=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「シルトの岸辺」 ジュリアン・グラック (フランス)
<筑摩書房 文庫本> 【Amazon】
豊かで、しかもオルセンナ共和国でもっとも古い家系の一つに属するアルドーは、軍部に籍を置きながら、貴族の青年にありがちな都会での気ままな暮らしを享楽していた。しかし、一人の女性が自分のもとを去ったことがきっかけとなり、 自分の生活が空しくなってしまった。アルドーは辺境の地に勤務されることを志願した。父の力添えもあり、アルドーはオルセンナでももっとも辺境の地といえるシルトの城砦に、監察将校として赴任することになった。シルト海の先にあるのは敵国ファルゲスタン。 とはいえ、戦闘があるわけではなく、オルセンナとファルゲスタンはもう300年間もにらみあったままだった。 | |
フランスの作家ジュリアン・グラック(1910年〜)の名作、「シルトの岸辺」が文庫で復刊されたので読んでみました。 | |
とはいえ、私たちにはよくわからなかったから、これから私たちの話すことは参考外としていただきたいところだよね(笑) | |
だめだ、もう最初の一行目から読んでるだけで眠くなって、最後までなんだかわからなかった。 | |
私もそう。なんでも簡潔に書くだけが文学ではないのだから、こうやって現代小説なら1行ですみそうなことを何行にもわたって遠回し気味に書いていくのも、これはこれでひとつの文学だし、 素晴らしいと評価されるのもわからないではないんだけど、実際問題として眠くなる〜(笑) | |
長かったよね〜、永遠に読み終わらないかと思っちゃったよ。 なにに興味を持てばいいのか、最後までサッパリわからなかったし。 | |
喪失感みたいなものが漂いまくってたよね。それだけ感じとればいいのかなあ。それとも、ストーリーがあったの? って言ってるじてんでもうダメか(笑) | |
どう言えばいいのかしら、懐古的なSF的設定の純文学小説なのよね。巻末の解説を読むと、設定はディノ・ブッツァーティの「タタール人の砂漠」から多分にヒントを得ているようだけど、設定だけで、小説としてはまったく別ものなんだとか。 | |
架空の国の話なんだよね。海軍中心で16世紀ぐらいのイメージがする都市国家オルセンナという国が主人公のいる国で、隣国のファルゲスタンとは300年もにらみあったまま膠着状態だって設定なの。 | |
この小説を読んだかぎりでは、世界に二つしか国がないみたいだよね。他の国のことはたぶん語られてなかったと思う、たぶん。 | |
とにかくオルセンナとファルゲスタンは海を挟んでにらみあっていて、その海っていうのがシルト海。そのシルト海の岸辺にある城砦に主人公アルドーは勤務することになるの。 | |
そのあたりのは、荒涼とした大地が広がっているのよね。植物さえまともに育たない。鳥は飛ばずに地を歩く、そんな殺伐とした風景の場所。 | |
城砦にいるのは、総責任者のマリノ大佐。それからその副官でロベルト、ファブリツィオ、ジョヴァンニという三人の青年、そしてその部下たち。 | |
なにしろ300年間も戦闘もないままだから、城砦は古びちゃってて、兵士たちは近所の農家に貸し出されて、農作業をやっているのよね。それで賄われているみたい。 | |
それから、城砦の近くに別荘を持つアルドブランディ家のご令嬢、ヴァネッサってのが登場したよね。 | |
そうそう、ヴァネッサは男性を翻弄し、自分の思い通りに動かすのが好きな女性みたい。アルドーとは旧知の仲。 | |
あ、このままだと読んだままをぜんぶしゃべっちゃう(笑) とにかくドロ〜ンとした状態から、なんだかまわりが妙に緊迫したような感じになり、 その理由もよくわからないまま押し流され、破局に進んでいくというか、最初からあった破局にようやく気づくというか、そんな感じよね。 | |
なんかまわりの人たちみんなが自分では動きたくないから、アルドーを動かして引き金を引かせるって感じだったけど。 | |
そうねえ、まあ、その引き金を引いたからなんだっていうのか、私にはもうよくわからなかったんだけど。 | |
結局だれもなんにもしなくても、民衆が口コミでさっさと知ってしまったって感じだったようでもあるかな〜。なんかどこ行っても、ああ、知ってるよ、みたいな扱われ方だったよね。 | |
ヴァネッサもからんでるみたいだけど、この女性もまた歯車の一つに過ぎなかったような、なんだか意志があったのかなかったのか、何がしたかったのか、主人公を好きなのかなんなのか。 まあ、とにかくなんだかよくわからなかった。 | |
とにかく終わりってことよ。どんどんまわりが黒く塗りつぶされていって、視界が狭くなっていくみたいな感じがしたじゃない。登場人物についてはヴァネッサだけじゃなく、主人公も含めて全員とらえどころがなくって、とらえなくてもいいのかなって感じだった。 言ってることもやってることも、どういう意志や感情があるのか、ほぼまったくと言っていいほど私にはわからなかったよ。 | |
そんなパスをされても、私はどうまとめていいのか(笑) とにかく私たちにはサッパリわかりませんでしたってことで。ちょっとでも古くなるともうフランス文学とは徹底して相性が悪いってことかしら〜。 | |