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「マダム・タッソーがお待ちかね」 ピーター・ラヴゼイ (イギリス) <早川書房 文庫本> 【Amazon】
舞台は1888年、ロンドン。高級な写真館で助手が殺された。犯人は写真館の若く、美しい夫人 ミリアム。ミリアムは助手に恐喝されていたらしい。ところが、ミリアムが殺害に使った青酸カリを入れた 棚のについて新しい事実が見つかり、ミリアムの冤罪疑惑が浮上した。 | |
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これはさあ、邦題のセンスがとってもグッドだよね。 読むと、ああ、そういう意味か~、うまいな~と感心するので、あえてここでは言わないけど(笑) |
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出版されたのは1978年なのに、舞台が1888年なのね、 この本。私、読みはじめたとき、書いたのも昔の古典的なミステリかと思っちゃった。 |
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うん。全体のストーリーもあえて、昔っぽくしてあるよね。 最近の人物のめいいぱいの肉付けとか、装飾とかをあえて控えて古典ムード。だから読みやすかったね。 |
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う~ん、私は最初ねえ、あ、これは本格的な推理小説だ、 推理だけを楽しむ本ってやつだ、ちょっと好みじゃないな~と腰がひけた。 |
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でも、読み進めるとそうじゃなかったよね。人間の裏表とか だんだん前に出てきて、おもしろくなっていったでしょ? |
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うん、過去の殺人とかも絡んできたしね。 |
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それにしても、古い時代を舞台にしたっていうのはナイス アイデアだよね。 |
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そうね、うん、絞首人の話とか、蝋人形館の話とか、 エピソードに古めかしい雰囲気が出てて、楽しめた。 |
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それにさあ、ほら、現代が舞台だと、指紋だとかDNA 鑑定とか、科学捜査が進んじゃって、純粋に推理を楽しめないところがあるじゃない? その点、 この時代だと単純に推理捜査に絞り込めて、ミステリとして読むにはいいよ。 |
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そうだねえ。現実の警察にはどんどん進歩してほしいけど、 本の中では昔ながらのほうがいいかも。恋愛小説も、携帯電話の普及で、せつないすれ違いとかが表現 しづらくなっちゃったもんね。 |
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まあ、せつないすれ違いはどうでもいいんだけど(笑)、 単純に推理を楽しむなら、やっぱり関係者の証言によって徐々に明らかになる人間関係と人物の真の姿、 そして少しずつ見つかる証拠と事実、っていうのが一番でしょう。この本は舞台が1888年だから、 まさにその王道を行けた。 |
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うん。主人公も出世しない部長刑事ってことで地味だし、 個性派じゃないから、その辺もストーリー展開や他の登場人物の個性の邪魔をしなかったしね。 |
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余計なミスもしないしね。イライラせずに、じっくり読める。 |
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ほんと、あえて現代、舞台を過去にもどして王道を蘇らせ たってかんじだったね。 |
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美しい女と、彼女を信奉する男二人、そこにはどんな謎が 隠されているのか? 彼女は天使か、悪魔か??ってストーリーも古典的でいい雰囲気。 |
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推理ものが好きな人なら、読んでほしい本だよね。 |
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私はもうちょっと心理を深く掘り下げてて、 じっとり重いのが好きだけど、普通の感覚でいけば、読みごたえ充分な本だろうね。 |
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うん。私ももうちょっと匂いの濃いタイプのほうが 好きだけど、これはこれでよかったんじゃないかな。 |
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では、私たち的にはまあまあだったけど、良い本だったと いうことで(笑) |
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