当時の女性では成し遂げることができないような成功を収めた女性で、この小説ほどかどうかはわからないけど、それにしたってやっぱり波瀾万丈の人生だったんだろうね。
にえ だけどさあ、この巻では、架空の人物と思われる脇役的な存在の登場人物たちがいい存在感を出していたよね。
すみ 女性がいかにつらい思いをした時代かっていうのを体現しているのが佳徳だよね。チャングムが運に恵まれているからこそ、小説のなかにこういう人の存在は必要なんだろうな。
にえ 佳徳は美人で、頭もよく、真面目で親切な性格なのに、端女として生きていかなくてはならず、しかもそのうえ、男たちの犠牲になって苦労の連続だよね。今の時代だったら、いくらでも可能性があるだろうに。
すみ でも、不幸な女の代表的存在だった佳徳が、この巻では逆襲に出たというか、自分なりの闘いを始めたよね。かなり凄まじく。
にえ 私はただ一心に、佳徳がんばって〜だよ(笑)
すみ あと、チャングムの幼なじみのトジョミが再登場! チャングムを愛人にしようとした宦官、韓乃温(ハンネオン)の下女として宮中にやってくるんだよね。
にえ きっとまた現れると思ってたよ。生まれつき上品なところがあるチャングムと違って、トジョミは子だくさんの貧農の娘だけあって、見るからに逞しい体つきなんだよね。
すみ しかし、アレがああなのはまだ驚くだけだけど、アレがああな人のアレがああだとは思わなかった〜(笑)
にえ ああ、アレはちょっとやりすぎじゃないのって気もしたよね。でもアレはアレでまたなにか話が膨らんでいくのかもしれない。
すみ え、チャングムが医女となるから?
にえ まあ、それはいいとして、いよいよチャングムを陰から見つめつづける謎の男トクチョミの正体がわかったり、恋愛に発展していくのかなって男性も現れたり。
すみ チャングムは大変なことのなるよね。まあ、「追放篇」って題名についてるから、どうなるかはすでにわかってるんだけど(笑)
にえ でも、その経緯については興味深かったよね。
すみ ただ、チャングムがこういう理由で追放されちゃうのかっていうだけじゃなく、この時代の社会的背景というか、崩壊寸前の流れみたいなものが見えてきた。
にえ 快楽にふけるばかりで政を忘れ、あげくに暗殺者に怯える王、町中で王の悪口を平気で言うまでになっていく国民たち。これはもうなにか起こりそうという状態だよね。
すみ ここまで盛り上がってきたのに、あと1巻で終わっちゃうっていうのも不思議な気がするけど、とにかく最終巻が楽しみっ。
にえ 気楽に読みたい本をお探しだったらオススメだよね。同じチャングムを主人公にした韓国ドラマがあるそうだけど、それとはかなり趣が異なるみたいだから、両方楽しむってのも良いかも。