=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「悪魔の子どもたち」 ピータ−・ディッキンソン (イギリス)
<大日本図書 単行本> 絶版
<大変動>で両親とはぐれ、一人で暮らす少女ニッキーは、シーク教徒の集団と出会い、ともに 旅をすることになる。シーク教徒の集団には、老婆や子どもたちもいる大家族が含まれていた。 | |
ピーター・ディッキンソンの児童書<大変動>シリーズの第3作めにあたります。 | |
ちなみに、第1作『過去にもどされた国』は紹介済み、第2作 『心のやすらぎ』は日本未翻訳。歯抜け状態の3作めです。 | |
まあ、1作ずつが独立した話だから、問題はないんだけどね。 | |
でも、1作めを読んでないと、これを読んでもなんだかわからない。 | |
そのわりに、表紙にはそういう表示がないのよね。知らずに買った 子どもの身になってみろ〜ってかんじですね(笑) | |
で、この『悪魔の子どもたち』なんだけど、『過去にもどされ た国』より更におもしろかったよね。 | |
そうそう、シーク教徒なんて出てきて、いかにもディッキンソンらしくてね。 | |
だから、こっちだけでも手に入れた人のために、<大変動>を説明しておきましょう。 | |
どっちも古くて、手に入りづらいんだけどね(笑) | |
<大変動>とは、機械文明が発達した近未来、イギリスに突如 として現れた魔法使いによって、イギリス人が機械を嫌いになってしまう魔法にかけられてしまうって大事件です。 | |
その日以来、イギリス人たちは、機械をぶっ壊し、機械を扱う 人に襲いかかり、機械がなかった時代の暮らしを始めるのよね。 | |
でも、イギリスから出ると、その症状は治っちゃうの。で、 魔法にそんなにひどくかからなかった人たちは、みんなドーバー海峡をこえて、フランスに逃げちゃった。 | |
『悪魔の子どもたち』のニッキーの両親も、どうやらフランス にいるらしいのよね。ロンドンで暮らしてたから、<大変動>のときの騒動がひどくて、それでニッキーと はぐれちゃったみたいなの。 | |
で、その魔法にかかってる人たちは、過去の記憶がどんどん 消えていくっていう副作用もあるから大変。 | |
『悪魔の子どもたち』を読むと、さらに新しい事実がわかるの よね。じつは、<大変動>の魔法にかかるは、イギリスに限られてるってだけじゃなく、イギリス人に限ら れていたのだ! | |
そうなんです、だからシーク教徒のインド人たちは、<大変動>の魔法に侵されていないのです!! | |
それで、シーク教徒たちは、イギリス人に<悪魔の子どもたち>と呼ばれたのであ〜る!!! | |
で、ニッキーたちはもぬけのからになった町で、店に押し入 って食料を調達したりしながら、旅をして、ある村にたどり着き、暮らしだす。 | |
そこの村は巨人が主なのよね。 | |
そこでシーク教徒に、封建領主とデモクラシーの説明なんて させるところが、さすがディッキンソン。子ども相手でもウンチクは忘れません(笑) | |
ちなみに今回は、イギリス人がつけた挿絵をそのまま使ってる から、『過去にもどされた国』よりぐっと絵がわかりやすくなってます。 | |
おもしろい話なんだけどね、3作まとめて1冊の本にして、 出版しなおしてくれないかしら。 | |
ほんと、ほんと。 | |